【ゴルフとKTVをやめれば売上があがる】 ほぼ中国ビジネス(341号)

当メルマガ編集長の江口です。

東京とベルリンに拠点を持ちUIデザインを手がけるベンチャー企業Good Patch社 のCEO土屋さんが組織100人の壁にぶち当たり、それをどうやって超えたかの実体験を書いた記事を紹介したいと思います。

【カルチャー崩壊と再構築。 Goodpatchが取り組んだ組織デザインの2年間】
実際に底が見えない状態のときは、ここに書かれていないことも含めて相当精神的にも追い込まれていたんだろうなぁとか、ここまで回復できたらからこそかけるんだろうなぁとか、純粋に土屋さんすごいなぁというのが、率直な感想です

これを読むと、ベンチャーに限らず、新規事業をはじめて組織を拡大するケースで遭遇する課題の疑似体験になると思うのでおすすめです



■今週号の目次:

1.【気になる中国時事ネタ解説】
2.【編集長の独り言】
3.【編集後記】

■【気になる時事ネタ解説】

時事ネタの中から気になるものを編集長江口の独断と偏見でセレクトし、 個人的な見解をコメントするコーナーです。

「中国」「中国以外」それぞれのカテゴリーに関して私自身の主観的な 基準で、面白い・価値があると思う時事ネタを各10個程度に絞り込んで ご紹介します。

(1)【Huaweiが5G半導体をAppleにだけ外販?――Huaweiの逆襲】
遠藤誉先生のコラム。国や大企業の色々な思惑が渦巻く

(2)【アマゾン中国にEC事業撤退との中国報道】
アマゾンもJDとか中国大手と組んで、ある程度中国大手側に妥協をすれば中国市場でTmallと戦える可能性はあると思うけど、ベゾス教的な組織なので(とよく聞くので)妥協はしないのだろう

(3)【TikTok、本国では若年ユーザーの利用制限へ「1日40分まで、夜10時以降は不可」】
中国はこういうことを広く議論せず一方的に決めて、すぐに始められるところに強さと恐怖がある

(4)【ファーウェイを世界が「恐れる」理由を財務分析のファクトで語ろう】
華為の強みをAppleと比較して分析した話

(5)【台湾カリスマ経営者の危なすぎる「政界進出」】
個人的には「台湾」、「中国」、「アメリカ」の利益が分かる郭さんが台湾総統になったら台湾だけでなく中米関係もうまくいくかも…と思うのだが、気のせい?!

(6)【そのブランドバッグ 本当に本物ですか?】
ここまで品質のいいものが作れるということは、その技術を使って偽物ではなくオリジナルブランドを作る方が高く売れるのではないだろうか

(7)【老舗自動車大手+アリババ、テンセント+蘇寧=打倒「滴滴」?】
あれっ。アリババ、テンセントは滴滴の大株主じゃなかったっけ?!

(8)【中国人が求める水準のデリバリーサービスを米国で展開 「Gesso」が2018年の流通総額22億円を達成】
海外でも華僑が多い地域では中国流ビジネスモデルが通用するか

(9)【サルの脳に人間の遺伝子、中国の研究者が移植実験 批判も】
色々議論がある問題も、中国は突っ込んでいく開拓者(笑)

---ここから中国と無関係の日本等のトピックTOP10---

(1)【カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社の「Tポイント事業」がいろいろと正念場のようです】
やまもといちろう氏のブログ

(2)【政府に指図される「人生100年時代」とかいう罰ゲーム人生】
実際に自分でも介護をしているやまもといちろう氏が、介護現場の“高齢者たちの”現状をやまもといちろう節でユーモアを交えて書いている。人生100年だとするとあと50年。まだまだ先のこと(自身の介護)は考えずに頑張らないと…

(3)【野村克也氏が選ぶ“平成の最強ベストナイン”右翼はイチロー!投手は究極の選択に…】
ベストナイン(先発投手)に選ばれたダルビッシュもTwitterで喜んでいた

■【編集長の独り言】
   ゴルフとKTVを辞めれば売上は上がる

(今週の編集長の独り言では、4月で新たに中国に赴任された方もいると思うので、私がこれまでに書いた中国関連のコラムの中でも一番反響の大きかったこちらのコラムを掲載させて頂こうと思います(自戒の意味も込めて))

