見出し画像

「厳しい状況にある人に寄り添う政治を。」 枝野幸男街頭演説@福岡天神 10/18 《全文書き起こし》

10月18日に福岡にお伺いし、立憲民主党福岡県総支部連合会の結党大会に出席後、福岡市内の天神にて街頭演説を行いました。以下では、演説の全文書き起こしを公開します。

※街頭演説の様子は、下の画像をクリックしてご覧いただけます。

画像1

街頭演説 10/18全文書き起こし

9月15日、150名の国会議員の仲間が新しい立憲民主党がスタートをしました。そして、今日、福岡で福岡県連、立憲民主党福岡県総支部連合会が結党大会を行ったところでございます。

私たち野党は、残念ながら、この8年近くにわたって、有権者のみなさんのご期待に十分に答えることができませんでした。しかし、いまこのタイミングで、ようやく8年ぶりに衆議院で100名を超える仲間が結集して、もう一つの選択肢を国民のみなさんに示さなければならない、そうやって新しい立憲民主党を立ち上げるにいたったことは、ある意味では「時代の要請」であると思っています。

新型コロナウイルス感染症で多くのみなさんの日常が大きく変わりました。命のくらしが極端に脅かされる、そんな方々が急激に増えてしまいました。日本の医療は世界でもっとも高い水準にある、多くのみなさんがそう信じていたのではないでしょうか。ところが、実際はどうでしょうか?3月、4月のピークのとき、そして夏のピークのとき、みなさんやみなさんのまわりにも、保健所に電話したけれどつながらない、高熱でうなされながらどうしていいのかわからない、そんな状況に追い込まれてしまった方はいないでしょうか?保健所に電話してもなかなか検査を受けられない、検査を受けて陽性と言われても、病院に空きがないから待ってくださいと言われた。そんななかで、もしかするともっと早く対応されていれば救えた命があったかもしれません。

この感染症に対応するために、多くの病院でベットを空けなければならない、病棟を空けなければならない。その影響で、もっと早くできたはずの手術を待たされた人が、救急車が近くの病院に受け入れ先がなくて遠くまで急病人を怪我人をはこばざるをえなかった。そんなことが各地で起こってしまいました。なぜこんなことになったのでしょうか?やむをえなかったのでしょうか?違います。例えば、保健所は、この20年、30年の間に、多い時から比べれば3分の2や半分ちかくまで、減らされてきた。目先の効率性、競争だ、医療の世界、病院だってそうです。採算に合わない病院は統廃合する。ベットの空きがもったいない。たしかに、病院の単なる経営として考えれば、ベットを埋めた方がいい。日本中の病院がそういう方向に走らざるを得なかったから、感染症で急に沢山の患者さんを受け入れなければいけなかったから、日本の医療はパンクをしたんです。命を守れないそんな医療にしてしまったのは、政治の実はこの間歩んできた道がどうやらまちがっていたのではないか?私はそう思っています。

画像2

直接に命に関わる分野だけではありません。高齢者の施設、障害者のみなさんの施設、保育所や学童保育、濃厚接触はさけられません。だけれども、実は365日1日たりともかかすことができないサービスです。保育所をしめてしまったら、保育所にお子さんをあずけて病院で働いていらっしゃる医療関係者のみなさんは医療を提供できなくなる。特別養護老人ホームの高齢者は24時間365日必ずお世話が必要なんですよ。こういうところもみんな、目先の効率性だ、競争だ、官から民へだと言って、どんどんどんどん厳しい状況に追いやられてきた。日々において、そうしたところが一番最初にしわ寄せを受けている。残念ながら、十分な感染対策が取れない、代わりの人間もいない、そうした状況で高齢者施設がクラスターの場になってしまい命を失ってしまった方が沢山いらっしゃいます。本当にこんな社会が、みなさんが望んでいた新しい時代の社会の姿なのかを問い直したい。もう一つの選択肢を国民のみんさんにしっかりと示さなければならない。私はそんな思いで、他の野党の仲間のみさんとさまざまな違いを乗り越えて、一つにまとまって、新しい高い旗を掲げようじゃないかと呼び掛けさせていただきました。

