ガラス?プラスティック?無関心ではいられないグリーンなスキンケアのパッケージ問題
2020年7月1日からプラスティックのレジ袋が有料化され、日本でも環境問題に対する意識が高まっています。10人あたり約9人近くの人がプラスティックごみ問題に関心があると答えています。
レジ袋の有料化にともなって、プラスティックごみの削減に対して何らかの形で変化があったと答え、マイバッグやマイボトルを持ち歩く前向きな意識や行動が約4割の人にみられたといいます。
スキンケア、ビューティ&ウェルネスの分野でも、包装容器の素材について長年に渡り、環境にやさしい包装パッケージについての議論が続いています。長期期間にわたって、ガラスかプラスティックかという2択の議論に始終していましたが、今後はより幅広い選択ができる技術が開発され、選択肢が増えそうな気配です。
これまではガラスか石油系プラスティックが化粧品の容器、パッケージの主流でしたが、新しい技術の開発でより幅広い選択ができると期待されています。
そんな変化がみえつつある、これからのエコな化粧品の包装パッケージについてお話ししましょう。
プラスティックがなぜ問題なの?
軽くて丈夫で便利な素材、プラスティックの削減が求められています。クリーン&グリーンなスキンケアブランドなら、環境に負荷を与えないよう容器の素材にもこだわりますよね。
スキンケアとプラスティックごみ問題の関係は主にマイクロプラスティックと呼ばれるサイズ5mm以下の小さなプラスティックの粒や破片によるものです。
プラスティックは紙や木とちがい、海に流れでても半永久的にそのカタチを留め続けるという特徴をもちます。海へのポイ捨てやごみ処理されなかったプラスティックがさまざまな経路をたどり、紫外線や波によって劣化しマイクロプラスティックとして海に溜まりつづけます。
洗顔料、ボディ(フェイス)ポリッシュ・歯磨き剤などの化粧品には小さなビーズ状のプラスティックがスクラブ剤として使用されています。また化粧品のパッケージは石油系プラスティックが大部分で、そのパッケージが砕けてマイクロプラスティックとなります。
プラスティックに替わるパッケージ
クリーン&グリーンなスキンケアでは、プラスティックの容器の替わりにどんな素材の容器が選ばれているのかを見ていくことにしましょう。
ガラス
ガラスはガラスは珪砂(ケイシャ)、石灰石、ソーダ灰を材料とする天然素材。再利用や再加工が可能で、燃やしても自然に悪影響を及ぼすことが少ないのでエコロジーやナチュラルにこだわりの強いブランドから圧倒的に支持されている包装パッケージ素材です。
使いまわしの効くガラス素材ですが、そのままのカタチでリユースされることは少ないのが現状です。人力による検品や洗浄によるコストを考えるとガラスの大部分はは再加工して利用されています。
ガラスの製造が環境に与える問題として、加工の際のエネルギー大量使用があげられます。エネルギーは重油やガスなどの化石燃料を使用し、燃焼の過程で地球温暖化の原因となるCo2を排出します。
また、ガラスには破損や重量が重くなるなどの問題点があり、現在ではガラスの化粧品容器が数を減らし、石油系のプラスティックが多く使われます。
バイオプラスティック
バイオプラスティックとはバイオマスを原料とするプラスティックです。バイオマス(地上にある植物などの生物資源)は再生可能資源ではありますが、バイオプラスティックに加工された容器に生分解性があるとは限らないので注意が必要です。
例:バイオPET、バイオPEはバイオプラスティックですが、生分解性はありません。
生分解性とは「生分解性材料とは、微生物によって完全に消費され自然的副産物(炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなど)のみを生じるもの」と定義されています。
つまり、一般のプラスティックとは異なり、時間の経過とともに 自然界の微生物によって分解されます。最終的には水と二酸化炭素に分解されるので、ゴミとして溜まることがありません。
バイオプラスティックは地上にある植物を原料とし、二酸化炭素の増減に関わらないカーボンニュートラルの性質をもつため、環境にやさしいといわれます。しかし、製造時には一般のプラスティック同様にエネルギーを必要とするため、完全なカーボンニュートラルとはみなされない場合もあります。
生分解性プラスティック
生分解性プラスティックの原料はバイオマスと石油由来のものに分かれます。生分解性がある包装パッケージであれば、原料は問わないと定義されています。
生分解性プラスティックはメリットばかりではありません。一般のプラスティックと比較すると高価であること、リサイクルやリユースに適さない完全な使い捨て素材であることなどのデメリットもあります。
リサイクル
リサイクルされたプラスティックを容器として化粧品の包装パッケージとして使用する動きも注目されています。とはいえ、コストがかかる、品質の劣化、プラスティックの素材(PET, PP,PEなど)による分別の必要性、汚れなどの問題があり、再生率は低いのが現状です。
ごみとして回収されたプラスティックの大部分は焼却処分されるか埋め立てに用いられ、リサイクルされるのはほんの一部にとどまっています。
紙
固形石鹸、ソリッドシャンプー、ソリッドコンディショナー、バスボムなど、固形の化粧品なら紙のボックスやラッピングペーペーなどで脱プラスティックを図ることができます。
紙筒をパッケージとする口紅やコンシーラーなども年々存在感を増しており、紙の可能性が今後も注目したいところです。
プラスティックごみの量
世界で生産されるプラスティックは年間約3億トンといわれ、そのうちの約800万トンが海に流出して環境に大きな影響を及ぼしています。そのうち日本から流出するプラスティックごみは2~6万トンと推量されます。
あまり知られていませんが、日本は1人あたりがだすプラスティックごみの量が世界でもトップクラス。使い捨てのプラスティック容器の削減が求められています。
クリーン&グリーンビューティとプラスティック
環境問題に敏感なクリーン&グリーンビューティでは、今後も容器についてはさまざまな議論が交わされることでしょう。問題を解決するためには行動を起こすこと。まだ誰も挑戦しないことに挑んでいけることがクリーン&グリーンビューティブランドの素敵なポイントなんです。
参考:
「環境問題に関する世論調査」内閣府
第1回 日本人の環境危機意識調査
【増え続ける海洋ごみ】マイクロプラステチックが人体に与える影響は?
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