【プレイ感想】ファタモルガーナの館(外伝-A Requiem for Innocence-)

そういえば、数週間前に外伝を完走。雑多に感じたことを書き連ねていこうかと思います。

⚠️当記事には「ファタモルガーナの館」のネタバレが含まれます。ネタバレNGの方はお戻りください。









ヤコポの貧民街時代から領主時代、そして悲劇が起こるまでの物語を描いた外伝。本編より読みやすく、何よりヤコポへの印象が大きく変わりました。

ここまでの悲劇が、どうして起こってしまったのか…。「巡り合わせが悪かった」といえばそれまでだが、確かにボタンの掛け違いの連続であったことは否めない。だからこそ悔やまれるし、切なく儚くも感じる。

もし誕生会のあの時、モルガーナが席を立っていなかったら…。オディロンが民衆の前に姿を現さなければ…。ヤコポが、モルガーナであると分かった時点で助けていれば…。

本編では、ヤコポは悪者一辺倒のような扱いだったが、貧民街時代からの生い立ちをなぞるにつれ、とても人間的で温かみのある人物だったことが、ひしひしと伝わってくる。

上に立つ存在は、孤独なものだ。側近でさえも信じられなくなり、かつての自分も見失っていく。歴史上の国王や領主も、ヤコポのように破滅していった人物は少なくないのだろう…。遥かな過去に想いを馳せる。

ジェレンの伏線には、かなり驚いた。この作品の中で、一番狂気に塗れているのは彼女ではないか。まだバルニエの方が、先のヤコポと同じく権力に食い尽くされた者として共感できる。

ヤコポが必死に想いを吐露しているにも関わらず、モルガーナがヤコポを認識できず罵倒しているシーンは、見ていてかなり辛いものがあった。

そして祝祭の日の正午にモルガーナを解放すると決めるが、時は既に遅く。絶望したヤコポは怒れる民衆の前に立つ。

「わたしたちの故郷を探したい」

風が吹いてかつて聞き取れなかった言葉を、最期にヤコポは聞いた。
彼女が願ったのは、たったそれだけのことだったのだ。
ヤコポが領主になる必要も、広い世界を見せてやる必要も、何も無かった。

全てが遅く、そして何もかもが噛み合わず、最悪の悲劇を迎えてしまった世界。

メル、ユキマサ、ヤコポは転生後もモルガーナの呪いに囚われ続けることとなる。

本編の前日譚ともいえるこの外伝。
ヤコポの無垢で純真な心が終わりを迎えた、''A Requiem for Innocence''というタイトルに相応しい物語であった。


9/8 (追記)
「アセントデリ」もクリア。同じく感想をつらつらと。

ミシェルがジゼルと出逢う前の物語。
「イメオン」という名の死にかけの青年が、館へと訪れる。

最後の最後で、怒涛の展開だった。
「カスタニエ家」という単語に、ボランジェ家でのミシェルの回想シーンが呼び起こされる。

そもそもイメオンは、男ではなく女だった。
まさに、ミシェルの境遇と瓜二つではないか。

互いのことを知れば知るほど、成り立たない友情。
あまりに報われない、残酷な関係性。
だがそこが逆に美しくもあり…短編としてキラリと輝くものがあった。 

(追記)
「ハピリーエヴァーアフター」クリア。

ミシェルとジゼルが再会を果たした、その後の現世のお話。

とにかく幸せしかない…。どちらも昔より積極的になりましたね。
最後の最後でモルガーナが出てきて…。次の現世編に続くのだろうか?楽しみだ!

(追記)
「Fragment」クリア。

これはヤコポの幻の話?
かつてもお互いこんな形で関わり合えてたら、運命は違っていたのかもしれない。

ヤコポの後悔、贖罪の気持ち、そしてモルガーナへの愛がキリキリと伝わってくる。
モルガーナも、ヤコポへの憎しみだけに染まっている訳ではなく、諦念、悲しみといった感情が滲み出ていて。

クリアしたら、外伝の背景が変わった。
2人が見たかった、黄金色の小麦畑。

現世で2人はどのような関わりを持つのだろうか…?
こちらも現世編が楽しみになる短編だった。

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