見出し画像

6人分のペア(?)リングができるまで

 多分もう最初で最後かなと思う(わからんけど)ので忘備録的に書いてみる。こんなに大変だったんだよと言いたいわけでは全くなくて、あくまでその時何を考えてたか後から自分でおもろ、となりたいだけの日記。
 喋ってもうるさいけど文章でもうるさい。どこにこだわったかとかも書いてるので読みたい人だけ読んでね。
 そんな暇ないわ!の人は可能なら最後の当日の話だけ読んで貰えば御の字。

 作ってる間本当に楽しかったなあ。
それに尽きるよ〜
あげてよかったのかは私には未だにわかんないけど、己としては納得いく仕上がりになりました。
自己満に付き合ってくれてありがとう〜〜!

1 作ろうと決めた理由
2 材料どうしよう問題
3 12本の薔薇の意味
4 計算に震える

〜作業工程〜
① 切り出し
②   端を整える
③   なまして輪っかにする
④ 擦り合わせる
⑤ ロウ付け
⑥ 輪っかになりました
⑦ サイズ棒がない、やばい
⑧ 一難去ってまた一難
⑨   サイズを合わせたい
⑩   ヤスリとヤスリとヤスリ

5 ラッピング
6 当日の話

1 作ろうと決めた理由

 2021年の10月から彫金教室に通い始めて、約半年、自分の指は10本しかないし、作品はどんどん増えていくけど、全てが新しい技術の練習なもんで人にあげれるような指輪を作ったことがなくて、いつか誰かに作ってみたいなあと年明けから思ってたのがたぶん、最初の始まり。

 年が明けて3月だったかにFが結婚することを聞いて、Uもチーバ君のちんちんになる予定だし、たまに指輪の話がチラホラ出てきてた気もするけど、リアルに考えるとまだ他人が使える物を作れる自信がないので、30歳の記念にでも作れたらいいな。とうっすら思ってた。

 そしたら4月のおわりごろ、急に、あー今って誰もが人生の過渡期で、名実ともに大人になっていくけど、この暇な時間を使ってなんかみんなにできることあるかなーと思った。
そしたら数日後、何かの瞬間に、シンプルなやつなら、いまの知識を全力でねじ込んだら少しはいいの作れるかもしれん。シンプルなやつなら。というのがピンときた。これかもしれん。
そして男女問わずシンプルが1番いい。絶対にだ。
ちょうどその時最も苦手とするロウ付けのコツが分かって自信がついてたのもある。

 でも実際できるかどうかは材料とか諸々を考えないといけないので2週間ぐらい色々調べたりして、これならいけそうという目処がついた日にやっとみんなに指輪のサイズを聞くに至ったのです。
まあやったことないし、ほぼ勢いみたいなところはある。今思えば見切り発車もいいとこやな。
日記なのでダラダラ書きます。

2 材料どうする問題

ほんとうに困った。
習い始めた時から何回も壁にぶち当たってきたので分かってたけど、熊本には彫金専門の材料や道具を扱う実店舗はない。今までコツコツ集めた道具たちも血眼で探したものばかり(@メルカリ)

そして指輪の元になる板材も棒材も厚みや幅は実物で見ないと想像つかない(これは私の単なる立体的想像力の欠如)ので通販もこわい。そして何より金銀類の値上がりが鬼…私が好きなフィレンツェ彫の職人さんやジュエリーショップも軒並み値上げしてたもんな…

最終的には作りたいイメージに近い指輪をネットでいくつか見つけて幅を調べて、1.5mmか1.0mmにすることにした。板材なんて切り出しからクソ大変だし素人感丸出しのぶちゃいくな仕上がりになるのは分かりきってたことなので大人しく銀の棒材にする。無理はしない。

素材自体も真鍮と一瞬悩んだんだけど、銀に比べて手入れが面倒なのと、アレルギーが出やすいので、無難に銀。君に決めたァ!

ちなみに、今回の素材は銀950。silverの証明刻印を打てる幅がなかったけど、正真正銘のシルバーアクセサリーです。
(銀1000が純銀。純銀は柔らかい&融点が低く、アクセサリーには強度的にあんまり向かないので混ぜ物をして扱いやすいようにしてある。普通に売ってあるのは925が多いけど、今回は950にした。輝きも強度もいい感じ。)

 そんで次の日に通ってる教室の先生(上下デニムの白ひげ伸ばしお洒落仙人(多分70代))にどこで買ったらいいですかね、って相談したら普通に在庫あったっていう。早く思いつけばよかった。
今銀の値段上がってるから来週までに調べとくけん先に使ってていいよ、持って帰っていいよ〜と優しさの鬼だった。ありがたや〜

 しかしこの時点で5月23日。本当に私はいつもいつも初動が遅い。足も遅い。50m9秒後半。福本の結婚式まであと11日。どうせなら一堂に会す場で直接渡したい。
やったことのない複数同デザイン同クオリティの指輪作成、やれるのか不安になりながら寝る。そもそもまだ誰のサイズも知らなくない…?

