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突然波形が脱落したら鑑別すべき波形とは

突然QRS波が脱落したら何を考えますか?鑑別すべきは


・非伝導性PAC
・洞停止
・洞房ブロック
・2度房室ブロック
です。

さらにポイントは


・脱落した時にP波があるのかないのか
・あるならばそのPP間隔は一定の間隔になっているか
です。

これを頭に置いておきましょう

問1


では問題です。これは何が起きているでしょうか。

右から4拍目と左から6拍目が脱落しています。それ以外のところを見れば心拍数は75bpm程度で洞性Pであることがわかります。問題は脱落したところです。まずは脱落したところの直前にP波があるかどうかを確認しましょう。この症例は比較的わかりやすいですが、ものによっては一つ前のT波に重なって見えにくくなっていることがあります。なので、一つ前のT波と他のT波を比べて、形が変わっていないか確認します。小さなノッチがないか確認しましょう。さらに隠れたP波は元々P波が見やすい誘導で確認するのが定石です。まずはⅡ、V1誘導で隠れたP波を探しましょう。人によってはⅠ、V2の方が見やすいこともあります。この4つを確認すれば十分でしょう。
本症例では

ここにP波が見えますね(矢印)。では次にこのP波のPP間隔を確認します。明らかに他のPP間隔に比べて、脱落直前のP波が早めに出現しているのがわかります。よってこれは非伝導性PACとなります。普通のPACは速めに出現しても通常通り、房室結節を通るためにQRSに関しては洞調律の時と同じ波形が出現します。しかし、あまりにも早すぎるPACは房室結節を通ることができず、P波のみが出現すること言うことになります。要するに1拍だけ房室ブロックが作られているようなものです(ただし、これを房室ブロックとは言いません。早すぎる興奮が房室結節を伝導できないのは誰しも同じだからです)。


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