2年間準備していただいたイベントが中止になりました。少しでもこの思いが成仏できるように、私の率直な気持ちを書きます。

※こちらの内容は一個人の見解であり、当該のイベントそのものとは全く関係がないことをご了承ください。

理由は言わずもがなですが、2年間にわたって準備してきた演奏会が中止になりました。

中学生の時に所属していた吹奏楽部のOBによる、創部65周年演奏会です。

去年卒業したばかりの高校生(64期)から、60代(14期)まで、本当に幅広い世代のOBが50人以上出演する予定で、
企画、準備は2年前から始まりました。
練習も、2年間、月に1〜2回行っていました。

私は福井県から地元の千葉県に通って練習に参加していました。(なかなか参加できなかったですが、それでもみなさんいつも温かく迎えてくださいました。)

私が所属していた吹奏楽部は
昭和43年に千葉県で初めて全国大会に出場し、
平成の終わりには、たったの14人という考えられないほどの少人数で東日本大会のステージに上がり、金賞を受賞しました。

これまでの65年間、何度も全国、東日本、関東大会に出場した母校の吹奏楽部は
小学生の私にとっては雲の上の憧れの存在であり
OBとなった今の私にとっては、生涯誇れる存在なのです。

そんな母校の吹奏楽部を、ひいては千葉県の吹奏楽文化を作り上げてきた大先輩がたと同じステージに上がって、当時の曲を演奏できるということは、私にとってこの上ない幸せでした。

そして、2年間の練習の中で、65年の歴史の重さを感じることも何度もありました。

今回のコンサートにあたって、これまでの各年のコンクール結果と演奏曲などが書かれた年表が作られたのですが、その中に「世の中の出来事」という項目がありました。
昭和35年(6期)の出来事はなんと「カラーテレビ放送開始」!

その頃には母校の吹奏楽部は千葉県2位になっていて、そこから毎年県大会、関東大会で上位となり、創部から14年後の昭和34年に、千葉県で初めての全国大会出場校になるわけです。

そこから長い長い時間を経て、平成29年。「世の中の出来事」には「藤井聡太四段 29連勝」と書かれていますが、この年にはたった14人で東日本大会金賞を受賞しました。
吹奏楽コンクールの定員は50人(A部門の場合。平成29年はB部門に出場したので定員は30人)なので、14人という人数がどれだけ少ないかわかると思います。

私もそれと同じ年度だったかな?に母校の音楽室に立ち寄る機会があったのですが、部員数の少なさには驚きました。

私の頃からたった10年でここまで変わるのか、と。

毎年行われていた定期演奏会も、第50回を最後に行われていません。
会場として利用していた市の文化会館も、安全の維持ができなくなったため休館中です。

ああ、65年とはなんと長い時間なのだろう。
その中のたった3年間でも、あの吹奏楽部の一員であれたことは、私にとって誇りであり、幸せなことだなあ。

と噛み締めながら、演奏会に臨もうと思っていたのですが…。

残念です。

特に、練習以外の見えないところでも色々な調整をして動いてくださっていた実行委員の方の無念さは、想像に余りあるものがあります。それを思ったらもう涙が止まらなくて。

それから、中にはこれが最後の機会だと思って参加された方もいたでしょう。
4月からは地元を離れる高校生もたくさんいました。
そんな子たちの気持ちを思ってまた泣いて…。

こういう風に想いが溢れて涙するのは、やっぱり我が吹奏楽部精神なのかなと思いました。

65年間で、母校の吹奏楽部に入部し、卒業した人の数は数え切れないと思います。
過ごした時代はそれぞれ違いますが、誰もが、あの音楽室に自分の青春の全てをかけたと思います。

大人になっても、楽器を持つとあの頃の気持ちになれちゃうんですね。
涙が止まらない自分に気付いた時、私の心は間違いなくあの音楽室にありました。

実行委員の方々はまだまだ色々な調整ごともあると思うので、本当に頭が下がります。
いつかまた開催することがあれば、その時は喜んで参加させていただこうと思います。

2年間、楽しい時間をありがとうございました。

こうして集まったり、あの頃に想いを馳せたりする機会を作ってくださった全ての皆様、ありがとうございました。

そして、このコンサートにご協力してくださった皆様、会場に足を運ぼうと思ってくださっていた皆様、ありがとうございました。

どうかお体にお気をつけてお過ごしください。

どこか他人事だと思っていたものが、気がついたら自分の目の前に迫っていて、とても戸惑いました。
こういう想いをしている人が、今の日本に数え切れないほどいるんだということを、身を以て知りました。
開催する、中止する、どちらも勇気のいる決断だと思います。
どうか、これから決断する全ての方が、心安らかでいられますように。と切に願います。

それぞれいろいろな想いがあって決断すると思います。
SNSでは、開催しても中止にしても、罵詈雑言が飛び交っている様子がいやでも目に入ってきます。
私なんかがここで書いたところで何にもならないのだけれど、私は、
開催の決断をする人にも、中止の決断をする人にも、どちらにも「お疲れ様でした」と声をかけて寄り添いたいと思っています。

それから…
我が吹奏楽部ならではの曲を貼っておきます。

母校の吹奏楽部を創り、それから30年にわたって指導し続けた伝説のような先生がいるのですが、その先生といえば!という曲「軍艦行進曲」です。(昭和48年バージョン)

https://www.youtube.com/watch?v=NPELxVx1f2U

そして、数年前にその先生が亡くなってからは、OBの演奏では指揮台には誰も立ちません。

私は「軍艦行進曲」の存在は知っていましたが、吹いたのは数年前が初めてでした。
その先生のことも話でしか聞いたことはありませんが、それでも、誰もいない指揮台に向かって「軍艦行進曲」を演奏しながら、涙が止まりませんでした。

その時の演奏↓(平成31年バージョン)

特殊な曲なのでいろいろな感情があると思いますが、なぜこの曲が我が母校の定番曲になったのかというエピソードもなかなか興味深いです。

いつか演奏会が開催されることがあれば、よかったら聴きにきてください。





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