①1人旅 回想

温泉特有の匂いが身体にまとわりついている。ヒッピーのような髪であるならばなお一層。早朝に向かった有馬温泉。肝心の温泉はものの10分ほどであがったが、それてもいい。雰囲気を感じる旅だ。心を養生できる自然がいい。

1日中電車に揺られながら向かう先には何があるというのか。なんてことは無い。ただの気の向くままだ。その先には城跡がある。
西宮で買った2冊の文庫本の内1冊は早々に読み切ってしまった。
もう一方はと言うと600P弱の超大作であるからまだ折り返し地点というものだ。
電波のおぼつかない地域を通りながらも列車は進んでいく。辿り着いてはないが既に15時を回っている。

今日はというと温泉につかりそこからはひたすら揺られるがまま。観光という観光はほとんど出来そうにも無いが、それでもいい。
夜は姫路でほっつき歩いてどこか適当なところで寝よう。質のいい睡眠は求めておらずただ放浪。
清潔や快適を求めるとお金がかかることを知った。当たり前だ。キャリーケースにすればコインロッカーが。服を着回せばコインランドリーが。安さを求めれば切り捨てなければならないしがらみがある。どちらかと言うと潔癖気味の自分もadidasのトラックパンツを2日連続着る事にした。最悪今晩は風呂に入らなくたっていい。歯さえ磨ければ。何かをいきなり失う訳では無い。洗い流せば落ちる垢なのであればそう焦ることもない。髭も気にする必要が無い。むしろ旅人らしさではないのか。感覚が鈍っていくことにある種の自由を感じている。

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