3 12本の薔薇の意味

 本当はサプライズにしたかった。
12本の薔薇ぐらい渾身のサプライズにしたかった。
でも指輪はサイズがわからないと始まらない。
むしろサイズがわからない時点で終わってる。

 しかもプレゼントにしたってよりによってモノが重たすぎるし、パートナーに配慮して受け取られない可能性だってある。それは受け取る人が選ぶ問題であって、私が考えることではない…でもせっかくなら喜んでもらいたい。。けど押し付けにはなりたくない。私の嫌いなフラッシュモブと同じことをみんなにしてしまうのではなかろうか、指輪ハラスメントになってしまうんではないか…どっちにしたってこわい…
そして、何よりできるかどうかもわからないものを期待させただけでした。にはなりたくない。なぜならそれが私的に一番ダサいから。聞いたら絶対作らないといけなくなる。でも作れるかわかんない。いやしかしこの悩み方が一番ダサいのではないか…なんのかんの言って保身ばかり…自分は絶対に成功する告白しかしない人間か、ぶつかってみてあとは野となれ山となれタイプの人間ではなかったか、そんなにダサいやつの指輪なんて誰も欲しくは無かろう。作ると言い切るしかない。きっとみんなは私のこのクソデカ感情を受け止めてくれる。。いざ、尋常に、勝負…

メッセージの送信を取り消しました×3


……ダサすぎる。
武士みたいな気持ちで送ったのに文章がおかしすぎて、取り消さずにはいられなかった。
男に二言はないはずなのにめちゃくちゃなかったことにしてしまった。。男ではないけどあのときの気持ちは男にきっと近いはず。だって指輪のサイズ聞くなんて女同士でもそうない。
世のメンズたちはどうやってお相手の指輪のサイズとか知るんでしょうね?あ…そのためのペアリングか…今気づいたわ。

 ほんと私こういうところダサいわね…と思いながら気を取り直して文章を送りました。それでも今読んだらテンションおかしいし、当日間に合うかは保険かけてるね。笑う。

 このあとみんな優しいから当たり前に教えてくれたけど、わざわざ調べたり測らなきゃいけないのを忙しい中教えてくれて、ほんとうにありがたい。みんなの優しさを受け取ったので、がんばるぞー!の気持ちでその日はしっかり寝た。

4 計算に震える

 わたしの苦手科目はそう、数学。
そして仕事もせず瞑想してぼんやりするだけの日々。久しぶりに脳を動かしてヒヤヒヤしっぱなしだった。ここで間違うと詰む。

 最初にみんなが教えてくれた指の円周や号数をもとに必要な材料の長さを決めるのだけれど、難しい数式じゃなくて、普通に算数。
前述の通り全く左脳を動かさない毎日なので、ほんとうにほんとうに混乱した。脳の退化ってやつを体感。
2回も3回も書き直して混乱してイチからやり直すのを2回やってやっと完成した。

これは最終稿の4枚目の紙。
それでもまだ間違うんかい


めっちゃ個人情報な気がしてモザかけた。
みんなが教えてくれた翌日には早速取り掛かって切り出しもおわったんだで。この後のことを考えるとほんとうに早くやっててよかった…

作業工程

このままだと1万字余裕で越えるのでなるべくササっと。

① 材料を切る

 さっきのグダグダの表を参考にして、必要な長さに銀の棒を切る。丸棒と角棒があって、今回は加工のしやすさを考えて丸棒を選択。
測ってしるしをつけて糸鋸で切る。
切ったものがこちら↓

すり板という板を机にクランプで固定して切る。
これはみんなにLINEを送った後、自分の分を試しに切ってみたやつ。


 全ての工程で素材に傷がつかないようにめちゃくちゃ丁寧に扱う(なんも加工してない素材はマジですぐに傷つく)ので切るだけでハァハァする。
もうここまできたらやめられぬ…

