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紋白蝶に罪はないけれど

子供のころ キャベツ畑に紋白蝶が
たくさん飛んでいて
キャベツにいる 緑色の
可愛い青虫を捕まえては
家に持ち帰り育ててた

珍しい黄色い紋白蝶を見ると
良いことが起こる前触れみたいで
1日中嬉しかった

でも 今 畑仕事を手伝うようになって
紋白蝶は『害虫』という事を知った


ばぁちゃんは 虫取網で紋白蝶を
捕まえると そのまま踏み潰す

あんな可愛い顔をして
あんな残酷な事を平気でする
ばぁちゃん…

思い返せば
実家の父も同じ事をしていた

消毒すれば 野菜につく虫を
やっつけることが出来るのに
それをしないで
ピンセットで野菜についた虫を
一匹一匹 根気強く取っていくのだ
気が遠くなる作業

そして
紋白蝶がいれば虫取網で捕まえて
踏み潰す

蝶々は悪くないけれど
蝶々が産み付けた青虫は
野菜を食べてしまう『害虫』だから

分かっているけど

ばぁちゃんも実家の父も
そんな酷いこと なんで出来るの?

風の谷のナウシカに憧れる私は

『違う!違う!』

『虫が森を育ているのよ!』
と 声を大にして言いたいところ

だったのに…

最近は 紋白蝶が 「蝶々」
じゃなくて「蛾」に見えてきた

どうしてなんだろう?

こうして私は
一歩一歩 農家の嫁に
近づいて

いつか 紋白蝶を踏み潰す女に
なってしまうのだろうか…(涙)