スタートアップ投資の魅力とリスクについて
株式投資型クラウドファンディングとは、インターネットの仕組みを使ってスタートアップが1年間に最大1億円未満の出資を個人投資家から広く募ることができる仕組みで、個人投資家からみた場合には、創業間もないスタートアップに対して投資することができる仕組みです。
本稿は、株式投資型クラウドファンディングに関してご説明させていただくとともに、イークラウドの審査に対する考え方について解説することを目的に作成したものです。「スタートアップ育成5か年計画」などもあり、スタートアップや株式投資型クラウドファンディングに注目が集まっておりますが、この機会に投資のリスクについても改めてご認識をいただきたいと考えています。
1.非上場株式に関するリスクについて
まず、株式投資型クラウドファンディングで紹介されるスタートアップはすべて非上場の企業です。非上場企業の株式は上場企業の株式と性質が大きく異なり、大前提として、以下の2点をご理解いただく必要があります。
上述の2点は、応募する前に必ずお読みいただく必要がある契約締結前交付書面にすべての案件で繰り返し記載しております。
また、イークラウドのサービスサイトの主要ページのフッターにも同様の主旨を掲載しております。
もちろん、事業者としては、この文言を記載さえすればいいということではなく、株式投資型クラウドファンディングで投資される皆さまに、ご理解、ご認識をいただく必要があると考えております。今後も、こうしたリスクのご説明は繰り返し行ってまいりたいと考えております。
2.イークラウドの審査について
次に、イークラウドの審査についてです。
イークラウドでは、個人投資家の皆さまに案件をご紹介する前に、スタートアップから必要になる情報をご提供いただき、厳正な審査を行っております。審査において、ご提出をお願いしている情報は以下のとおりです。また、必要に応じて追加資料等の提出を求める場合もあります。
ご提出いただいた各種資料の整合性等を確認し、経営者や関係者へ複数回のヒアリングをお願いしております。主な審査項目は以下のとおりです。
また、審査に関する記録、審査会議の議事録等については、重要な事項として10年間保存することとしております。
事業に加え、財務、法務、労務など、業種や業態によってリスクは異なることがあるため、専門のスタッフと必要に応じて弁護士や会計士などの専門家とも連携しながらリスクを整理することとしています。
例えば、確認の結果、財務体質に課題がある場合(赤字体質である、債務超過である)等の場合には、売上向上に向けた計画の方向性を確認したり、コスト削減などについての具体的な計画や実施状況などについて確認を行います。既存株主からの追加投資の方針や新規投資家との交渉状況を把握することで財務の健全性について確認する場合もあり、それらは契約締結前交付書面に記載されています。
また、投資した資金がそのまま借入金の返済資金に充当されてしまうことは、個人投資家の皆さまは望んでいるものではないという考え方から、借入金の返済資金には充当しないことを契約書等で経営者に確認しております。
その他
・必要な許認可等が取得できていない場合
・利益相反取引がある場合
・関連当事者間取引がある場合
・労務関係に課題がある場合
などについては、事前に整理することや、速やかに解消することなどを契約書等で確認しております。整理に時間がかかる場合には、整理をしていただいた後に改めて審査を行う場合もあります。
3.個人投資家の皆さまへのメッセージ
以上、非上場株式に関する性質とリスクとイークラウドの審査についてお伝えしてまいりました。魅力的と思えるスタートアップへの投資であっても、リスクが必ず隣り合わせになっていることをご理解のうえ、投資をご判断いただきたいと考えています。
イークラウドでは発行市場や業界の健全な発展のために、今後もスタートアップ投資の魅力とリスクをお伝えできるように活動してまいります。
今後とも叱咤激励、よろしくお願いいたします。
イークラウド株式会社
代表取締役
波多江直彦