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「温かい政治をもう一度この国に取り戻す。」街頭演説 #新立憲大作戦1105 @新宿東南口 11/5 《全文書き起こし》

11月5日、立憲民主党の仲間とともに、東京・新宿駅東南口にて街頭演説を行いました。以下では、私の演説の全文書き起こしを公開します。

※演説の様子は、YouTubeでご覧いただけます。

街頭演説 11/5全文書き起こし

たくさんのみなさんにお集まりをいただいたり、足をとめていただき本当にありがとうございます。立憲民主党代表の枝野幸男でございます。どうぞよろしくお願い致します。

9月15日に新しい立憲民主党がスタートしました。翌日、菅内閣が正式に発足をしました。そこから一ヶ月半。

この国のこれからの選択肢を明確にしたい、そんな思いで、もうひとつの選択肢をしっかりとお示しをしたい、そんな思いで、新しい立憲民主党をスタートさせました。

菅政権がいろんなものを剥き出しにしている。その結果として、みなさんに明確な選択肢をお示しできている。そういう状況になっていると思っています。本当にこの今の日本で、自助努力を求める冷たい政治をこれからも続けていっていいのか、それとも、困ったときにこそ、困難にぶちあたったときにこそ、しっかりと支えていく支え合いの共生社会を作る、そんな温かい政治をもう一度この国に取り戻すのか。私は、明確な違いが、明確な選択肢が今国民のみなさんにお示しできるようになったと思っています。

自助とか自己責任とか、それは私も親の立場として、中学二年生の双子の子供達には「そんなもん自己責任だ」と言ってます。しかし、政治が自助を国民のみなさんに訴えて、本当にいいんでしょうか?今、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、仕事を失って、例えば、子供をかかえて食べるものにも困っている、財布の中に数千円しか残っていない、収入がゼロになっている、こういう声がたくさんあがっています。

そういう人たちの声、この間の本会議の代表質問でも、ひとつだけ紹介させていただきました。「『しんどいのはあなただけじゃないんだ』、そう言われるのが一番しんどかった」。まわりに、政治や行政に救いの声をあげたくても、それをはばかるような、そんな社会風潮になっていませんか?それは、自助を求める、自己責任を強いる、政治の責任ではありませんか?

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今、自分は幸い勝ち組だと思っていらっしゃるみなさん。でも、この新型コロナウイルス感染症も、そしてその影響で、今勝ち組だと思っていた人も、厳しい状況に追い込まれています。去年の今頃、飲食業者のみなさん、観光業のみなさん、「来年2020年は東京オリンピック・パラリンピックだ、たくさんの観光客が来てくれる、来年はもうかるぞ」と、勝ち組だったはずじゃないですか?そのみなさんが、新型コロナウイルス感染症の影響で一番厳しい状況に追い込まれている。何年も修行してようやく店を出して、でも、まったく予想と違う状況になって、閉店をせざるをえなくなった人もたくさんいる。この人たちは、自己責任なんですか?自助努力が足りなかったんですか?今勝ち組だと思っているあなたも、人生のなかでは必ず自分の力だけではどうにもならないときがあるんですよ。政治は何のためにあるのか?そのときのためにあるんじゃないですか?

自己責任だ、自助努力だ、競争だ、民間に委ねればいいんだ、こういう方向で三十年あまりの一方づいて偏って走りすぎて来たら、そのしわ寄せが今私たちの社会にある。もうひとつの選択肢をともに歩んでいきませんか?

先日、中曽根元総理の合同葬というのがありました。中曽根元総理に対する評価はいろいろあるかもしれませんが、国鉄を分割民営化した。電電公社は今NTTになっています。こうやって民営化を進めて、それがひとつの大きな実績として評価された。それは間違いありません。でも、それは昭和の時代です。私はまだ大学生でした。あそこから平成の三十年を超えて、今、令和の時代に私たちは生きているんです。この三十年あまり、2009年からご期待に答えられなかった。申し訳なかった。三年三ヶ月、なんとか違う方向へと、われわれは頑張りましたけれども。でも、その期間を除いたら、ずっと中曽根さんのしいたレールの上、どんどん加速してきているんじゃないですか?

