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「スポーツビジネス最前線」の講演会に参加し勉強してきました。

WASEDA NEO事務局が開催する「スポーツビジネス最前線」に参加してきました。講師は、江戸川大学教授、博士(スポーツ科学)小林 至さんです。

92年千葉ロッテマリーンズにドラフト8位で入団し、東大卒プロ野球選手史上3人目。02年から江戸川大学助教授(06年から教授)、05年から14年まで福岡ソフトバンクホークス取締役を兼任。

一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)理事、スポーツ庁スタジアム・アリーナ推進官民連携協議会幹事、テンプル大学客員教授、立命館大学客員教授など務めておられ、選手、研究者、球団経営者、協会の理事と多岐にわたる経験や知識を持たれており、非常に興味深い講演でした。

出典:Waseda Neo


本ブログのアウトラインは、次の通りです。
1、スポーツビジネスの成長目標:25年までに約3倍!!
2、福岡ソフトバンクホークスにおける様々な取り組み。
3、スポーツビジネス発展のアイデア。
4、全体の感想。


1、日本のスポーツビジネスの市場規模は12年時点現在5.5兆円、25年に3倍へ成長することを目標。

新たなスポーツビジネス等の創出に向けた市場動向
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/30/05/__icsFiles/afieldfile/2018/05/31/1405699.pdf


スポーツビジネスとは、、、
試合から派生する権利を換金するビジネスで、需要と供給が価値の根拠になるという権利ビジネスでもある。(下記曲線カーブで需要と供給が交わった均衡点にて価格が決まる)

世界のスポーツビジネスの市場規模は約16兆円で、主に4つから構成されています。
 ① チケット(31%)
チケットの売上は、スポーツビジネスを支える根幹部分。NFLスーパーボールのチケットは、一番安い席で50万円、Suiteという特等席になると4,000万円にもなるそうである。チケットの価格設定という点では、MLBでの取り組みが紹介され、ダイナミックプライシング:需要予測に基づき適正価格を変化させる仕組み、が主流になっているそうです。

 ② 放送権(31%) ③ スポンサーシップ(24%)
スポーツチームのユニフォームに企業ロゴを入れて、企業認知度を高めるという手法で、これまでのスポンサーシップの主流でした。一方で、新しいマーケティング手法としてアクティベーションというものがある。広告以外の方法でブランドの認知度を上げ、顧客に何らかの行動を起こさせるための一連の活動を指し、アメリカNFLスーパーボールでのGatorade(スポーツ飲料)のアクティベーションキャンペーンが紹介された。世界中で1億6000万人が見たということで大いに驚きました。

百聞は一見に如かず、まずはご覧ください。


 ④ マーチャンダイズ(14%)
商品化の権利、ロゴなどの肖像権のことです。


2、福岡ソフトバンクホークス
05年から14年まで福岡ソフトバンクホークスの取締役だった小林さん、当時の取り組みを紹介してくれました。ちなみに私は99年ぐらいからのファンで、当時はまだ王さんが率いるダイエーホークスでした。ドームでバイトしていた頃が懐かしい、、、


・鷹の祭典
元々GWの時期は観客の入りが悪く、不入り対策として始めた企画。年10試合の特別企画がみるみる人気を博して、今や当初の3倍の売上規模まで成長している。

・地域密着路線
球団ロゴを一般に解放し、地元の人に使ってもらえるようにした。例えば、「ホークスが買ったら、、、」のような企画を地元企業やお店がやることで、テレビ主導型から、地域密着型へと移行が進み、地域との繋がりが大いに高まった。

・行政の巻き込み
アメリカだと地域自治体が球場を作り、球団に貸し出すのが一般的であるのに対し、日本では全て球団が担わなくてはならない。そうした中、ホークスではファーム本拠地となる福岡県筑後市と16年1月に地域包括連携協定を締結し、スポーツ・野球振興に限らず地域発展や地域の青少年健全育成などの協力を進めています。福岡市、久留米市、糸島市、大牟田市とすでに提携を行っており、5例目となっている。


3、発展が期待できるスポーツビジネスのアイデア。

講師の小林さんの視点からいくつかアイデアの紹介がありました。

 ①アマチュアスポーツ
NBAドラフト2019にて、ゴンザガ大学に所属する日本代表の八村塁選手がワシントン・ウィザーズから1巡目全体9位指名を受けたのは多く方がご存知のことでしょう。彼はNCAAカレッジバスケットで1年次から活躍、3年の今年も出場しています。

NCAA男子バスケの市場規模が約1,000億円、日本の高校野球甲子園大会が10億円ですので、まだまだ成長する可能性がありそうです。


 ②UNIVAS
一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、19年3月に発足した日本の大学スポーツを統括する団体です。

小林さんは、一般社団法人大学スポーツ協会の理事をされており、想いを話してくれました。中体連、高体連はあるのに、大学の連盟はない、アメリカなど海外にはある、これがスタート地点のようです。大学スポーツでの統合された情報やデータが、今後のビジネスの可能性を広げると考え、まずは協会を作ることを優先したとのことでした。

 ③スポーツギャンブル
イギリスのブックメーカーが有名なスポーツギャンブル。アメリカでも合法化され、1兆円規模の市場が出来上がっています。

 ④ファンタジースポーツ
私は初めてこの単語を知りました。プレイヤー自身が仮想のプロスポーツ球団のGMになり、実在する好きな選手を集めて一種の「ドリームチーム」を作り、他のプレイヤーの作ったチームと対戦するというゲームです。

米国にて長らく違法とされてきたスポーツベットの「代替」となるサービスとして利用され、15年時点で利用者数が約5,600万人、市場規模は約3兆円に及ぶとのこと。
出典:https://blogos.com/article/318676/

 ⑤PPV
これはPay Per Viewの略で、動画コンテンツ等のインターネット配信や、衛星放送、ケーブルテレビにおける課金方式です。15年5月に行われた「メイウェザー Jr. 対パッキャオ戦」では、PPV購買件数が460万件に達して売上は360億円、興行収入は480億円に達しています。
出典:Wikipedia

 ⑥地域活性化
アメリカMLBとは独立したマイナーリーグでの経営での取り組み、また球場をまるでBarのように使用し親睦や団欒の場として活用しているSt. Paul Saintsの紹介がありました。


4、講演の感想など

「想いを公言することで、好きな仕事を惹きつけられる」。小林さんは、東大生の時にプロ野球選手になりたいと周りに話し、結果的に千葉ロッテの金村監督から指名を受けています。また選手引退後、スポーツ科学の研究に当たってはプロ野球界のドンこと、ナベツネさんに会いたいということを公言し、同じく会って話す機会を得ています。

想いを公言し、熱意と行動力があれば結果はついてくる、そんな熱いメッセージを頂いたように思います。


スポーツビジネスの世界は、我々が支援していくアスリートの方の活躍のフィールドの1つになるでしょう。スポーツの現場を知っているというのは、大きな強みですし、選手だからこそ生まれるアイデアや企画というのは、新しい価値に繋がっていくと信じています。


アスリートの方が持つビジネスでの高いポテンシャルを発掘し、開花するサポートするのが我々エッジフォースの役割です。キャリアや就職先でお悩みでしたら、一度ご相談ください。


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