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フクロウとサル


昼間がだいぶ暖かくなってきた。
太陽さんも、そろそろ仕事に力を入れてきたらしい。
でも太陽さんが顔を隠すと、まだ冷える。

私がいつもお月さんと話をしている場所に、サルの背中が見える。
「ここは、空がよく見えるだろう。」
「あ、ここ、あなたの席ですか、すみません。」
「いや、いいんだよ。たまには目線を変えてみるのも、一興だろう?」
「ええ、素敵な生き方ですね。」

サルはどこか疲れているように見えた。

「君、見かけない顔だが。」
「新しい群れを探して旅をしているところなんです。」
「それは大変だなあ。」
「大変ですけど、いいんです。これで。」
「前にいた群れは、どんなところだったんだい?」

サルは大きく息を吐いた。
それはため息を誤魔化しているようだった。

「とても平和でしたよ。」
「それはいい。」
「でも、前に進みません。」
「平和ではいけないのか。」
「目の前の平和ばかり追いかけ続けても、発展はしないんです。」
「発展が怖いんだろうか。」
「発展しようとしてない、というよりは発展を知らないのかもしれません。」

「君がそれに気づかせてあげればいいんじゃないか。」
「ボスに話をしたことがありますけど、気づかないふりをされました。」
「プライドが勝ってしまったんだね。君が先に気づいたから。」
「ええ。だから次は、ボスに気に入られている仲間に話してみたんです。」
「そういう仲間がいるっていうのは、いいことじゃないか。」
「でも、あいつは理解もしてくれなかった…。」
「…。」

私は彼に言葉をかけることができなかった。

「ああいうやつは出世できないんです。いや、そういうやつが出世するところに、僕はいたくない。」
「私は、君を応援するよ。」
「そう言ってくださるだけで、力になります。」
「疲れたら、またここに来なよ。」
「ありがとうございます。帰る場所があるっていいですよね。」

そう言って彼は、背中を丸めたまま、旅立っていった。

やっぱり晩はまだ冷える。
今日はいつもより星が多く見える。

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