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■■アーカイヴ・シリーズ 024 語尾上げしゃべりに、違和感あるじゃないですか■■(2014年)

■■アーカイヴ・シリーズ 024 語尾上げしゃべりに、違和感あるじゃないですか■■(2014年)

(本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、10分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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(インターネットで放送されていた)『ぷらすと』は「オルタ・カルチャー」そのもの。傍流(オルタナティヴ)カルチャー、カウンター・カルチャーの事象・項目をABC順に辞書形式にしたもの。アメリカ版の翻訳版。翻訳監修しました。(1996年刊)(中古で安く買えます)

オルタ・カルチャー
リブロポート (1997/2/1)



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上のオリジナルを見て、日本版を作ろうとしてできた日本の項目を集めた『オルタカルチャー』日本版。いくつかの項目を執筆、監修しました (中古が安く買えます)

オルタカルチャー―日本版 (オルタブックス (000))
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そして、そこから発展して「語尾上げしゃべり」の話題へ。

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語尾上げしゃべりに、違和感あるじゃないですか
2014年07月26日(土)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11899520610.html

◆語尾上げしゃべり

【Upspeak, Uptalk】

続き。

昨日のブログで7月30日(水)に「WOWOWぷらすと」(ニコ生でインターネット生放送)に出演するという告知をしたが、その中で、『オルタ・カルチャー』という書籍について触れた。それつながりで、今日はこんなお話を。

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ブーム。

1990年代にはいってから、いわゆる「語尾上げしゃべり」というのが流行した。これと、語尾に「~じゃないですか」とつけるしゃべり方が出始めた。僕はどちらの言い方も初めて聞いたときにぞっとして、それ以来ずっと大嫌いで、自分が人前でしゃべるときには絶対に使うまいと思った。(僕は、これらの言葉に「ぞっとする」という感性を大事にしたいと思っている) それから20年くらい経った今、「語尾上げ」はまあ、ほとんどなくなったが、「じゃないですか」は、けっこう定着してしまった感はある。「語尾上げ」は今聞いてもぞっとするが、「じゃないですか」は聞く側として慣らされてしまったのか、「語尾上げ」ほどぞっとしなくなっているのが困る。(笑) 人間は慣れの動物だ。「~~じゃないですか」と言われると「~~じゃありません!(キッパリ)」と言いたくなるのだ。w

さて、そんなことはしばし忘れていたが、愛読している岩佐徹氏のブログ『岩佐徹のOFF-MIKE』(2014年7月10日付け)で、テレビでまだ語尾上げしゃべりをしている人がいる、と書かれていてびっくりし、またこの現象に思いを巡らせることになった。

岩佐氏のコラム(2014年7月10日付け)


https://toruiwa0514.blog.fc2.com/blog-entry-2359.html
(いくつかある話題のひとつ)

僕は自分がなぜこの二つが嫌いなのか、一時期けっこう考えた。何か同じようなにおいを感じたから病根は一緒なのではないかとおぼろげに考えた。

ブログ 語尾上げ 撲滅闘争

そうした感覚は持っていたが、はっきりわかってはいなかった1996年、ひょんなことからアメリカの本『オルタ・カルチャー(原題: alt.culture)』(スティーヴン・デイリー、ナサニエル・ワイス編著、吉岡正晴・日本語版監修)の翻訳・編集作業を手伝うことになり、その解答のひとつに巡り合った。

これは実におもしろい本で、若者の「カウンター・カルチャー」を「オルタナティヴ・カルチャー」(=傍流カルチャー、メインストリーム・保守本流に対抗するカルチャー、かつていわれたサブ・カルチャーと同意味)という言葉でくくり、それらの現象、言葉をABC順に並べ、約900項目を辞書のように編纂したものだった。項目の中には、オルタナティヴな活動をする個人の名前やメイカーなどの固有名詞、現象の説明、インターネット関連の新しい言葉などなどが出てくる。ひとことでわかりやすく言えば「サブカル・辞典」のようなものだ。

