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〇続・アリーサ・フランクリン・トリビュート~アリーサから直接受けたインスピレーション

〇続・アリーサ・フランクリン・トリビュート

一昨日のアリーサとナタリーのインセパラブルな物語が大変好評だったようで、さらにアリーサ関連をもうひとつご紹介することにしました。2007年3月に今は亡き六本木スイート・ベイジルで行われた『ソウル・サーチン・ザ・セッション~アリーサ・フランクリン・トリビュート』。実に豪華なトーク&ライヴ・ショーになった。そのとき、実際にアリーサにあったマクサンの話などをご紹介。

(本作・本文は約6000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、12分から6分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと20分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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目次

1.マクサン・ルイスがアリーサから直接もらったインスピレーション

2.初めてアリーサを聴いたとき

3.高山広の『アレサ・フランクリン物語~デイ・ドリーミン~アイム・シンキング・オブ・ユー』

1.マクサン・ルイスがアリーサから直接もらったインスピレーション

インスピレーション
2007年03月29日(木)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10029250598.html

【アレサにインスピレーションをもらった日】

インスピレーション。

いくつも見所はあるのだが、ちょっとした飛び入りもおもしろかった。第一弾は、イクミ・ストリートが「シンク」を歌っているときにおもむろにアタッシュケースを持って登場した黒いスーツにサングラスの男二人。そう、ブルース・ブラザースだ。サム・ムーアのライヴで知り合った二人で、ブルース・ブラザースのコピーをする「3BCB(スリー・ビー・シー・ビー)」(ブルース・ブラザース・バンド、コピー・バンドの略)のナニワ・エルウッドとジェイク・ダモン。ぱっと出てきて、ちょろっと踊って、曲が終わったら、あっという間に舞台を去った。その去り際も見事。(笑) 

もうひとりが、アンコール曲「フリーウェイ・オブ・ラヴ」でステージに上がったマクサン・ルイス。しばらく前の日記で紹介したが、もともと1970年代に活躍したブラックロックグループの先駆け的存在「マクサン」のリード・シンガー。ちょうど、2番から歌ったのだが、その声の迫力はすごかった。並大抵ではない。

RELOADED: THE COMPLETE RECORDINGS 1972-1974
MAXAYN (アーティスト)


https://amzn.to/311H0ry

ブログ アリーサ マクサン

(マクサン・ルイス)

曲を終えて僕がマクサンを紹介すると、彼女はマイクをとってこう話し始めた。「私はアレサに18歳の時に会ったことがあるの。(おそらく30年以上前のことと思われる) アレサの姉、アーマ(・フランクリン=2002年64歳で死去)が私の友達で、私の誕生日を祝ってくれる、っていうの。その時私はデトロイトのクラブでボビー・ブルー・ブランドのバンドにいて、ジョージ・クリントンのパーラメント/ファンカデリックの前座だった。アーマが『誕生日に何が欲しい?』というので、私は『あなたのお姉さんに会いたい』って言った。そしたら、彼女は『OK』といって、彼女の家に連れて行ってくれた。

ブログ アリーサ アーま・フランクリン

(アーマ・フランクリン)

12月で雪が降っていた。大きなうちに行くと彼女がいて、私のひざはもうガクガク。アレサが『何か歌ってよ。ちょっと気分がブルーなので、私をハッピーにさせて』と言った。大きくて立派なベーゼンドルファーのピアノがあって、そこで私は『エヴリバディー・ウォンツ・トゥ・ノウ・ホワイ・アイム・シンギング・ブルーズ』を歌ったの。

BB King Everybody Want To Know Why I Sing The Blues


https://www.youtube.com/watch?v=fAfGfi0g8u0

(マクサンが歌ったその曲。メンバーがすごいです。ごらんください)

アレサはそれを聴いて、『いいわね、あなたは、ずっとプロとして歌い続けていくべきよ』と私に言ってくれた。私が人生の中でもっともインスピレーションをもらった瞬間だったわ。彼女がカリフォルニアに移ってからも、私のライヴがあると会いに来てくれたわ。私はそれ以来ずっと歌い続けてきて、今日、こうしてアレサのトリビュートで歌うことができて本当に光栄に思います。ありがとう」

すでにアンコールを終えての時点だったこと、終了予定時刻を大幅に押していたので、ゆっくり話ができなかったが、時間があれば、「アレサ話」をしてもらいたかった。いい話だ。

さて、ショーの中で、ブレンダ、ユリ、マルと3人が並ぶと本当にドリーム・ガールズだ。(笑) そして、今回のライヴで僕が個人的に感じたことは、バック・コーラスのおもしろさだ。この点については、また明日。

(この項つづく)


ENT>MUSIC>LIVE>Soul Searchin: The Session


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2. 初めてアリーサを聴いたとき

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10029718464.html

思い出
2007年04月01日(日)
【ソウル・サーチャーズ、アレサを語る】

思い出。

ファーストセットの途中で、ミュージシャン3人にもアレサについて一言、語ってもらった。

1960年代風アフロ・ヘアーをしたソウル・シンガー、「トウキョウ・レディー・ソウル・ナンバー・ワン」ブレンダ・ヴォーンのコメント。「私が子供だった夏休み、おばあちゃんのところによく行っていた。12-3人の親戚のおばやおじがいて、みんなシンガーなの。で、その彼らはアレサの歌を聴いて、みんな泣いてるのね。聴きながら、涙を拭いたりして。この時は、なぜ彼らが泣くのか(子供だったせいもあって)わからなかった。でも、私が大人になってからアレサのレコードを聴くようになって、それが理解できるようになった。アレサは、本当にすばらしい「ストーリーテラー(語り部)」なのよね。物語に感情を込め、ストーリーを語りかける。それは、本当にすばらしい部分だわ」 

