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【蓮ノ空】活動記録104期第2話:さやかの成長物語として読む

個性を超えて:さやかの挑戦

今回の活動記録で最もシリアスな展開は、さやかが自分の指導に失敗していると感じ、小鈴を追いかけようとする行為を「没個性」と一刀両断してしまう場面から始まります。かつて、さやかはスケートで姉を追いかけ、目標にすることに一生懸命でした。しかし、その目標はあまりにも高く、挫折が深い傷を残しました。この経験から、さやかは誰かを目標にすることに対してアレルギー反応を示すようになったのかもしれません。私も兄弟がいて同じ楽器を演奏して競っていたため、その絶望感を共有できます。さやかは、手の届かない目標の酷さと惨めさを痛感し、小鈴が自分を目標とした時、それを「ただの真似」と感じてしまったのです。

指導に失敗したのか?

新たなスクールアイドル像

しかし、物語はここで終わりません。小鈴が「七転び八起き」のように何度もライブ(歌と踊りをこなすパフォーマンス)に挑戦する姿を目の当たりにしたさやかは、小鈴の努力に共感する人々がいることに気づきました。完成形だけが心を打つのではなく、その過程も多くの人の共感を呼ぶことを知ったのです。

新たな気づきを得たさやか

尊敬する人の影響

人は尊敬する人の癖や言い回しを無意識に多用すると言われます。さやかは、綴の口癖である「今なら、凄いことができそうな気がする」という言葉を何度か口にしています。昨年の第6話でスケート場で綴に語りかける場面や、この活動報告で小鈴に語りかける場面でです。さやかが綴を心から尊敬していることが、微笑ましく感じられます。

綴の謳い文句?

指導の真価

さて、さやかの指導は本当に失敗だったのでしょうか。さやかは、小鈴が余裕を持って自分と同レベルで歌と踊りをこなせるよう、技術面の指導に重点を置いていました。確かに真似だけでは個性は見えませんが、目標を超える過程でそのレベルにたどり着くことは重要です。小鈴は今まさにその段階にあります。没個性から一皮むける小鈴の今後の成長が楽しみです。

さやかは、お姉さんを追いかけることが「いけない」というレッテルを貼ってしまっていました。高すぎる目標に対する挫折がそのレッテルを生み出したのかもしれません。しかし、小鈴の憧れを肯定することで、自分の過去も肯定し、新たな気づきを得て成長を遂げました。力強く「あなたの目標であり続けます」と宣言するさやかの姿は、指導のあるべき姿を見出した瞬間です。さやかは失敗していたのではなく、相手に応じた指導の「あるべき姿」が見えていなかっただけなのです。

さやかの力強い宣言

目標にされることの有難み

さやかは、姉を追いかけていた当時、姉の立場を考えたことがありませんでした。小鈴のひたむきな姿に感動し、自己肯定された嬉しさも加わり、「ありがとう」という気持ちが芽生えました。新幹線でスマホを落として気づかないように、少し抜けたところもあるさやかは、完璧主義に見えて実はそうではありませんでした。お姉さんが身近にいたことで自己肯定感が低かったさやかは、ここではじめて「ありがとう」という思いが込み上げてきたのです。その気持ちは、お姉さんの言葉の回想という間接的な形で綴られ、その言葉の重みが引き立っています。

お姉さんの言葉の回想シーン

個人からクラブへの指導

以前からさやかは、梢がいなくなった時にクラブを引っ張る筆頭格だと感じていました。次の部長が誰になるかという問いには、ある程度答えが見えています。それは部長の適性があるからです。指導の在り方について新たな気づきを得たさやかは、個人を引っ張るレベルからクラブ全体を引っ張るレベルへとステップアップしていくことでしょう。実に頼もしい限りです。

さやかの成長の証

最後に、小鈴の想い出バッジが一つ増えて活動記録が終わります。もちろん小鈴が主役であることは言うまでもありませんが、この活動記録の裏の主役は間違いなくさやかであり、彼女の成長なくして将来の蓮の空はないと強く感じます。感謝と安堵の気持ちが込み上げてくるのでした。

小鈴の二つ目のバッジ(大成功とのコメント付き)

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