感染者の数は一定の落ち着きを見せていると言われていますが、その影響はかなり深刻化しています。コロナのせいでお客さんがこなくなった、飲食店、観光業、それだけじゃありません。いろんなところに影響が出ている。まずは非正規で働いていた一番所得が低い、一番弱い立場の人から仕事を失っている。なんとかふんばってコロナ禍が終わればと頑張ってこられた方々、小さなお店や中小企業がどんどんどんどんいま保たなくなっている。こうした厳しい状況のときに支えるのが政治の役割なんじゃないでしょうか?

菅さんは、自民党の総裁選挙のときに、「自助、共助、公助、そして絆」とおっしゃいました。道徳の先生が言うならいい話かもしれません。親が子供に言うならいい話かもしれません。でも、政治とは何のためにあるのか?その根本を見失っているんじゃないか?人生どんな方でも生きている間では、自助では、自分の力だけではどうにもならないことがある。家族やお隣近所や友人に支えてもらっても、それだけではどうにもならないときがある。政治というのは、そのときのためにあるんじゃないでしょうか?なのに、政治家が自助とか共助と言ってしまったら、それは政治の責任放棄だと思います。

今日、中曽根元総理の内閣・自民党合同葬というのがありました。いろんな評価があると思います。中曽根さんが行政改革と旗をふって、国鉄や電電公社の民営化をしたのは、昭和の時代です。あの時代には、民営化とか行政改革というのが、一定の合理性があったかもしれません。でも、そこから30年以上経っているんですよ。あの時代はまだ、日本の人口は増えていた。これから高齢化社会が進むんだということが心配されていました。平成の30年間は、日本はもうすでに世界有数の超高齢化社会になっています。少子化がますます進んではどめがかからなくなっている。それなのに、あの昭和の時代の官から民へとか、自己責任とか、競争とか、目先の効率性とか、新自由主義とか、こういう古い時代の政治を残念ながら、30年以上にわたってこの国は続けてきた。その結果が、このコロナに対してあまりにも脆い弱い社会にいまなっているんじゃないのか。もう方向転換しましょうよ!もう一つの選択肢をしっかりと受け止めて、もう一つの道へ進みませんか?

画像3

社会は、自分の力だけではどうにもならない。お互いに支え合って、私たちの人間社会はできている。でも、家族とお隣近所や友人同士とか、そういう支え合いではどうにもならないくらい社会はある意味で進歩してしまっている。日本という国全体で、きちっと支え合う社会を作っていかなければ、ますます増えていく高齢者のみなさん、高齢化社会をどうやって乗り越えていくんですか?今更自己責任を言われたって、自己責任ではなにもならないじゃないですか?社会全体を支えない限り、この社会は成り立ちません。

政治が産めよ増やせよと言うのは間違っている。子供は別に金のために経済のために生まれてくるわけではありません。でも、子供を生み育てたいと希望しながら諦めている方が沢山いるこの社会。その社会が少子化でさまざまな困難がより高まっている。安心して子供を生み育てることができる社会、家族だけで夫婦だけでできますか?地域の助け合いでできますか?希望する人が安心して子供を産むことができる社会、それが人口減少にブレーキがかかる社会じゃないですか。だとしたら、社会全体で子育てをしっかり支えるのは当たり前じゃないですか。その当たり前の、いつまでも「小さな政府」という幻想に縛られるのではなくて、いつまでも新自由主義に縛られるのではなくて、それはレーガンさんやサッチャーさんや中曽根さんの時代なんですよ。変えようじゃありませんか。