② 端っこを整える

 端っこが斜め同士だとその後があまりよろしくないのでヤスリですこし整えておく。やりすぎると長さが変わってしまうので本当に少しだけ。
いつも仙人にヤスリの持ち方が違うと怒られるけど最近はやっと怒られなくなってきた。
ヤスリは削れる面を下にしてナイフとフォークの持ち方にするのが正解。(誰得の知識)

③ なまして輪っかの形にする

 なます=金属を加熱してやわらかくすること
(逆にこすったりたたいたりすると硬くなる)

 なますと手でも曲げられる様になる。
耐熱レンガの上に乗せた材料をガスバーナーで炙りまくる。そしてその熱々の棒を握ってしまうので火傷しがち。今回も何も考えずに握って無事親指の皮膚が溶けました。ジュゥゥウ。

 次はやわらかくなった棒を輪っかの形にする。芯金棒に巻き付けてぐにゃっと手で曲げてゴムハンマーでざっくり整える。
この後ロウ付けするために、端っこと端っこを平らになるようにペンチ的な物で調整する。ここで綺麗な平らにしないと、くっつかないので真剣。

5/27 家のベランダにて。
たぶんいらない手書きの図

④ 擦り合わせ

 端っこと端っこをくっつけたときに隙間が一切ないように、接合部分を糸鋸でギコる。
2番目に苦手な作業。刃が滑って傷つけるわ、糸鋸が通り切らず二度書きみたいになってしまってどんどん長さが短くなっていく。本当にヤバかった、募る不安…そしてその不安はその後サイズを合わせの時に的中する。

⑤ ロウ付け

 ロウ付けとはなんぞや、指輪の端っこをつなぎ目がないようにくっつける作業のこと。
ぴっちりくっつけた継ぎ目に、融点が銀より低い銀ロウを乗せて、熱する。その銀ロウが熱で溶けて継ぎ目に流れて固まったらもう取れません。
最も私が苦手とする工程。

 これがなかなか難しくて、材料を熱する場所とタイミングで銀ロウよりも先に銀が溶けたり、ロウが流れても継ぎ目の隙間が少しでもあるとくっつかなかったり、くっついたと思って成形し始めたら一部分しかくっついてなくてパコン!て外れたり、それはもう教室で何回失敗したかわからない。
ほんとうに、苦手。

ひとつひとつ息を止めて本気で祈るレベルで作業した。前の日は動画を漁りまくってイメトレもした。
書いてて思うけど全ての工程でミスったら詰む要素がある…集中力だいじね

真剣な取り組みにより全ての指輪のロウ付けが成功した。神ここにあり。

ここまできてやっと半分。まだ順調

⑥ 輪っかになりました

 ここから形を整えて参ります。
芯金棒にねじ込んで真円にする。
わあ指輪っぽい。


⑦ リングゲージ棒がない。

 ここで気づく。リングゲージ棒がない。
輪っかになったはいいけどサイズが合ってるかわかんない。どうしようやばい。
即メルカリにて検索、購入。
到着は発送〜7日以内?!
今日は5/27。7日後は6/3、絶対間に合わん。
やばい。そして5/30発送予定。詰んだ。
この段階でサイズを合わせてからじゃないと進められない罠、罠というか自業自得。
脳内がプチパニックになったのでその日はとりあえず寝た。

⑧ 一難去ってまた一難

 ぶっちゃけありえない。
翌朝気づいた。2日後の5/30は月曜日、彫金教室の日。
早めに行って作業しよう。そうしよう。
それまで3日近く作業は止まるけど、そこから4日でどうにかしよう。いけるいける。

 何も進まない28〜30日の間にラッピングの材料とかも購入してしまおうと思った。けど、その日の午後から体調が大崩壊。理由は謎。
 翌日も翌々日もしんどくて家事も何もできずにくたばり過ごしてやっとやっと重たい体を引きずって彫金教室に行ったのが5/30日の夜。時間が足りない気配がする。

⑨ サイズを合わせたい

 全然合ってない。
まあこれまでも大体そうだったけど、擦り合わせの時点で必ず数ミリ縮むので叩き伸ばさなきゃいけない。叩くことで強度も上がるからいいんだけど、にしても合わない。