こんなの日本だけですよ。アメリカのレーガンさんとか、イギリスのサッチャーさんとか、競争だ民営化だ、同じように並んでました。その後、アメリカはクリントンさんとかオバマさんとかいたじゃないですか?どの国もたしかに競争は社会のなかに必要で、行政はほっときゃどんどんどんどん無駄を自分たちで生み出していく、そこにはメスを入れていかなきゃいけない。でも、そっちにばっかり偏りすぎた。その結果として、今の日本は、明日の不安がどの先進国よりも大きな国になってしまっています。

だから、実は、このコロナがなくても、日本の経済はずっと先進国のなかでは一番悪い成績でした。安倍さんがやっていた七年八ヶ月、株価は上がりました。でも、結局、七年八ヶ月やっても、日本の実質経済成長率、実際に日本の経済がどれぐらい成長したのかという数字は、安倍さんが悪夢と呼んでいた三年三ヶ月よりも悪い成績だったんですよ。

「じゃあ、その時はよかった」なんて言うつもりはありません。ずっとバブルがはじけてから日本の経済は、1%あまりの低成長なんです。先進国で日本ぐらいですよ、こんなのは。なぜですか?国内で物が売れないからです。輸出はそれなりに頑張っているんです。国内で物やサービスが売れない。なぜだか?もう世界は答えを出してくれています。OECDという経済協力開発機構、経済分析の一番の権威と言っていいでしょう。このOECDは、2014年に五年以上前に、「格差は経済成長を低下させる、格差が広がれば経済はのびにくくなるんだ」という明確なレポートを出しているんですよ。だから、世界中の先進国は、それから、いかに貧困をなくすか、そうしないと実は、消費がのびない、そういう方向にシフトしてきているんです。やってないのは、日本と、トランプさんのアメリカだけだったんです。

考えてみれば、わかりますでしょ。お金がなきゃ買い物できないんです。どんなにいいものを安く売り出しても、どんなにいいサービスを安く売り出しても、買う側にお金がなければ、売れるはずないじゃないですか?年収百万の人は、百万しか買い物できないでしょ、一年間に。ましてや非正規雇用でいつ仕事を失うかわからない、そんな状況じゃローンも組めないじゃないですか?そして、老後のための蓄えがある、そういう高齢者のみなさんでも、今元気だからいいけど、病気になったら医療費いくらかかるかわからない、介護が必要になったときに、公的な介護保険では十分な介護を受けられない。これでは老後の蓄え、老後になって使えますか?だから、これからの社会にとって必要なことは、今貧困に苦しんでいるみなさんをしっかりと支える、正社員になりたいのに非正規しか口がない、そういうみなさんをできるだけ早く正規職員にする、正社員にする。そうすることによって、使えるお金を増やさないと、消費はのびない、景気は良くならない。老後のための蓄えがある高齢者のみなさん、それを全部使う、それは無理でしょう。でも、元気なうちに旅行に行こうとか思えるためには、医療や介護の安心を高める。こういう政策こそが、今求められているなによりも実は経済対策なんですよ。

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私は、本会議でも聞きました。だけど、まったく、申し訳ないが、菅さんピンときていない。今の政権はピンときていない。なぜなら、頭の中がまだ昭和なんですよ。公共事業を増やせば景気がよくなる。金融緩和と言って、銀行がじゃんじゃん金を貸す、そうすれば、みんな金借りて、家を立てる、新しい工場を立てる。昭和はそうだったんです。でも、もう三十年以上たって、同じやり方が通用しない時代になったんだから、もうひとつの選択肢を、みなさん、私たちと一緒に育てませんか?

