永遠の仔

引き込まれ、途中から一気に読んだ。
何度も発行年度を確認。20年近く前の話とは思えない。

無償の愛とは親が子に与えるもの、と思っている人はみんな読んでほしい。
無償の愛は、むしろ子供が親に掛けてしまうもの。身勝手で、最低なばかりの親に、それでも期待し、愛を注ごうとする子供の姿がただただ、辛い。子供にとって親がどれ程重い存在なのか、かけがえのない存在なのかを何度も突きつけられる。

そしてそれは、子が大人になってからも続く。人を信じることが難しくなったり、期待しては傷ついたり、多くの人が求める物を自ら手放したり…いろんな形で、ずっと尾を引いていく。この物語では、そんな3人の大人になってから、そして子供時代が語られる。本人も知らない事実が明かされていくミステリー仕立てだからこそ、一緒に傷つき、一緒に複雑な気持ちの一端を感じられる。

そんなに簡単に救いなど、ない。
それを実感させられた物語でもあった。