②1人旅回想

お金が無い中旅をしている。1人旅だ。なるべくコストは抑えたい。だからホテルには泊まらずに漫画喫茶にとまることにした。しかしそこで不安を感じた。
「落ちるところまで落ちていく」そう感じた。

漫画やポルノという娯楽に囲まれた施設。
そこにはジュースのドリンクバーや無料のカレー、カップラーメンすなわちジャンクフードらがある。
一見エデンのように思えるがそこには得も言えぬチープさがある。
やけに薄いカレーや聞いた事のないカップラーメンのブランド。

ここでは欲望の全てが解消されそうに見えるが、その全てがジャンキーで質が良くないように感じた。

濃い味付けで誤魔化しているが違和感は自分の心に届いている。
そして感じた。

ここにずっといては落ちるところまで落ちていく。沼のようにじわじわと進行していく。
ここは時間が遠くにある。鍵付きの部屋を出れば24時間電気がついているし、今何時なのかが分からない。止まっている時の中で過ごしている様な気持ちになる。
自分にとってそれは酷く不健全で人間の生態に反するような気がした。人工的で粗悪でコストの低い食べ物を頬張るのと同じで、人工的で粗悪でコストの低い日々の営みをしているような気持になる。

怖くなった。朝8:00前にここを出よう。そして姫路へと発とう。生憎の雨だけれど、倉敷や児島にいこう。焦る必要はないけれど、焦ろう。そういう気持ちになった。


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