【ウィズ・カタナ・スシ・アンド・ヒダル】#1
「タイショー、ヤッテル?」「エエ、ヤッテマスヨ!」板前と寿司屋入店プロトコルアイサツを交わしつつノレンをくぐったのはムトー・タケミツ。
店内は掃除がゆき届き、「不如帰」のショドーやカミダナ(日本家屋の中に設置される、小型のシュライン)が奥ゆかしい。
「おすすめのネタはあるかい?」「へえ、鰹のタタキなんていかがでしょう?」「ほう……」タケミツは健啖家であった。
「んじゃあそれで…」
ドクン…!タケミツのニンジャ第六感が危機を告げる。タケミツはカウンタァ越しに板前の顔を掴み、そのまま後ろに突き飛ばす!
主観時間が鈍化する。板前が驚愕の表情を浮かべながらカウンタァの向こうに倒れる様が活動写真のようにコマ送りで見える。
板前を突き飛ばした反動を利用し半身姿勢をとる。その一瞬後、半身になったタケミツの鼻先を、金砕棒が通過!砕砕砕砕砕砕!カウンタァが無惨にも砕け散る!ALAS!あと一瞬回避行動が遅ければ、板前諸共にネギトロ死体になっていたことであろう!
更にそのまま、斜め前方で金砕棒を振り下ろしているニンジャに当て身を食らわせた!
主観時間が再び流れ出す。「グワーッ!」当て身を食ったニンジャが錐揉み回転して側面の壁に激突した。砕砕砕砕砕!壁が大きく凹み、飾られていた提灯や力士の手形が外れ落ちる!
タケミツは間髪を入れずオジギを繰り出す。「ドーモ、ムトー・タケミツです。俺はただの武者修行者だ!なぜ俺を狙うんだい?」「ド、ドーモ、クラッシュボーです。テメエ、有名人だぜ…?近々カイデンするらしいじゃねえか…!そのテメエの首をとって名を上げる!」「馬鹿野郎が!」
「問答無用!イヤーッ!」クラッシュボーは再び金砕棒を振り上げようと…、否!タケミツの抜き打ちの方が早い!「イヤーッ!」「グワーッ!」クラッシュボーの両手首が、金砕棒を掴んだまま切れ飛んだ!
「俳句を詠みな」「アバッ…金砕棒/居合道に勝てなかった/生まれ変わったら勝つ」「イヤーッ!」「グワーッ!サヨナラ!」爆発四散!
タケミツは暫しの残心ののち、板前の方を振り返った。
破砕したカウンタァの向こう、板前がのびている。突き飛ばした時に頭を打って、気絶してしまったらしい。カツオのタタキスシ獲得ならず!タケミツはうなだれた。
【ウィズ・カタナ・スシ・アンド・ヒダル】#1終わり #2に続く
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