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蓮の空の新たな風:オタクと推しの共演(姫芽が拓く新たな道)


概要と導入

これまでのラブライブについて、自分は詳しくは知らないのだが、新入生が入る(新しいメンバが加わる)たびに、これまでのメンバとそのメンバによる曲が良かった、というファンが少なからずいて、彼らが新入生へのアレルギー反応を示し続けていると聞いている。蓮の空で新入生の加入が発表されたときも、「新入生の受け入れは無理」というようなコメントがいろんなところで散見されていた。

変わりゆくファンの声

ところがどうであろうか?蓋を開けてみると、そういった声は、称賛の声で掻き消されているのが実情のようだ。これには、いろいろな要因があるとは思うが、何よりも秀逸な新入生のストーリーにあるのではないだろうか?

新入生ストーリーの強さ

蓮の空の104期の登場で描かれた大きなテーマが2つあったと考えている。これまでの曲を104期を含めて歌うことへの肯定と、デュオからトリオへの拡張への肯定、である。一つ目は、吟子が代弁していて、曲が変わっていることへの吟子の嫌悪感を、同じ歌を伝統として残し続けるために変わったと解釈する花帆の言葉で乗り越える形で解決している。二つ目は、瑠璃乃のトリオに対して投じていた反対票が賛成票に翻る形で解決している。具体的には、次のとおりである。沙知が、当時廃部を覚悟していたように、後輩が入ってこない状況は、そこでこれまでの歴史が絶たれることを意味する。瑠璃乃も、最初は慈と二人だけが良いと主張していたものの、途中からは、慈の後輩を作りたいという言動と行動に動かされたのか、新入生の勧誘に積極性を見せるようになる。

姫芽の独特なキャラクター

私が特に伝えたいのは、姫芽が、他のキャラクターにない個性と役割を発揮していると考えられることである。一言で言えば、みらくらパークを推しとする一年生として登場して、オタクに徹したキャラを展開している。この距離感が絶妙で、あくまでもファン目線を保ちつつ、みらくらパークの一員として動いている。そのため、瑠璃乃と慈の間に割って入る様子は今のところない。それどころか、推しのすべてを目の前で見られる、ラッキープレゼントに喜びを見せつつ、何とも謙虚な所作をし、常に推しとの共演を有難がるのである。確かに、姫芽が加わることでトリオになっているのだが、もともとのデュオを最大限に尊重しながら、トリオとして参加させてもらっているという位置づけなので、決して慈と瑠璃乃の邪魔にはならないのである。

オタクと推しの共演

オタクが、推しの真横で、推しと一緒に活動するという状況は、オタクにとってはありえない、「夢のまた夢」であるが、姫芽はそれを地で行っており、その状況を体現している。そして、姫芽を通じて、「現実にはありえないが、推しと一緒に活動する栄誉を得られるのであれば、こんなことがありえるのだな」と、姫芽の一挙手一投足が、オタクどもには、気になるようになってくるのである。ゆえに、オタクは、気が付いたら自然と姫芽を応援したくなるかもしれない。

ラブライブの革新性

その意味で、蓮の空の104期のストーリーは、泣く(6人が良いと泣く)子も黙らせるレベルの出来栄えと言えるのである。他のスクールでは、尺の問題がある。そのため、蓮の空のように時間制限なしで、丁寧に新入生を描くことが困難な場合が多い。蓮の空のやり方がそのまま他のスクールへ適用できるわけではないのだが、十二分な説明を伴った吟子と姫芽の登場、および、その過程で彼女らが果たした役割は、実にラブライブの歴史の中で、画期的なのかもしれない。



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