見出し画像

経カテーテル的三尖弁置換術後の三尖弁閉鎖不全の予後への影響

Dreyfus Julien et al., “Prognostic Implications of Residual Tricuspid Regurgitation Grading After Transcatheter Tricuspid Valve Repair,” JACC Cardiovasc. Interv., vol. 0, no. 0.

概要
経皮的三尖弁修復術(TTV修復)の安全性は確立されていますが、残存する三尖弁逆流(TR)が依然として問題です。本研究の目的は、TTV修復後の残存TRの重症度が生存率に与える影響を評価することです。

背景
西洋諸国で一般的な弁膜症の一つである三尖弁逆流(TR)は、重症度が高まるにつれて死亡率と罹患率が増加します。TTV修復術は侵襲性が低く、手術に代わる治療法として注目されていますが、術後に残存するTRが依然として重要な問題です。

方法
本研究は、多国籍の多施設レジストリTRIGISTRYにおいて、613人の重度孤立機能性TR患者を対象に、退院時の残存TRの重症度に基づいて3段階(軽度、中等度、重度)および4段階(軽度、軽度から中等度、中等度から重度、重度)のスキームで分類し、2年間の生存率を評価しました。

結果
残存TRは軽度/なしが33%、中等度が52%、重度が15%でした。2年間の調整後生存率は、それぞれ85%、70%、44%と有意に異なりました。中等度の残存TR患者319人を軽度から中等度(201人、33%)と中等度から重度(118人、19%)に分類すると、生存率も有意に異なりました(85%、80%、55%、44%)。中等度から重度の残存TR患者の生存率は軽度から中等度の患者よりも有意に低かったが(P=0.006)、軽度/なしと軽度から中等度(P=0.67)、中等度から重度と重度の患者の間では生存率に差は見られませんでした(P=0.96)。

考察
中等度の残存TR群は異質であり、異なる臨床転帰を持つ患者が含まれています。TRグレード分類をより詳細な4段階スキームにすることで、予後予測が改善されました。軽度から中等度以下の残存TRグレードを達成することが成功した介入を定義する重要性を示しています。

新規性
本研究は、従来の3段階スキームに対し、より詳細な4段階スキームがTR重症度評価において優れていることを示しました。

制限
本研究は観察研究であり、バイアスの影響を受ける可能性があります。また、残存TRの評価は各センターで行われ、中央評価は行われていません。

潜在的応用
本研究の結果は、TTV修復術の成功基準を見直し、軽度から中等度以下の残存TRを目指すことの重要性を強調しています。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!