【「千と千尋の神隠し」が中国で大ヒット! 「トイ・ストーリー4」に圧勝】 ほぼ中国ビジネス(349号)


今週は、意外な人の英語スピーチを紹介したいと思います。

【米バブソン大学創立100周年卒業式のゲストスピーカー(豊田章男氏)】
章男さんの英語うまいですね。結構アメリカ人にウケそうなジョークもかなり入れながら、間のとり方もうまい! アメリカの大学のゲストスピーカーでは、スタンフォード大のスティーブ・ジョブズのスピーチが有名ですが、日本の名門トヨタのCEOもなかなかやりますね。これからグローバルでビジネスをする経営者は、このくらい普通にできないとダメですね、きっと。

豊田章男さんのスピーチ動画は14分で、日本語字幕も出ますので、もしよろしければ御覧ください。私はこれを見て豊田章男ファンになりました。

話は変わりますが、少し宣伝です。

これまで中国各地で開催してきた期間限定の「中国人社員モチベーション一斉調査」ですが、7月に「上海」、「北京」で実施します。 一斉調査で報告する内容は、会社全体のモチベーション分析に限定されますが、費用はお安く(4,800元)なっておりますので、ぜひこの機会にお試しください。

今月末までの申込は更に割引価格となっております。お申込み、問い合わせはこのメルルマガに直接ご返信頂くか、info@gml-sh.comまでご連絡ください。「中国人社員モチベーション一斉調査」の詳細説明資料を送らせて頂きます。

それでは今週のメルマガをお届けいたします。

*皆様のお知り合いで当メルマガの配信希望の方がいましたら、 info@gml-sh.comまで「お名前」「会社名」「メールアドレス」を 送って頂ければ毎週配信させていただきます。


■今週号の目次:

1.【気になる中国時事ネタ解説】
2.【編集長の独り言】
3.【編集後記】

■【気になる時事ネタ解説】

時事ネタの中から気になるものを編集長江口の独断と偏見でセレクトし、 個人的な見解をコメントするコーナーです。

「中国」「中国以外」それぞれのカテゴリーに関して私自身の主観的な 基準で、面白い・価値があると思う時事ネタを各10個程度に絞り込んで ご紹介します。

(1)【習近平訪朝を読み解く:中国政府元高官を単独取材】
遠藤誉先生のコラム

(2)【スタバの新サービス、オンライン注文でスピード受け取り】
サードプレイスではなく、フォースプレイスね。モノは言いようか。Luckin coffeeの店頭受取サービスの拡大は続いているが、ついに弊社の入居するオフィスビル1Fにも最近Luckin coffeeが入居。3.8折の割引券もばらまかれている模様。

(3)【EC各社が火花を散らした618セール ライブコマースが販促効果で突出】
ライブコマースもアリババが全てもっていく形になるか

(4)【パブリッククラウドに賭けるファーウェイ(華為)、組織と戦略にメス】
華為は、リカバリーのため色々施策を検討中

(5)【アリババの投資先505社から覗く未来】
こういう視点で見ると将来の可能性が見えてくる

(6)【テンセントがコネクテッドカー市場に参戦 WeChatの車載音声アシストサービスを年内ローンチへ】
微信が車載のコネクテッド市場へ参入

(7)【不正アクセス防止を切り口に「頂象技術(DING XIANG)」はリスク管理とセキュリティサービスを提供】
こういうサービスに対するニーズは今後も確実に増える

(8)【「千と千尋の神隠し」が中国で大ヒット! 「トイ・ストーリー4」に圧勝】
現在中国で上映中。中国の映画館に行ったことがない人はこれを機会にぜひ。結構綺麗でAPPを使えば安いです

(9)【「虐殺の歴史」を背負ったルワンダに進出する中国のリアル】
安田さんのコラム。アフリカ:ルワンダの歴史と実情なども分かるので、ぜひ見てみたいコラム

---ここから中国と無関係の日本等のトピックTOP10---


(1)【リクシル、結論は「瀬戸再任とガバナンス強化」】
やっとスタートライン。これから厳しい監視の中で瀬戸さんが結果を出せるかですね 

(2)【マクドナルドを困惑させた、ライバル企業の広告戦略とは?】
これは面白いマーケティング!

(3)【「凡人」メルカリCEOの山田進太郎の周囲にはなぜ優秀な人材が集まってくるのか】
山田進太郎さんは、自分の心に忠実に行動していそうで共感できる

(4)【24時間無人営業の古本屋「BOOK ROAD」、お客さんが後を絶たない理由】
支払にガチャを使うのか…

(5)【夏野剛氏の社外取締役、兼任6社は多すぎないか】
個人的には夏野さんの同情する。取締役は株主などに対する責任があるとは言え、社外取締役の立場で取締役会で議論されない細かい不正に気づく訳はない。これは社外取締役の兼任数にはよらずに無理だと思う。ただこうやり玉に上げられてしまうと、社外取締役候補から外さざるを得ない企業も増えると思うので夏野さん的には災難か(顧問という形で同じような関わり方をするだけかもしれないけど)

(6)【ペットボトルむしゃむしゃ 堺で発見の細菌、世界救う?】
これが実用化されたらかなり画期的?!