医療の現場は、いま、コロナの影響を受けて実は経営が大変厳しい状況に追い込まれている。そこで働いている、例えば看護師さんやさまざまな医療関係者のみなさんは、コロナの影響で忙しくて大変なリスクのなかで働いているのにむしろボーナスが減らされている。看護師さんにしても、あるいは、保育士さんにしても、介護職員にしても、障害者施設で働いているみなさん、学童保育の指導員のみなさん、いま(人手が)足りないんです。足りないから増やさないといけないんです。みんな命をあずかっている大事な仕事です。でも、なぜか低賃金なんです。低賃金だから人が集まらない。保育所がなかなか増えないのは、保育士さんが集まらないからです。じゃあ、資格持っている人が足りないのかと言えば、そうではありません。資格持っている人は沢山いるんです。看護師さんだって資格持っている人は沢山いるんです。でも、いま医療の現場では、こんなに重労働でコロナに感染するかもしれない恐怖と戦いながら仕事をしても、こんな給料で、職場から離れるという看護師さんがじわじわ増えているという状況です。まず政治がやらなきゃいけないのは、命を守る政治であり、命を支えくれる仕事している人たちの処遇と給料を改善することです。

政治は、民間企業の給料をコントロールできません。日本は社会主義国ではありません。でも、医療や介護や保育や、こうした分野は国がどれぐらいそこにお金をそそぐや、そこをどれくらい重視するのかで、賃金が変わってくるんです。保育所が一番わかりやすい。あれはみなさんからの税金をどれぐらい保育所の運営に使うのか、それが少なければ、給料は絶対上がりません。そこをコントロールすれば、給料が上がるかどうかを政治が決められるんです。命を守る、しかも低賃金でその大事な仕事をしている。しっかりと社会全体で支える。政治がしっかりとそこにお金をそそぎこみましょうよ。政治が底上げをして、安心して希望すれば子供を産むことができる、安心して歳を重ねることができる、病気になったときでも、世界有数の医療を誰もが必ず受けることができる、こういう社会を取り戻しましょう。それが私たちが掲げる一つ目の大きな旗印であります。

支え合うのは、命だけではありません。いま仕事を失ってしまって、いまご商売を廃業しなければいけなくなって、そうした人たちは自己責任なんですか?こうした人たちが次の仕事が見つからないとい言って、貧困にあえいでいるのは自己責任なんですか?今年は本当であれば、オリンピック・パラリンピックが行われる予定でした。この福岡でも、外国からの観光客が例年以上にくるんじゃないかと期待をして、お店を改修したり、開店したりした方が沢山いるんじゃないでしょうか。オリンピックが中止になった、コロナで外国から観光客がくるどころじゃない、そのせいで廃業した失業した倒産した方は、自己責任なんですか?違います。いま、勝ち組だと思っているあなたも、世の中が変わってしまったときには、常に貧困に追いやられるかもしれない。そんな社会で危なくてチャレンジできますか?日本の経済を元気にしようと思ったら、リスクを取ってもチャレンジできる、失敗しても大丈夫だという安心感がある社会にしないといけないじゃないですか。いま仕事を失った人、倒産廃業された方、そうしたみさなんのくらしをしっかりと下支えしましょうよ。

GoToキャンペーンも結構です。しかし、GoToトラベルを使えるのは、旅行に行ける余裕がある方です。仕事を失ってしまって、例えば、高校三年生のご家庭で来年の受験の受験料すら払えないどうしたらいいんだろう、そういうご家庭沢山あるんですよ。ひとり親家庭で本当に食べるものにも困っている方沢山いるんですよ。政治がやらなければならないのは、こうしたときでもちゃんと生きていける。いま頑張って次の仕事探す。無理でしょう。まだまだこれからコロナの影響で倒産廃業が増える。じわじわ広がっているという状況で次の仕事簡単に見つけられないのは当たり前じゃないですか。だとしたら、そこをつないでいくのが政治の役割じゃないですか?例えば、雇用調整助成金、このままいくと年内で終わりなんですよ。家賃が払えない方に家賃の支援、最大9ヶ月なので、この春先に収入が途絶えて、家賃補助でなんとかくらしている方、これも年末までになってしまう。こうしたところをしっかりと支えていく、まさに支えていくための「機能する政府」を私たちは作っていきたい、作っていかなければいけない、と思っています。