 叩くと伸びる+硬くなる。そのうち硬くて伸びなくなるのでなましてまた叩くを繰り返す。
そこ数ミリのことなんだけど、サイズは大事。
微調整に次ぐ微調整。

 教室が始まる40分前に行って始まるまでに終わらそうとおもってたけど結局1時間半かかった。
そんなこんなでやっと次の日から磨きに入る。

⑩ ヤスリとヤスリとヤスリ


 そこから丸々4日間はヤスリがけ。
はみ出た銀ロウと今までの工程でついた傷を綺麗にならしたあとは、全体に荒い目のヤスリから細かい目のヤスリを順にかけていく。
本当はリューター(歯を削るときの機械)でやると仕上げまで一個あたり10分もかからんのだけど、たっけえので持ってないんだよね。
手作業でやっていくし、慣れないのもあって死ぬほど時間がかかった。あと目がしんでくる。
こんな感じで進めた。

5/31 ロウとキズ取り、内側のキサゲ掛け
6/1   ヤスリをかけるも細かいキズと見た目
   が気に入らず、全体の形を変えて前日
   の工程をやり直し
6/2   #400、600、800、1000
6/3   #1200、1500、2000、研磨剤、
   ラッピング
6/4   みんなにお渡し
#は紙やすりの目の細かさ。数が大きいほど細かくなる



ね。まじでギリギリ。
ちなみに途中でこんな感じに全体のフォルムを変えた↓

着用感が気になって思い付いたデザイン。
渡す3日前に工程を増やす無計画ぶり。


iPhoneしか持ってないので、ヤスリ掛けの途中経過は違いがわかる写真撮れず、#2000と研磨済のビフォアフを載せよう。
最初っから研磨剤かけてもこうはならんので地道なヤスリ掛けが大事らしい。たしかに傷一つなくピッカピカになりました。

研磨剤をつけて磨くと右から左になる。
左もこのあと何度も磨きまくった。


こうして紆余曲折と言うほどでもない見切り発車の自業自得祭りで6個の指輪が完成。

 磨いてる間は全員との思い出が走馬灯的に流れたり流れなかったり。初めて遊んだ2012年の6月9日から10年後にこんな風になってるとは思いもしなかったな。

左上から時計回りに
H、U、I、M、F、A、だと思う。



5 ラッピング

 ピンタレストとかインスタを見まくった結果、スタンダードに落ち着く。
安っぽくなるのだけは避けたくて、なるべく高級感が漂う感じにしたかった。

箱は普通の紙じゃなくて、レザー調の黒い貼り箱
リボンは落ち着きゴールドのシングルサテン。
なかのふわふわにぶっ刺してた針金は最初のが細すぎて気に入らず買い直しに行った。
絶対に妥協したくないこだわり。

ラッピング用品が揃ったのも6/3の夕方でほんとうにあぶなかった。超ギリギリ。

 ひとことお手紙を書いて包んで、完成。
中身も外見も心の底から一つも妥協しなかったので、自己満足度は100%。
たのしかったー。

せめてポストイット取ればいいのに


6 当日の話


式前日の夜に詰められた指輪たち


 お式も披露宴も二次会もスーパー楽しかった。
めちゃくちゃ早くに会場に着いてしまって(Ma家には大変お世話になりました)でもみんなとゆっくり喋れたりお手紙書けたり、いちごのスープもおいしかった。

 新郎新婦もご家族も参列者も鬼ハッピーそうで
ほーんとにいい結婚式だったーー!
しあわせっていいよね〜!

 指輪は最終的ににのにのお外で5人にお渡ししたけどあそこの照明がめっちゃよくて、よりキラキラに見えた気がする。よかった。
かいようたが超羨ましがってて心がちょっと痛んだ。ちょっとだけ。
その後Fにも無事渡せて任務終了。



 正直言うと今でも迷惑じゃなかったかなとか、物的にクソ重たくて扱いにくいものあげてしまったなとか、不安もあります。。迷惑だったらごめんね、そっとしまっておくか、手元に置けなかったら私に返してもいいのでそのときはご連絡くださいまし。

人生で初めて本気で作ったものを友達にプレゼントするという経験をさせてくれてありがとうでした。

みんなそれぞれ鬼ハッピーな毎日を過ごしておくれ。

なんだかそろそろ死にそうなやつの文章だけど、今はやりたいこともあるのでしばらくは死なないとおもうから、今後ともみなさまよろしくね〜!

2日かけて書いた7000字、推敲もろくにしてないし、読みにくさすごいかもしれん。。
万が一全部読んでくれた人がいたらありがとうう

かわゆ
もざもざ
みんなの着用画像うれP








余談だけどこのあとタクシーで帰ったけど家まで尿意が間に合わず、自分の車の駐車場の影で野しょんしました。(台無し)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?