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〇『ウエスト・サイド・ストーリー』~ふたつの分断された人種

〇『ウエスト・サイド・ストーリー』~ふたつの分断された人種

【West Side Story (2021) 】

(本作・本文は約3000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ6分から3分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと10分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇『ウエスト・サイド・ストーリー』

【West Side Story (2021) 】

ダンス。

世紀の名作ミュージカルが再度映画化。しかも、スピルバーグが監督。いったいどのような作品になるのか。そして、なぜ今なのか。2022年にこの作品を問う意味とは。

1957年(昭和32年)にブロードウェイで公開されたミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』は、ブロードウェイから全米ツアー、全世界へと広がっていった。当初のブロードウェイ版さらに全米ツアー版はなんと732回の公演回数を記録、翌年の舞台作品に与えられる賞、トニー賞に6部門でノミネートされ2部門を獲得した。「ベスト・ミュージカル」などは逃したが、「ベスト・コレオグラフィー(振り付け)」と「ベスト・シーニック・デザイン(舞台シーンのデザイン)」を獲得した。

1961年にはこれが映画化され、大ヒット。そのサウンドトラックに収められた曲「トゥナイト」などが大ヒット。

以後ミュージカルは、半世紀にわたり、全米、ヨーロッパ、日本など各地でそれぞれの国のヴァージョンで公演され押しも押されぬ大ヒット作、古典となった。

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あらすじは、ニューヨーク・マンハッタンのウエスト・サイドを舞台にした移民たちの対立の物語。プエルトリコ系の「シャークス」団と、ポーランド系(白人系)の「ジェッツ」団が、自分たちの縄張りを巡り争う。

ところがその両者が集まるダンス・パーティーでジェッツのトニーとシャークスのリーダー、ベルナルドの妹マリアが恋に落ちるところから物語が複雑になっていく。

元々は、ジェローム・ロビンズが『ロミオとジュリエット』をヒントに、ウエスト・サイドの人種間対立を描こうとレオナード・バーンスタイン(作曲)、スティーヴン・ソンドハイム(作詞)に声をかけたことから話が進んだ。

この『ウエスト・サイド・ストーリー』は、1957年初演後、全米ツアーが1959年、1985年、1995年、2010年、ブロードウェイ・リヴァイヴァルが1960年、1964年、1980年、2009年、2020年、イギリス・ウエストエンド公演が1958年、1974年、1984年、1998年と続く。ミュージカル史上稀にみる超ロングヒット作、古典作になった。

そして、2021年満を持して、スピルバーグの映画化だ。

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WSS 2021 3 マリアxトニー 外階段で

今回の2021年版映画は、2014年から話が始まり、2018年1月にスピルバーグが監督することになり、同年9月からキャスティングが始まった。2019年7月から9月にかけて撮影。当初は2020年公開を目指したようだが、コロナ禍のために遅れた。結局、2021年11月29日ジャズ・アット・リンカーンでプレミア公開され12月10日から全米一般公開、2022年2月11日から日本公開されている。

およそ1億ドル(115億円)の予算で製作され、約6週間で6300万ドルの興行収入を得ている。

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WSS 2021 5 パーティーでトニー

2021年版を見て一番最初に感じたことは、「マイケル・ジャクソンはこのミュージカルを死ぬほど見て、めちゃくちゃ好きだったんだろうな」ということだった。

シーンが進むにつれ、これ、マイケルのあのシーン、あのシーンというのが次々でてくる。

歌って踊ることのすべての原点がこの『ウエスト・サイド・ストーリー』にあるような気がしてきた。

1961年版・映画『ウエスト・サイド・ストーリー』は、封切当初は見ていない。おそらくテレビの映画劇場とか深夜枠などで目にしたかどうかくらいだ。ということで、今回これを機に61年版映画をブルーレイで入手して改めて見た。

湯川先生が「50年以上も前に、若い男の子が画面狭しと何十人も踊るなんてもの見たことなかったから、その衝撃や」とおっしゃるように、そのインパクトはまちがいなくアメリカのエンタテインメント史に歴史を記した。

リメイクの企画が立ち上がったときには、まだトランプではなかったが、ミュージカル初演から60年以上経て、何かのまちがいで大統領になってしまった男が、分断を煽ってしまった今こそ、ふたつの人種の対立を描いたこの作品が浮き彫りにする人間の持つ性(さが)とどうしようもない絶望感について、改めていろいろと考えさせることになった。

スピルバーグはそのあたりのことも製作中に頭の片隅にいれていたかもしれない。

それはきっと、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』(1971年)がリリースから50年を経た今でも語りかけるメッセージが普遍であることと、そして時に結局何もできないという無力感を感じさせられることと地続きだ。

(追記) 加えて、1989年のスパイク・リーの傑作『ドゥ・ザ・ライト・シング』のことも思い浮かべた。あれはイタリア系とブラック系の分断・衝突を描き、さらにそこに警官の暴力まで加味された。初演から65年を経て、そうした状況はほとんど変わらない。むしろ悪くなっているような気さえする。そういう視点から見ると、この『ウエスト・サイド・ストーリー』が投げかけるテーマも重い。(追記ここまで)

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映画公式ページ


https://www.20thcenturystudios.jp/movies/westsidestory

上映劇場・時間など


https://waltdisneystudios.jp/theater/westsidestory.html

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