空き家借りすぎ病

ぼくは「空き家」というものにロマンを感じる。
家が大好きだ。家とは拠点のようなもので、ぼくは財力の許す限りどんどん拠点を増やしたいと思っている。自国の土地を広げようと戦争を繰り広げた過去の人々の愚行が、僕にはとても現実的に思える。
学生時代に僕は大学のすぐ隣でBARを開業したんだけど、そのときは妻とふたりで4件の家を賃借していた。店、僕の家、妻の家、そして美山という京都の北端に近い地域に茅葺の家を借りていた。それ以前にも、京都と名古屋と仙台に同時に家を借りつつキャンピングカーで移動生活していた時期なんかもある(学生時分に!)。どうにも悪い癖で、空き家には目がない。

ここ和歌山に来てからも、暇さえあれば空き家探し。山奥に暮らしているから、海沿いにも拠点がほしくてお隣の那智勝浦町あたりをぶらぶらしたり。しかし、日々の生活でいっぱいいっぱいのはずで、借り家を増やす経済的余裕はない。そうとはわかっていつつも、つい、空き家を借りたくなってしまうのだ。もはやそれは病気の域であった。しかし、抑止力、妻。空き家を借りたいと僕がいうとたちまちツノが生えた鬼の形相になる。女性は現実的である。妻に納得してもらえる形で、家を増やすにはどうしたらいいのか。

そうして行き着いた答えが「不動産業を開業する」あるいは「借りた家をマネタイズする=民泊業」。
空き家探しが仕事になるならそれはぼくにとって最高に幸せな職業だ。だから、不動産業を開業したいと一時は本気で考えていた。しかし、宅建士の勉強をしていて知ったのだが、賃貸仲介の場合、手数料は一ヶ月分の賃料しか受け取ることはできない。この辺の相場だと1万円前後である。一軒の家を掘り起こすのに大家さんを探し、連絡を取り、貸し渋るご老人をあの手この手でようやく説得するという手間がかかる。熊野は移住希望者が絶えないので借り手はすぐ見つかるが、貸してくれる大家さんはごく稀。その掘り起こしの手間に対して1万円か…と思うとなかなかオイシイ仕事ではない。売買の仲介手数料はどうかというと、200万円以下の物件で最大5%。つまり200万円の物件を売って10万円の収益。ここにいる感覚だけど、売買物件はほぼ動くことはない。需要はほとんどないのである。だから、必死こいて宅建士の資格は取得したけど、開業は今の所考えていない。
一方で民泊業はかなり可能性の宝庫だと感じる。この辺の家賃は一軒家を借りても家賃は1万円前後。やりようによっては月に一組が宿泊で借りてくれたらペイしてしまう。そして熊野古道客が絶え間なく訪れる地域であるから、ほぼ確実に黒字経営になる。僕にとっては夢のような立地であった。

現在のところ僕が借りているのは自宅とゲストハウスの二軒のみ。
ゲストハウスを実際に経営してみて、あ、これは増やせるなという感覚を得た。空き家さえあれば意外とマネタイズは容易である。これからいくつ拠点が増えるか楽しみである。ちなみにいま本宮大社あたりの空き家と勝浦漁港付近の空き家を交渉中。熊野旅行者が増えるほど、僕の家も増えていくのでこれを読んでいる皆様、ぜひ熊野へ!そして僕のアジトへご宿泊を!笑

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