それがこの本だ。現在も中古で安く手に入る。そうしたオルタ・カルチャー(サブ・カルチャー)に興味のある方は安いので手に入れられるといいと思う。1996年の作品なので、取り上げられる事象はそこまでなので、かなり古い部分はあるが、半分以上は今でも使え、参考になったり、資料になったりする。

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シンクロニシティー(同時性)。

そして、この本の中に、なんとアメリカでも語尾上げしゃべりが流行っているということで、それが一項目として載っていたのだ。

ここでは、Upspeak アップスピーク、もしくは、Uptalk アップトーク、と呼ばれ、その項目で、こんな説明がなされていた。

「オルタ・カルチャー」から引用↓

U5(Uの項目5番目の意味)
アップスピークUpspeak

別名「アップトーク」。語尾を上げて話す話し方。語尾のイントネイションを高くし、あたかも疑問形にしたような話し方? ロス・アンジェルスの「ヴァレー・スピーク(ヴァレー言葉=ロスのヴァレー地区に住む人たちの独特のしゃべり方)」は、それをかなり誇張しているが、おそらく、それが発生地と思われる。しかし、アップスピークは、80年代中頃に広まった十代の若者の習慣として出現している。近年その特有の「イントネイションの調子、抑揚」は、ひとつの言語体系に変化するおそれがある。質問するような語調は、優柔不断か服従、無関心を言外に意味できるが、1992年のテキサス女子学生クラブの言語研究では、アップスピークがもっとも一般的にグループのリーダーたちに使われたことがわかり、自信のなさそうな響きが注意を引いたり、聞き手を巻き込んだり、意見の一致をしいることの方法だと指摘する?

引用ここまで↑

出典元:『オルタ・カルチャー』(日本語版、リブロポート)(スティーヴン・デイリー、ナサニエル・ワイス編著、吉岡正晴・日本語版監修)494ページ

原稿の「?」のところは、もちろん、語尾を上げて読む。(笑) 「~指摘する?↗」

この語尾上げしゃべりが日本だけでなく、一足先にアメリカでも流行りだしていたというのに心底びっくりしたが、どこでも同じ現象が起こるんだなあ、と妙なシンクロニシティー(同時性)に感心した。

理由。

このときにもいくつかリサーチをして得た分析を簡単にまとめると次のようなものだ。きっと、その頃、ブログかなにかをやっていたら、書いていたと思う。

語尾上げしゃべりをする根底には、自分で「私はこのことをこう思います」という断定を避け、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」という自分の主張への同意、あるいは、断定しないことによって、仮に考え方があなたと違っても、私も完全にはこう思っていない、というあいまいさがある。物事を何事も決めつけず、あいまいにしておこう、対立軸を作らないでおこうという時代の空気感がとてもよく出たしゃべり方だ、というのが分析だ。

「~~じゃないですか」も基本は同じで、こちらはもう少し話者が強気なのだが、自分の考えに同意を求めるが、一応相手にも相手が考えるスペースを残している。

つまり、どちらのしゃべり方も、相手との関係性をあいまいにして、はっきりした対立を防いでおこうというメンタリティーが出ている言葉使いなのだ。

たぶん僕はそのあたりにある種の「気持ち悪さ」を直感的に感じたのだと思う。

そして、ほぼ同時期に、日本語では「~~みたいな」という言葉が若者を中心に大ブームになった。これなどは、とんねるずあたりがテレビで広めたような気がしているが、瞬く間に広まった。なんと、これもアメリカでも「~~like」(みたいな)という使い方で、まったく同じように若者の間で流行り、「オルタ・カルチャー」で一項目として取り上げられていた。

これも、断定を避け、現象をオブラートに包み、そのことをはっきりさせずに、相手との対立を避ける様子がうかがえる。つまりいずれの言い方も、断定を避けること、相手との決定的な対立を避け、すべてをあいまいにしておこうとすること、が大前提になっている。

この「~~みたいな」は最近あまり聞かなくなったような気がするが、どれも僕があまりテレビをみなくなったせいかそういう言葉に触れる機会が減っただけのことかもしれない。いずれによせ、若者言葉というのはアメリカも日本も同じように流行るのだということがとてもおもしろい。そして、流行り廃りがあることも興味深い。