そのために、いまの政治の流れを変えていきましょうよ。残念ながら、強い者の声しか聞こえない政府になってしまっている。それは大事なことかもしれない。強い者をより強くすることも政治の一つの役割です。でも、強い者しか見ていない、そういう社会ではどんどん格差が広がっていくばかりです。私たちは、厳しい状況にある人のその立場に寄り添う政治を、そうした人たちのくらしに目を向ける政治を、そうした人たちの声に耳をかたむける政治を、一歩づつ前に進めていきたいと思っています。

ぜひいま勝ち組だと勘違いしている方にこそ、このことをわかっていただきたいんです。誰でもいつ病気になるか、いつ事故に合うか、いつどこかで歯車が狂って厳しい状況においこまれるか、誰にもわからない。だから、政治がある。だから、いまというときのための政治が一番大事なんです。私たちは、この20年、30年続いてきた競争を重視する社会から、支え合う社会へと変えていく。支え合うためには、政府が機能しなければならない。まずは、政府がちゃんと説明責任を果たすところから取り戻していきたい、取り戻していかなくてはならない。政府が書類を隠したり、誤魔化したり、改竄したりしない、そういう政府を取り戻すところから進めていきたい、進めていかなければならないと思っています。

いま、新型コロナウイルス感染症の感染者の数についての情報が毎日出ます。どうしたら感染しやすいとか感染しにくいとか、いろいろな情報が出ています。信用できますか?さまざま都合の悪いことを隠し続けてきた政府がずっと続いているんです。まずは、隠さない、正直に説明する、そういう政府を取り戻すところからはじめて、誰もがいざというときにこそ安心してくらせる、そういう社会を作っていきましょう。私は、支え合う社会を作ることができれば、この令和という新しい時代、21世紀の日本の未来はまだまだ明るいと確信をしています。たしかに、財政赤字も高齢化も人口減少も大変です。でも、それこそ昭和という時代に、先輩世代のみなさんが日本に世界有数の豊かさを作ってくださって、私たちがそれを引き継いでいる。引継ぐべきは、その豊かさです。その豊かさを活かしながら、一人一人が安心してくらせる、そういう社会を作り上げていくことで、私は21世紀の明るい未来を切り開いていく自信があります。ぜひみなさんの力で新しい立憲民主党を選択肢として育てていただきたい、お願いを申し上げます。

画像4

この福岡では、現職の衆議院議員3人、参議院議員も2人、そして多くの自治体議員の仲間が、さまざまな困難や経緯を乗り越えて、結集をしてくれました。この結集した力は、「1+1」が「2」、「2+1」が「3」ではありません。それぞれが個性を活かし、それぞれの地域の特性を活かして、しっかりとスクラムを組んで前に進んでいけば、「1+1」が「5」にも「10」にもできる。私たちは、それをしていかなければいけないと思っています。

しかし、まずは、次の総選挙です。隠す誤魔化す嘘をつく、そして強い者ばかりを見ているいまの政治に大きな大きな転換を迫っていかなければなりません。そのためには、最大でも一年しか時間がありません。私枝野と、立憲民主党の福岡県連の仲間は全力で前に進みます。しかし、多くの国民のみなさん、有権者のみなさんの力がなければ、私たちは前に進めません。昭和の政治を変えていくことはできません。ぜひあなたの、そして、あなたの愛する人の命とくらしを守るために、私たちに力をかしてください。私たちと一緒に、本当の意味での新しい未来の扉を立憲民主党とともに開いていこうではありませんか。私たちはそのために全力を上げて前に進んでいくことを約束申し上げます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?