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【学振の若手研究者海外挑戦プログラムが補欠だった話】

 学振の若手研究者海外挑戦プログラムに応募し、補欠だった話を書きたいと思います。僕は令和4年度採用分(第1回)に応募して補欠でした。結局渡航日まで繰り上げ合格の連絡はなく、この後辞退しようと思っています。

 これから令和4年度採用分(第2回)が始まりますし、来年度以降申請する方に向けて、申請した感想やスケジュール感なども含めてお話しできればと思います。

 若手研究者海外挑戦プログラムの概要や趣旨については、日本学術振興会のWebsiteをご覧いただくとして、令和4年度採用分の審査方針のみ確認しておきましょう。

*海外若手挑戦の審査方針

①海外での研究に新たに挑戦することによって、研究に大きな進展が見込まれること。
②申請者と受入研究者との事前交渉が明確で、研究計画が具体的かつ実現可能性があると認められること。
③優れた研究能力を有し、海外での研究経験を通じて、将来の活躍が期待できること。(日本学術振興会Websiteより抜粋)


*準備したスケジュール

2021年7月上旬:募集要項公開

2021年7月中旬:ドラフト1作成(→その後修正8回)

2021年9月上旬:主指導教諭・副指導教諭との三者面談
        →その後受入先へアプローチ

2021年9月15日:受入先から確約がもらえていない段階で申請書提出

2021年9月15日:学内締め切り期限

2021年9月16日:学振受付期限

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2021年9月20日ごろ:受入先研究者からのOK連絡

2021年11月1日:受入機関からの受入正式通知

2021年12月:結果が開示されず、妙な緊張感のまま年越し

2022年1月7日:結果開示→補欠(→別財源へ切り替え)

2022年4月1日:渡航日までに連絡なし(これから補欠辞退の連絡を…)


*何に注意して書いたか

 2ページしかない申請書に落とし込む上で気をつけたポイントを(補欠の身ですが)3点挙げたいと思います。

(1) 博士論文全体と海外でやる研究内容の位置付け

 文章3行+博士論文と本研究の位置付けの概念図を1枚目の最初に書きました。審査員の先生が、この申請者は何をやりたいのか、どのような研究のうちのどこに今回の海外での研究が入るのかを直観的に伝えることができれば良いと思います。

 この図を作ることができれば、仮に申請が採択されなくても、自分の頭を整理でき、自身の研究を客観的に見ることができるようになるのではないかと思います。実際、この図のおかげで他の申請が採択されたり、プレゼン説明する際にコピペできたりして、時間短縮にもなっています。

(2) なぜあなたが海外でその研究をやるのか

 この部分が一番重要かつ難しいポイントだと思います。(僕の場合、おそらくここがうまく押し出せなかったと反省)

 ・なぜあなたが

 ・なぜその土地で

 ・なぜそれをやるのか

 どの申請書でも同様ですが、この3点をきちんと整理することが必要なのではないかと思います。特に若手海外挑戦では「なぜその土地で」の部分が重要になるのではないでしょうか。この予算は海外で研究をやることが目的なので、日本にいてはできない、今の環境では◯◯が足りない/◯◯ができないから海外に行くというように、アピールすることが大切だと思います。

(3) 受入準備状況と研究の関連性

 受入先と本研究の関連性は色々考えれば書けると思いますが、受入準備状況となぜそこを知ったのか?の部分が大切になるのではないかと思います。

 「受入準備が整っていて、あとはお金を工面するだけの申請者」と「これから受入先にアプローチする申請者」のどちらの採択可能性が高いかと言われれば、圧倒的に前者だと思います。このように、できる限り申請書提出までに先方との連絡を密にとって、申請書に落とし込むことが必要でしょう。

 他方でなぜその研究室を選んだのか、どのように知りあったのか、どこがあなたの研究と関連しているのかをわずかでも良いので言及した方がいいのではないかと思います。僕の場合、副指導教員からの紹介だったので、推薦書も主指導ではなく副指導教員に書いてもらいました。


*何が足りなかったのか

(1) 「なぜあなたがそれをやるのか」という問いに答えきれなかった

 推測ですが、「なぜあなたがそれをやる必要があるのか?」をもう少し明示できるとよかったと思っています。研究計画の部分が思ったより分量が厚くなってしまい、「なぜあなたがやるのか」についてきちんと言及ができなかったです。

 おそらく研究計画をもう少しコンパクトに整理することが今後必要なのだろうと思います。

(2) 受入先が完全に確定していなかった

 この点については不可抗力ですが、提出までに受入先の先生から確実なOKが得られていませんでした。正直少し盛ってよかったと後々反省していますが、当時は確定していることしか書かなかったので、他の申請者と比べて相対的に低い評価になってしまった可能性もあります。


*今後受ける人に向けて

(1) 早めの受入先準備と語学力

 申請書の準備もそうですが、受入先の確約を早めに得ておくことをお勧めします。また、渡航先にもよりますが、語学スコアなど客観的指標をもとに申請書を作成できるとより好印象を持たれるのではないでしょうか。

(2) 博士論文と本研究の位置付けを明確化

 研究の全体像を審査員の先生に把握してもらい、その中で本研究がどこに位置するものなのか、それがなぜ必要なのかを直観的に理解してもらうことが重要だと個人的には思っています。これは申請書を書くときに考えるのではなく、普段から何気なく考えてメモしておくと、より良い図や表現が生まれてくると思います。

(3) 審査要件を再度把握する

 審査員は基本的に審査要件を参考にして審査していると思います。ですので、審査要件に合致するように申請書が書けているかを再度確認することをおすすめします。

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