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〇『サマー・オブ・ソウル』(パート2)~黒人受けしていなかったフィフス・ディメンションの憂鬱


〇『サマー・オブ・ソウル』(パート2)~黒人受けしていなかったフィフス・ディメンションの憂鬱

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〇『サマー・オブ・ソウル』(パート2)~黒人受けしていなかったフィフス・ディメンションの憂鬱

【The Fifth Dimensions’s Depression: Are They Black Group or White Group】

MOR。

1.「アクエアリアス」誕生秘話

映画『サマー・オブ・ソウル』の中で、フィフス・ディメンションのビリー・デイヴィス・ジュニアとマリリン・マックーの二人が「アクエリアス」を録音することになったエピソードを披露する。実はこの話は、これまでにもビリーは何度もあちこちで話をしており、フィフス・ディメンションの伝記にも書かれている。

彼らがニューヨークでショーをやっているときのことだ。ビリー・デイヴィスが財布をタクシーの中に忘れてしまった。当時で200ドルもの大金が入っていたらしい。すると、次に乗った人物がその財布をビリーたちが滞在しているホテルまで持ってきてくれた。ビリーは、お礼のお金を渡そうとするが、その彼は受け取らない。そこでビリーは、「では私たちのショーにご招待する」と言ってその晩のフィフス・ディメンションのショーに招待し、その人物はやってきた。

楽屋で挨拶をすると、「あなたたちは、とてもナイスだ。では私たちが今度はあなたたちを招待したい」と言う。なんとショービジネスの世界の人物だったのだ。そして、彼らが招待されたのが、人気のミュージカル『ヘアー』だった。そのショーは大変人気だったので、5人の席はバラバラになったという。その財布を届けた人物は、『ヘアー』のプロデューサーの一人だったのだ。

そして彼らはこのミュージカル『ヘアー』を見たところ、その中で歌われている「アクエリアス」と「レット・ザ・サンシャイン・イン」にえらく感激し、これを私たちもカヴァーして録音しようということになった。

彼らは自身のプロデューサー、ボーンズ・ハウに連絡をし、レコーディングがセッティングされ、レコーディング。この2曲をメドレーにして録音。シングルとしてリリースされ瞬く間に大ヒットになった。ポップ・チャートで1969年4月に全米1位6週間を記録する最大のヒットになる。

The Fifth Dimension - Aquarius - Let The Sunshine In
https://www.youtube.com/watch?v=oPK7ZF6jfJE

2.「ハーレム・カルチャラル・フェス」で当日6万人を動員

彼らのフェスへの登場はちょうど、「アクエリアス」の6週間全米ナンバーワンの後を受けてということで、超満員となった。

ところが、彼らが映画の中でも言っていたが、「多くの黒人の仲間たちは、我々が黒人であることを知って驚いていた」と、彼らはソウル・グループと思われていなかったのだ。それは、白人のソングライターの曲をMOR(ミドル・オブ・ザ・ロード=中庸)な感じで歌っていたからだ。

彼らの最初のトップ10ヒット「アップ・アップ・アンド・アウェイ」(1967年)はジム・ウェッブの作品、最初のゴールド・ディスクとなった「ストーンド・ソウル・ピクニック」はローラ・ニーロの作品だ。

またビルボード誌のホット100には31曲チャートインしているが、ソウル/R&Bチャートには17曲しかはいっていない。

そして、彼らはそのことを少々悩んでいたようだ。この映画のインタヴューでも、「ブラックベース(黒人のベース)がないので、このフェスに参加して、そうしたファンに認識してもらえればうれしい」といったニュアンスを語っていた。

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フィフス・ディメンション モノクロ

3.ポップ・グループとしての悩み

僕も当時リアルタイムで彼らを聞いていて、ソウル・グループというより、たとえばレターメンのようなポップ・グループだなあ、と思っていた。

彼らがポップ・グループとして人気を集めたのは、おそらくそのプロデューサーゆえだ。彼らのプロデューサー、ボーンズ・ハウは、それまでにタートルズ、アソシエーションなどのポップ・グループをてがけていた人物だからだ。その路線で彼らフィフス・ディメンションの方向性をもっていった。そして、レコーディングのメンバーは、レッキング・クリューだ。

ソウル・チャートよりもポップ・チャートでのほうが受けがいいブラック・グループは、当時、なかなかなかった。日本でも、ソウル・ファンの間からはまったく支持されていなかった。

アメリカでも彼らは「黒くないグループ」と呼ばれ、彼らもそれを気にしていた。だから、このハーレムのど真ん中で行われる「ハーレム・カルチュラル・フェスティヴァル」への出演はチャレンジであり、ブラックの間にインパクトを与える点でも大きな意味を持った。

しかし、その後、僕あたりも、80年代くらいになると、黒すぎないポップさがだんだんよく感じられるようになり、すっかりお気に入りグループとなった。おもしろいものである。

この「ハーレム・フェス」の素晴らしいところは、一般的なソウル、R&Bだけでなく、ジャズ、ラテン、サルサなどのさまざまなジャンルを分け隔てなく取りそろえたところにある。

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