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プログラミングは次世代の文房具

Edu.torチューターとしてご活躍のソフトウェアエンジニア、井上陽介さんにお話を伺いました。STEMやIT教育に関心のある方にはお薦めの内容です。

井上陽介チューター

チューターになったきっかけは?

Edu.torの「子どもの学びの選択肢を広げるためのお手伝いをする」というビジョンに共感しました。私がプログラミングの分野で得てきた20年以上にわたる知見を保護者のみなさまにシェアできたらと思い、参加しました。

プログラミングを学ぶ目的と姿勢

プログラミングを学ぶ目的がよくわからないという声にはどう答えますか?

私が考えるプログラミングを学ぶ目的は、問いを立てる力である「問題発見力」と、その問いを解決する「問題解決力」をバランスよく身に着けることです。

問題解決力については、日本の教育で長い時間をかけて訓練されてきました。しかしながら、問題発見力を養う練習は教育の場でまだまだ少ないです。学生を経て、社会に出ると、次の商品はどうあるべきか、お客様はどんなことに困っているかといったことを想像し、問いを立てる力が必要になりますが、それを練習する機会が圧倒的に少なく、私は社会に出た途端に大変困りました。そのような意味からも、プログラミングをたくさん体験することにより、子どもたちに、右脳を使う「問題発見力」と、左脳を使う「問題解決力」をバランスよく身に着けてほしいです。

また、プログラミングは、コンピュータを動かす手段であると共に、作りたいと思ったものを手元で気軽に動かして試すことができます。先程お話した問題発見は頭の中だけで想像するのは難しいです。しかし、プログラミングができれば、手元で動かし試行錯誤をすることができ、問いの解像度を上げるよい練習になります。いわば、頭と手の両方を使い、問いを立てる抽象的なことと、その問いを解く具体的なことを振り子のように行ったりきたりする良い訓練になります。

井上さんが子どもたちにプログラミングの目的を説明するときに使う図。
山の頂上が問いをたてる「問題発見力」を、頂上まで至る道のりが「問題解決力」を表す。

どのような姿勢でプログラミングに向き合うべきなのでしょうか?

コンピュータやプログラミング言語は日々進化しています。したがって、プログラミングは学校を出たからといって、学びがストップするものではありません。決まったものを学んでおけば将来使えるかと言ったら決してそうではないケースも多いです。しかし、流れが速いなかでもキャッチアップしながら生涯学習のように学び続けていく力をつけることもできます。

私自身が大学時代に初めてプログラミングに触れて、自分が書いたコードがコンピュータ上で実行されて動くのが単純に面白い、楽しいなという感覚を持ちました。ですからプログラミングは受験科目の一つとしてとらえるのではなく、遊び道具といった感じで向き合ってもらうのが良いと思います。保護者の方には「プログラミングは遊びながら楽しんで学習する科目」とお伝えしたいです。

保護者の方に「将来役に立つのか?」といったことを聞かれることがありますが、プログラミングで培った思考力や経験は役に立つ場面がきっとあります。もしお子さんがプログラミングをしている瞬間がイキイキと見える、子どもたち自身が楽しい瞬間があれば、ぜひプログラミングに没頭させてあげてください。

私の究極の目標は、プログラミングがみんなに浸透して、ありふれたものになり、プログラミング教育という定義すらなくなる状態になることです。コンピュータを使うための文房具のようなもの、くらしの中のひとつのツールになれば良いと思っています。

事例:CoderDojoとのかかわり

毎月子どもたちにプログラミングを学ぶ機会を提供しているそうですね。

2021年に、大阪府の藤井寺市、柏原市の2拠点にて、子どものためのプログラミング道場「CoderDojo藤井寺・柏原」を立ち上げました。CoderDojoには決まった教材がなく、パソコンだけ持参してもらいます。子どもたちは、Scratchなどのツールを使って遊びながらプログラミングを駆使して作りたいものを作ります。ゲームを作っている子もいれば、動画の編集をしている子もいる環境です。学校とは違うことが体験できて、こどもたちそれぞれの刺激になっています。

最後に、個別相談検討中の方にメッセージをお願いします。

プログラミングを学ぶことで、クリエイティブなスキルと、問題解決のHowのスキルをバランスよく身に着けられます。課題設定、問題発見の練習としてプログラミングを活用できます。

月に一回、プログラミングを学ぶ子どもたちと触れ合っています。そこから得た実体験をお話ししたり、保護者の方がプログラミングに対して不安に感じられていることを解消したりできたらと思っています。

インタビューは以上です。

IT教育、STEMなどに関心のある保護者の方は、ぜひ井上さんに相談してみてください!

今回インタビューしたチューターのプロフィールはこちら

https://edutor-tutor.com/tutors/65


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