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らんまん 四月

4/28
短夜の自由の語り万次郎
夏の果て太平洋の鯨跳ね
夏祭二人分け合ふ芋ケンピ
踊り終え拭ふ二人の夏終わり
紫陽花の四季を知り得てシーボルト
4/27
浅き夏ぼんぼり浮かせ赤鳥居
裏小路柳の風の見える岸
春の田や既に遠くに想い人
前の人間違え真似て盆踊
傲慢な心新たに万太郎忌
4/26
押しつけの夫婦山道姫早百合
小川迄押し寄せて来て堰普請
若夫婦顔の向き合ひ草むしり
芽立ち時名のない草のない世界
赤鳥居潜る項や梅雨の入り
4/25
東京や思いたち切り五月尽
半夏生眠り惜しみつ朝迎え
断れぬ無理な縁組梅雨の入り
祝言や夏に挙げたくこと急ぎ
ぺたぺたと素足の草履橋渡り
4/24
薄暑光米俵積み土佐湊
五月来る自由民権土佐に来て
東京は遠し覚悟の夏浅し
梅雨の入り納戸に納む顕微鏡
半夏生釣書抱えし大旦那
4/21
まんさくや博覧会の試飲会
春の宵漆の紅の簪を
すき焼き屋好評の酒注ぎ周り
別れの夜桜蕊降り裏小路
かる焼のあと引く土産桜咲き
4/20
博物園春の日に生く標本ぞ
風光る日本の野山シーボルト
藪手毬標本探し土佐の山
庭園の水音少し作り滝
酒作り以外許さず花の冷え
4/19
お上りの花の新橋賑やかく
花比べ下戸の試飲の夢巡り
花園の胸時めかす出会いとは
若葉風太き榎の心地よき
初恋の若草薫りカルメ焼き
4/18
若夏や意外な仕事持ちこまれ
夏浅し酒の美味さの見えてきて
一口の忘れぬ新酒絞り出で
朝霧の赤き簪懐に
行く春や心は海へ東京へ
4/17
夏始谷間の花君を待ち
醸造安全祈願祭八足の上献上酒
真っ黄色上臈時鳥みつけ
片袖を仕立て上がりの秋袷
東京は秋の野遊び夢心地
4/14
一泊の焚火の浮かぶ仁淀川
ぱちぱちと鮎の塩焼仁淀川
先生の金精蘭の住む山へ
入学も春の花々誘ふ庭
腹這ひてバイカオウレン眺む日々
4/13
帳場より卯の花月の学問所
かたしろぐさ大福帳の陰で描き
潜れない底まで透けて仁淀川
生きること夕餉の仕度枯れ枝を
夕仕度鮎待つ川へ銛をうち
4/12
踏まれても茎立ち昇りがいろっぱ
みずみずし花や水色鴨跖草
東京へ囲碁の友見て朴の花
若夏や時計部品の分解図
チクチクと止まらぬ時計夏めく日
4/11
じべたよりねじり花たち朝稽古
虹のたつ頭の上の杓の水
押入れや夏めく庭の花見えず
おにぎりの唾の溢れや夏に入る
丹田や卯の花月の門にたち
4/10
新頭首囲み祝ふや新酒かな
狛犬の季秋の朝の散策し
にょきにょきと見上げし高さねじり草
打ち水や残り一気に人のゐて
木刀の剣先光り秋気かな
4/7
細き筆バイカオウレン母に描き
山奥の白き花初雪に咲き
行燈の母に花をと雪の舞ふ
春にもなれば花咲くと母は逝き
根を張りてバイカオウレン時を待ち
4/6
踏ん張れど扱ぐに扱げなくがいろっぱ
境内の若芽踏み踏み鬼ごっこ
酒蔵の醪の音の冬の朝
冬深し誘ふ醪の匂う朝
避けてても母の最期は冷たしか
4/5
御神木楓若葉を引き連れて
肩車天狗の見せて芽出る春
殺伐の時代変れど菫咲き
細筆や菫の姿母に見せ
再会を春の杜氏の合言葉
4/4
しゅんしゅんと火鉢の鉄瓶白き湯気
障子越し伏せる母にも春兆し
春まけて苔むす段段を登り
たたたたとこげらの叩く鎮守様
のどけしや天狗現れ御神木
4/3
目指し行く芽吹く渓谷丸木橋
つまみ食い甑倒しの祝い膳
いきのいい皿鉢料理の鰹かな
縁の下芽吹く双葉のたくましき
床の母瞼細めて木の芽垣

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