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心房細動アブレーション後の残存機能性僧帽弁逆流

M. Okada, N Tanaka,  et al., Impact of Residual Functional Mitral Regurgitation After Atrial Fibrillation Ablation on Clinical Outcomes in Patients With Left Ventricular Systolic Dysfunction,  Am. J. Cardiol., vol. 191, pp. 66–75, Mar. 2023.

抄録 心房細動(AF)と低下した左室(LV)駆出率を有する患者において、機能性僧帽弁逆流(FMR)は予後に悪影響を及ぼす。AFアブレーション後の構造的逆リモデリングがFMRの重症度を減少させる可能性があるが、FMRの予後への影響とその進行は未だ明確ではない。本研究では、初回AFアブレーションを受けた基礎LVEF<50%の491名の患者を対象に、FMRの改善に寄与する因子と長期臨床成績への影響を分析した。

背景 心房細動によるLVの逆リモデリングがFMRの改善にどのように関連しているかは、これまで十分には評価されていなかった。この研究は、AFアブレーションがFMRの重症度を変化させるかどうか、そしてその臨床的意義を探ることを目的としている。

方法 本研究は、2012年1月から2021年9月までに初めてCAを受けた4122名の患者を対象に、後ろ向きに単一センターで行われた。FMRの重症度は、基線およびAFアブレーション後6ヶ月にトランス胸壁心エコーで半定量的に評価された。

結果 基線時にFMRグレード2~4を有していた134名のうち88名(66%)が、AFアブレーション後6ヶ月でグレード0~1に改善した。逆に、基線時にグレード0~1だった357名のうち13名(3.6%)が、グレード2~4に悪化した。多変量解析により、左房の空洞分数の増加とLV末期拡張容量指数の減少がFMR改善の予測因子として同定された。

議論 AFアブレーションは多くの患者においてFMRの重症度を改善させる可能性があるが、残存するFMRは予後に関連している。これらの所見は、AFアブレーション後のFMRの管理戦略を再評価するための基盤を提供する。

新規性 以前の研究と比較して、この研究はAFアブレーション後のFMRの進行と予後への影響を包括的に評価している点で新しい。

限界点 本研究は単一センターの後ろ向き研究であり、選択バイアスの可能性がある。また、FMRは心エコーで半定量的に評価されており、一貫した定量的パラメータは利用されていない。

潜在的な応用 AFアブレーション後のFMRの管理に関する新たな臨床的アプローチが提案されており、それにより患者の管理と予後が改善される可能性がある。

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