■【編集長の独り言】
   天の時を逃さない

売上拡大、顧客基盤を拡大する方法として「流通チャネル」、「オピニオンリーダー」、「競合」など他力を利用する方法もありますが、それ以外にもありとあらゆるものを利用する機会を探る必要があります。

神様からの贈り物である「天の時」も利用すべき対象の1つです。天の時がいつやってくるのか事前に予測することは不可能ですが、機会を逃さず利用することで、神風のように桁違いのパフォーマンスで知名度を上げることができるのです。

実際に天の時をうまく利用した例として、(少し昔の話ですが)中国の国民的飲料「王老吉*」の話をしましょう。

漢方成分の入った涼茶(身体の熱を冷まし炎症を抑える薬用茶)として中国全土で親しまれている王老吉は、中国のレストランやスーパーでよく見かけます。王老吉は、実は中国でコカ・コーラよりも売れている飲料なのです。しかしこの王老吉も、昔からここまで人気があった訳ではありません。王老吉を販売している加多宝集団が「天の時」を逃さずうまく利用した結果、中国人の中での知名度が飛躍的に向上して、国民的な飲料へと飛躍したのです。

加多宝集団にとっての天の時は、2008年にやってきました。2008年5月に中国四川省で起きた四川大地震です。四川大地震発生後、加多宝集団は「震災を受けた人々が早く苦しみから脱することを祈っています」と言うメッセージとともに破格の「1億元」を義援金として寄付しました。

大手国営企業ですら義援金は数千万元でしたので、加多宝集団の寄付した1億元がどれほどインパクトを与える金額か分かるでしょう(ちなみに日系企業の寄付金額は、最高額でも1,000万元程度で、その他大手日系企業はお付き合い程度の100万元以下)。加多宝集団のこの行動は瞬く間に中国全土に広まり、「寄付をするなら1億元、飲み物飲むなら王老吉」というキャッチフレーズが出来たくらいです。そして中国では、王老吉を飲む人が爆発的に増え、王老吉の売上は50億元(2007年)から120億元(2008年)と2倍以上増えたのです。

天の時をうまく利用したのは、ローカル企業だけではありません。欧米企業であるカルフールも四川大地震をうまく利用しました。

四川大地震が発生する前、中国ではカルフールに逆風が吹いていました。2008年3月チベット騒乱への中国政府の対応を理由に、フランスのサルコジ大統領が北京オリンピック開会式不参加を示唆したり、パリの聖火リレーがチベット支援グループによって妨害された事件をきっかけに、中国国内でフランス企業であるカルフールの不買運動が起こったからです。

寝耳に水とは言え、事態を収拾したいカルフールは、オリンピック支持を表明したり、50%OFF等の破格セールなどを行いましたが、客離れ止まりませんでした。四川大地震は、ちょうどそんなときに起きたのです。カルフールは、この天の時を逃さずに、欧米企業最高の2,300万元の義援金を寄付することで、中国での世論を、非難から感謝と讃美に変えたのです。

もちろん、加多宝集団やカルフールが寄付をした理由は、自社の利益だけでなく、社会的責任を担うためという意味があったとは思います。ただ、この「天の時」を逃さない行動により、寄付と同じ金額を広告に使っても絶対得ることができないような効果を得ることになったのです。

こういった機会は、加多宝集団やカルフールだけでなく、どの企業にも平等に与えられていたのです。しかし、この天の時をうまく利用できたのは、天の時に気づき、タイミングを逃さず勝負をかけたごく一部の企業だけなのです。日系企業も、アウェイの中国市場だからこそ、もっと積極的にこういうチャンスを利用すべきでしょう。そのためには、そのチャンスを逃さず掴めるように常にアンテナを張ってくだけでなく、時が来たときにすぐに動ける体制を整えておく必要があります。

天の時を見逃すということは、自社の事業拡大のチャンスを逃すだけでなく、それをうまく利用する競合に大きなリードを許す致命傷になる可能性もあるのです。

*2008年当時、加多宝集団は、中国で王老吉の商標権を持つ広薬集団から商標を借りて缶入り涼茶飲料「王老吉」を販売していたが、2012年に加多宝集団と広薬集団の間で商標権の法廷闘争があり、それ以降は加多宝集団は王老吉の代わりに「加多宝」という商標の缶入り涼茶飲料を中国全土で販売している。


■編集後記

私が前から思っていたことを書いてくれた記事を見つけたので紹介したいと思います。


【SWOT分析に3C分析、定番フレームワークで「正しい戦略」は策定できるのか】

そうなんですよ。何も考えずにPRO/CONとかSWOT分析とかやって意思決定をしようとしてしているビジネス現場を今でも見かけますが、こんなフレームワークを使った分析では結論はでないんですよね、実際。

フレームワークを使うべきは、「漏れなくアイデアを出し切るため」と「結論が決まった後に、その結露を正しく見せるため」なんですよね。

フレームワークはぜひ正しく使って頂ければ…と思います


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。これからも日本のビジネスマンの皆さまに役立つリアルな情報を提供できればと思っております。

ご感想・ご意見・ご質問は、お気軽にご連絡ください。よろしくお願いいたします。
お問い合わせ先:info@gml-sh.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?