これらの言い方について、上記の「オルタ・カルチャー」の項目で指摘された「優柔不断か服従、無関心を言外に意味する」「自信のなさの表れ」というのもひじょうに納得ができる。そして、これらはその前の時代から言われてきた「モラトリアム世代(猶予世代)」の流れを汲む。その流れはおそらく大なり小なりアメリカでも日本でも同じなので、その空気感から生まれる新しい若者のメンタリティーや言葉は似たり寄ったりになってくるのだろう。

特にテレビなどで意見をしゃべる人は、こうした話し方は、上記の理由であまりよろしくないわけだ。おもしろいのは、文字では比較的こうしたメンタリティーは如実に表れない。

僕個人は、たぶん、そうした白黒はっきりさせないしゃべり方、相手に決断をゆだねるようなしゃべり方が性に会わないのだと思う。

日本版。

このアメリカ版「オルタ・カルチャー」を見て、日本版「オルタ・カルチャー」も出ることになった。

もうひとつ最近、僕が耳障りにおもっているいい回しに、「~~ですし~~」で次々と文章を続けていくものがある。そこで、一度、文章切ればいいじゃないですか?(語尾上げ)(笑)

あれはなんで流行ってるのだろうか、そして、なぜ僕には違和感があるのだろうか。いずれその理由をつきつめてみたい。もし何か、なぜならこうだ、という見解がある方は教えてほしい。

ESSAY>Upspeak, Uptalk


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2020年8月追記

上記のブログが2014年7月だから、はやくも6年経つわけだが、語尾上げしゃべりはほとんど姿を消したような気がするが、それと変わるように「~~ですし~~」はいまだに跋扈(ばっこ)している。

今回ちょっと調べてみたら、2014年6月にヤフー知恵袋にこんな質問があった。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10131013845

「○○ですし、」 「〜ますし、」という言葉遣いに違和感が在ります。一般的な使い方ですか?

用言に接続する助詞でしょうか、「し」という表現。

カジュアルな会話で
「あいつは頭もいいし、運動もできる」と使われるのには違和感が在りませんが

ニュース番組など丁寧な言葉遣いを求められる場で
「味もいいですし、値段も申し分在りません。」という風に
使われていることに違和感を感じます。
一方で
「年を取りましたし、旅行へは行けません。」というような使い方は自然に感じます。

〜です
〜ます
に接続する「し」に違和感を感じる方はいらっしゃいますか。

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上記の質問に答えがひとつ。


田 田子さん 2014/6/2501:33:04

違和感を持つほどではありませんが、並列の接続助詞「し」が「です」に付くとき、「ます」に付くときよりも重い感じがします。人によっていろいろ語感が違うので、皆がそうだという話ではありません。例えばの話、私は「です」という言葉がもともと好きではありません。
並列の「し」を使って二文をつなぐのであれば、それらが対等であっても、先の文を敬語にする必要はないと思います。
「頭もいいし」「味もいいし」「年を取ったし」などは敬語なしで構わないと思います。「もう歳を取ったし、旅行には参れません」のように最後のところで敬語で締めるだけで十分のように思います。

~~~~

いろいろ考えてみたが、やはり、最初のブログ・エントリーと同じような「断定を避ける」「断定からの対立を避ける」意識があるのではないかと思った。

~~ですしー~でつなげると、~~です。と断定するより、すこしマイルドになる感じがする。だらだら話が続くので、断定性が薄れるわけだ。あと、主張のポイント、フォーカスが薄れるということがあるかもしれない。

ラジオやテレビなどで収録コメントを使う場合は、「~~ですし~」で切ることはできるが、生放送ではそうはいかない。


あと、させていただきます~ もかなり最初は違和感があったが、最近は猫も杓子もアイドルも、これを使うので、なんか慣れてきてしまった。人間は慣れの動物なのだ。

しかし、雑誌「通販生活」が特集してたのにはびっくりした。いつの号だろう。ちょっと調べたがわからなかったのだが…。(ほんとの雑誌ではないかもしれない…)w

ブログ 語尾上げ 雑誌特集

まあ、今回も「オチ」はないですし~~。

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