職業柄、日系企業の経営者の方々から「中国人にウチの商品をもっと買ってもらうためにはどうしたらいいでしょうか?」とか「どうやったら中国で売上シェアを伸ばせますか」という質問をよく受けます。そういう時私は、「ゴルフとKTVに行くのを辞めれば売上は上がりますよ」と答えるようにしています。

(こんなことを書くと「お前が言うな」という声が知人から聞こえてきそうですが)この言葉以上に、日系企業が中国で成功する真実を表している言葉はないと思うのです。

どんな業種にしろ、我々日本人にとってアウェイである中国市場で商品・サービスを売りたいのであれば、中国人の考え方や習慣を理解する必要があります。ただでさえ言葉や文化の違いというハンデがある我々日本人は、ライバルである中国ローカル企業の経営者以上に中国人消費者や中国企業のことを知るために時間を使う必要があるのは自明の理です。

それにも関わらず中国の日系企業経営者の多くは、日本人社会にどっぷりつかり過ぎているのではないでしょうか?

確かに日本人ビジネスマンが数万人規模でいる上海等の大都市で働く場合、日本にいるのと同様の生活ができますし、そうした方が楽でいいでしょう。平日の夜は日本人同士で日本料理を食べ、2次会で日系KTVに行き、土日は日本人同士でゴルフをする。これが日本人駐在員の方のお決まりのコースだと思います。でも本気で中国事業を成功させようと思ったら、その半分の時間だけでも、中国人をもっとよく知るために、自ら積極的に行動するべきなのです。ビジネス上の課題を頭で考えながら、地下鉄やバスに乗り、街に出て、中国人消費者と同じものを見るだけでもヒントがたくさん見つかるはずです。今中国では何が流行っているのか、中国人消費者が何にお金を使っているのか、どんな企業がどんなところに広告を投入 しているのか。本気で中国ビジネスに取り組んでいれば、知りたいこと、分からないことが際限なく頭に浮かんでくるはずです。そしてその知りたいこと1つ1つ腹に落ちるまで確かめていこうとすれば、ゴルフやKTVにうつつを抜かしたり、日本人同士でヌルい中国生活を過ごす余裕はないはずです。

「オレは、会社で中国人従業員とコミュニケーションを取り、そこから十分インプットを得ているから大丈夫」という方もいるでしょう。本気でそんなことを思っているのであれば、すぐに日本に帰った方がいいでしょう。確かに、何もしないよりはましだと思いますが、従業員に対して上司の立場で軽く聞いたところで、当たり障りのないことが返ってくるだけです。また本当にビジネスに役に立つ核心的な事柄については、中国人自身も考えたことがない場合が多いので質問をすればすぐに回答が得られるという代物ではないのです。中国人にウザイと思われるくらい、手を変え品を変え、何度もしつこく質問をしないと、本当に商売に役立つヒントは出てきません。また中国でB2Cビジネスを行っている経営者で、「微博を見 たこともやったことがない」という人も少なくないと思いますが、そういう新しいトレンドに無関心な人もアウトだと思います。

とはいえ、従業員と距離を縮めるというのは中国でリーダーシップを発揮する上でとても重要です。当たり前ですが、中国人従業員にとって身内ではない日本人は、自ら中国人従業員のゾーンに入って行かない限り距離を縮めることはできません。会社にとって重要な従業員に対しては、普段会社で仕事上の付き合いを超えて、(戦略的に)従業員の配偶者や家族とも食事をする仲にまで持ち込まない限り、安定した経営ができないのが中国だと思います。本気でそこまで入り込もうと思ったら、中国駐在の日本人ビジネスマン(特に経営者)は、日本にいる以上に忙しく働く必要があるのが当たり前なのです。

■編集後記

とうとう日本でも週休3日の時代が投入しそうですね

【日本マイクロソフト、今夏に週休3日制を試験導入】
AIの導入加速と同時に、週休3日どころか、いつ休むか働くかも会社と個人の合意で自由に決められる時代が5年以内にくるのでしょうか。

そうなったら本当の意味で、個人の提供価値が見える化して、価値を提供できる人にはより良い(世の中に通用する価値提供できない人には辛い)世の中になるかもしれません。でももしかしたら逆に、生きるために誰もが必然的に世の中に何らかの価値を提供するように自然になっていくのかも…

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。これからも日本のビジネスマンの皆さまに役立つリアルな中国情報を提供できればと思っております。

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お問い合わせ先:info@gml-sh.com

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