トリートメント

艶やか(つややか)。

素敵な後ろ姿が目と鼻の先にある。
髪は長い。背骨の真ん中にまで伸びるだろうか。ただラプンツェルとまではいかない。(さすがに彼女は長すぎる。使用するトリートメントの量たるや、想像にすらできない。)

さておき、長い髪がフリースの上のる。あの優しい素材であればキューティクルは確かに守られるだろうと胸を撫で下ろす我は、全くもってのアウトサイダー。今目の前の彼女と関係などなさすぎるものである。

とにかく、艶かな長い髪をした素敵な後ろ姿が目の前にあった。
華奢な肩に、adidasジャージににコート。インナーは見えないがおそらくへそなどが出ているタイトな白Tなのではないか。つまるところストリート系ファッション。ラップとか聞いてそうだなと勝手に想像する。すべて勝手だ。勝手すぎる想像だ。
ちらっと正面を見ると前髪はなくセンター分け、痺れる。そういう事なんよ。そういう事なんよ。それを心の中で呟きまくる。
華奢な肩は全てを赦す、そんな優しさがあった。図らずととそのような包容力は滲み出てしまうのだ。その出会いは、日々の暗澹たる内情、目に見える世界が暁闇と化している己にとってそれは一筋の光とも言えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?