急がなければなりません。明日の食事にも困ってらっしゃる、そういうみなさんがたくさん出ています。コロナの影響でお客さんが減って、ギリギリ頑張ってきたみなさんが年末年始にかけてもうこれ以上保たない、いよいよ限界を越えようとしています。一日も早くまずはこれを下支えしなければいけない。そして、明確に老後の安心を。

医療や介護、子育て支援、保育支援、学童クラブ、そこで働いている人たちみんな低賃金で不安定なんです。国が制度をちゃんと変えて、ちゃんと財源をまわしていけば、こうした人たちを正規雇用にして、安定的な収入を得られるようにできる。今人が集まらないから増えていかない。人が集まるようになって、老後や子育ての安心が高まって、こういう社会に転換をしていくことはできるんです。ぜひ私たちと一緒に、そうした互いに支え合うことで、社会も経済も安心できる、安心が新たな活力を産む、そういうもうひとつの道を作っていこうではありませんか?

もう一点だけ言わせてください。学術会議の問題です。政治は、あるいは、政権は、選挙に勝ったら何をしてもいい、それが民主主義でしょうか?違います。本当の民主主義は、きちっとしたルールに基づいて、選挙に勝っても、勝ったから好き勝手できるんじゃなくて、国民のみなさんから一時的にいろんな権限をお預かりしているにすぎません。残念ながら、安倍さん以降、そして、菅さんになって、ますます明確になりました。「気に入らない人が、政権にたてつく人が、なんで学術会議みたいなところにいるんだ!」それは、私だってそういう立場に立ったら、そういう感情を持つのはわかります。だけど、まさに政治の権力をお預かりする者はつねに厳しい批判に晒される。それに耐えられることが、民主主義のリーダーの責任だ、資格だと思っています。批判に対して、「俺は権力を持ってるんだから言うこと聞け」ではなくて、言葉で、主権者のみなさんを説得する努力をする。それが、民主主義のリーダーだと、私は思います。説明する意欲も、説明する力もないなら、民主主義のリーダーとして相応しくない。

残念ながら、私も、昨日予算委員会で、この問題を聞かせていただきました。今日も、参議院で蓮舫さんを先頭に聞いてくれました。特に同僚の小西参議院議員は法律的に緻密にいかに筋が通っていないかということを問い質してくれました。でも、何も答えない。法制局がいいと言ったから。忘れないでください、内閣法制局というのも政府の組織ですからね、内閣の組織ですからね。それこそ法制局長官なんていうのは、新しい内閣ができると閣僚の名簿が新聞に載るでしょ、あそこに載ってませんか?政治任用なんですよ。大臣を選んだりするのと同じように、法制局長官っていうのは、政治任用するんですよ。だから、内閣総理大臣の鶴の一声でいつでも首にできる。自分の都合のいい人間を置ける。その組織がいいと言ったから、何の理由にもなってないじゃないですか?

今、この新型コロナウイルス、この影響で、命と暮らしを守らなければならない。バブルがはじけてから三十年近くにわたる社会の停滞をそろそろいい加減転換しなければならない。そのためには、国民のみなさんと、あなたの一人ひとりのその声に、もちろん物理的には全部聞くことはできません。全員の現場を見ることはできません。でも、いかにそこに寄り添うのか、その意欲のある政治へと変えていかなければ、あなたの暮らしを守れないじゃないですか?今、残念ながら、その意思を失ってしまった政治を一日も早く変えていかなければならない。そう考えています。ぜひ私たちに力を貸してください。

ようやく百五十人の仲間で、私も、みなさんに政権のもうひとつの選択肢、そう訴えることができる状況を作ることができました。仲間でしっかりとみなさんの暮らしに寄り添った「あなたのための政治」を前に進めていきます。「あなたのための政治」を作るために、あなたの力が必要です。ぜひ私たちとともに、命とくらしを守る「あなたのための政治」を新しく作ってください。そのことを心から、心からお願い申し上げまして、立憲民主党代表枝野幸男から新宿のみなさんへの心からのお訴えとさせていただきます。私たちも頑張ります。ぜひ力を貸してください。よろしくお願い致します。ありがとうございました。


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