和の柑橘の代表格・ユズとスキンケア

12月にもなると八百屋の店先に並ぶユズをながめては、冬を実感します。種だらけで、果汁はとてもすっぱくて、実生（種から育てて実がなる）だと10年以上の年月がかかる個性的な柑橘がユズです。

強烈な酸味はポン酢にぴったりで、鍋料理にユズがあるとまちがいなく盛り上がるものです。ユズは過食部分が少ない果実なのに人を幸せにしてくれるエネルギーに満ちたとっても魅力的な柑橘です。

でこぼこした黄色い果皮が愛らしくて、パワフルなユズがもたらしてくれるスキンケアの力を改めてみていくことにしましょう。

ユズの香りとスキンケア

ユズの香りって独特ですよね。オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、ベルガモット、タンジェリンなど、他の柑橘類とは似ているようで、ほどよく主張する個性的なユズの香りが大人気です。

茶碗蒸しにほんの１片隠れているだけで、印象がガラッと変わるパワーの香りに魅了される人はきっと大勢いるはずですね。

個性的なユズの香りは主にリモネンとリナロールなどの化合物によるもので、鎮静効果が認められています。この効果が不安や緊張をやわらげて、リラックス気分をもたらしてくれるというわけです。

海外のインディースキンケアでもこのユズの香りが大人気で、主にボディケアやフレグランスにユズの香りが使われています。オレンジやライムにない「ワビサビ」に通じる和のテイストを感じていただけるようです。

ユズ独特のビターで何かいいたげな香りがパンデミックで拡がり続ける不安や緊張、怒りや疲労感を軽減するのに役立つように祈ります。悲しみや苦しみの中にいる方に希望が注しますように…

お風呂あがりのユズの香りのボディオイルが「明日がある」というエネルギーをあたえて、疲れている人をいたわってくれますように…

ユズ皮とスキンケア

無病息災の願いがこめて、冬至にはユズ湯にはいるのが楽しみです。ユズの果実を湯舟に浮かべることで、血行を促進して体をあたためるといわれ、プカプカと湯に漂うユズの姿を見ながら、甘くさわやかな香りを嗅ぐと、風邪も寄ってこないという根も葉もない自信が湧いてくるから不思議です。

昔から肩こり、腰痛、神経痛、痛風の痛みにもユズ湯がよいといわれていたそうだから、いろいろな植物をお風呂にいれて実験した結果が今に語り継がれているんですよね。ユズってやっぱりすごいです。

ふやけたユズをもみもみしていると果皮がやぶれていい香りが漂うのですけれど、敏感肌や肌が弱い人ならヒリヒリ感じるかもしれません。健康な肌を持つ人は果汁を顔や体にこすりつけて、あかぎれや肌荒れ予防にすることもあるようですが、本当なのでしょうか？

ユズ皮の使い方でお気に入りなのは、七味唐辛子です。食べられるスキンケア「エディブルスキンケア」としては、おすすめのスキンケア食材であることは間違いありません。

ユズの皮は橙子皮（とうしひ）という生薬名をもっていて、魚介類の食中毒に薬効があると書かれています。試した人すごい！

ユズ種子とスキンケア

ユズの果汁を絞るとき種の多さに閉口することはありませんか？小さな果実の中に種子がいっぱい詰まってます。実がなるまでに10年以上もかかるだけに子孫を残すための戦略なのでしょうか。

ユズの種と言えば、おばあちゃんの知恵としてユズの化粧水は今でも大人気です。化粧水用に種が販売されていたりします。種の周囲に多いペクチンがトロトロの使用感をつくりだしてくれます。

ユズを料理したときにはたくさん種が取れたら、からからに乾燥して保存できますが、このときの注意点はしっかり乾燥させないとカビが発生するという点です。

ユズの種子を搾るとユズ種子油がとれます。希少な植物油なのでとても高価なのですが、メラニンの生成抑制効果やアトピー性皮膚炎の症状緩和が研究されているそうなので、今後が楽しみです。

青ユズとスキンケア

青ユズ（未熟果）の種子の油には黄ユズ（完熟したユズ）種子にはない成分が含まれ、とくべつな効果があるといわれます。摘果した青柚子が使えるのならすばらしいですね。

青柚子の香りは完熟したユズにはない青々しくさわやかさがあります。この香りを楽しむために柚子胡椒を手作りする価値があるというものです。

青柚子をウォッカなどに漬けてつくる青ユズ酒は疲労回復や冷え性の効果が強いといわれているので、青柚子をみつけたら挑戦してみようと思います。リモンチェッロ（イタリアのレモンリキュール）のように作ればいいのだとか。楽しみです。

和の美容素材・ユズ

今のところユズの生産量は日本が最大だそう。いつまでも和の美容素材の代表格でいてほしいところですが、海外でも栽培が始まっているとの噂も。やっぱり日本のユズでなくちゃと言われたいものです。

ユズの収穫は棘との戦いと聞いたことがあります。おいしいものには棘があるんですね。そう思うとユズ農家さんに感謝を捧げるしかありません。今年も可愛らしいユズをありがとうございます！