慶應ロー2023年度民訴再現

※必ず出題趣旨を確認すること

慶應ロー2023年度民訴再現

1問1について

(1)裁判所は、裁判拒否防止の観点から、ある事実が真偽不明の場合、その事実を要件とする自己に有利な法律効果の発生が認められない不利益(証明責任)を一方当事者に負わせて判決をしなければならない。そこで、原告・被告のいずれが証明責任を負うか、証明責任の分配責任が問題となる。

(2)この点について、基準としての明確性から、原則として実体法規の定める要件を基準に、各当事者は自己に有利な法律効果の発生を定める法規の要件事実について証明責任を負うと解する。

(3)これを本問についてみると、Yによる弁済の事実はYにとって有利な事実であり、Yが証明責任を負う。そして、かかる事実が真偽不明であるため、Yは自己に有利な弁済の法律効果の発生が認められないことになる。

(4)よって、裁判所はXの請求を認容する判決をすべきである。

2問2について

(1)裁判所は、1億円の融資の事実及びYの主張する主張する相殺の抗弁をいずれも認めている。そして、Xの請求を棄却する判決を言い渡しており、Yには控訴の利益が認められないのではないか。そこで、控訴の利益の判断基準が問題となる。

(2)この点について、全部勝訴判決を得たにも関わらず原判決に対して不服があるという当事者の主張を認めるのは、自己責任原則に反する。そこで、控訴の利益は当事者の申し立てと原判決の主文とを比較して、後者が前者に及ばない場合に認められると解する。

(3)これを本問についてみると、本問のYの申し立ては、債権の弁済と相殺である。しかし、原判決の主文はYの主張する相殺の抗弁を認めている。相殺は対等額において既判力が生じ(114条2項)、また、訴訟物と異なる別個の債権を犠牲とするものだから、実質的敗訴となる。したがって、原判決の主文がYの申し立てに及ばないといえる。

(4)よって、控訴の利益が認められ、Yは控訴することができる。

以上

書いたことがシンプルすぎてこれで良いのかと思った記憶があります。
出題趣旨を見る限り大きく外してはなさそうですが…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?