ブログ アリーサ ブレンダ

(ブレンダ・ヴォーン)

ブログ アリーサ フィリップウー

(フィリップ・ウー)

フィリップ・ウーのコメント。「僕がアレサを初めて聴いたのは7歳の時だった。『リスペクト』が最初の曲だった。アレサの音楽や歌は僕の人生のBGMになっていた。特にアレサのピアノ・プレイにはやられた。なぜなら彼女は自身のピアノ・プレイで、バンド全体をのらせてひっぱっていったから。それから、自分がプロになってから、アレサと会ったり、何度も同じステージに立ったりする機会があった。そして、アレサのレコードでプレイしているキーボード奏者は、僕の大好きな人たちばかりなんだ。まず、ダニー・ハザウェイ、そして、リチャード・ティーだ」

Aretha Franklin - Respect


https://www.youtube.com/watch?v=ZarHqgIMiGQ

ブログ アリーサ ケイリブ

(ケイリブ・ジェームス)

そして、ケイリブ・ジェームス。「ソウル・サーチンをやってきて、みんなから女性シンガーはやらないのかってメールをもらうようになっていた。で、女性をやるとなったら、まず、一番最初にやらなければならないのは、この人をおいて他にいない。クイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリンだ。(拍手) もちろん、他にもたくさんすばらしいシンガーはいる。だけど、まず、アレサだ。

アレサの曲で最初に僕がひじょうによく覚えているのが、『ヤング・ギフテッド・アンド・ブラック』という曲。

Aretha Franklin-Young, Gifted, and Black


https://www.youtube.com/watch?v=qFidgjq9rIo

ブログ アリーサ ウェルドン・アーヴィン

(ウェルドン・アーヴィン)

実は、これを書いたのが僕と同じ街に住んでいるウエルドン・アービンという男だった。子供のころというのは、どんな曲をどう聴いたとかそれほど覚えていないけれど、この曲は強烈によく覚えている。実は僕の出身はニューヨークのクイーンズ地区なんだけど、ここからは本当に多くの才能あふれるミュージシャンがでてきている。すばらしいジャズのキーボード奏者、ウエルドン・アーヴィンという人物がこの『ヤング・ギフテッド・アンド・ブラック』の歌詞を書いている。彼は3年ほど前に亡くなってしまったけれどね。このパワフルなタイトルの曲を、地元の人間が書いたということで、ものすごく(僕にとっても)インパクトがあったんだ。若くて、才能あふれて、そして、黒人だ、と言ってるんだよね。その頃は今とはまったく時代が違う。自分は若くて、才能があり、しかも、黒人であることを声高に言うなんてことは、なかなかできなかった。ジェームス・ブラウンが『セイ・イット・ラウド・アイム・ブラック・アンド・プラウド』(黒人であることを声高に言え、誇りに思うと言え)と同じように、ものすごいことだったんだ。そのタイトルを聴いただけで、僕は鳥肌が立ったよ。

"Say It Loud It Loud ~ I'm Black & I'm Proud"


https://www.youtube.com/watch?v=9bJA6W9CqvE

それをクイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリンが歌ったわけだからね。なおさらだ。当時、あのようなタイトルの曲を歌うには、ものすごく大変な勇気がいったと思うよ。ま、それが最初で、その後、アレサの曲で踊ったりガールフレンドとセックスしたり、まあ、いろいろあったよ。(笑) そう、だから、アレサの作品は大好きなんだ(笑)」 

尾臺さんは、NHKの『ソウル・ミュージック』にゲストでやってくるアーティストに影響を受けたアーティストを聴くと、実に多くの人がアレサを選ぶと紹介。それだけ、多くのブラック・アーティストに影響を与えている。

実は、ブレンダはおととしの『エッセンス・ミュージック・フェスティヴァル』でアレサを見ているので、その話も聴こうかと思ったが、時間切れになってしまいました。3人もそれぞれアレサへの思いがあったので、最初からもっと時間をとっておけばよかったな、とかなり反省です。

このトークの後に、アレサの1971年の『モントルー』での映像から、「コール・ミー」と「ブラン・ニュー・ミー」を紹介したが、本当は「コール・ミー」は誰かに歌ってもらおうかと思っていた。

Aretha Franklin, Call me Switzerland 1971


https://www.youtube.com/watch?v=L4nEi7nMsxs

実は、ケイリブにフィル・ペリーの秀逸なカヴァー・ヴァージョンがあり、それをもとにどう、と振っていたのだが、それがあまりにすばらしい出来であること、むずかしい曲であること、他にもたくさんの曲があったので、結局没になった。また、ケイリブが語った「ヤング・ギフテッド・アンド・ブラック」は、当初ケイリブ・ピアノ、ブレンダの歌でやる予定だったが、時間の関係でセットリストから落ちた。

Phil Perry – Call Me


https://www.youtube.com/watch?v=L_hC5WKFfL0

ライヴが終わってみんなで軽く打ち上げをしたのだが、その中で「満席になったのなら、次は2日どうですか。もう一日あれば、もっといいパフォーマンスができる」と口々に言う。おお、なるほど、と思った。

(明日、メンバーのウェッブ一覧をご紹介します。また、明後日のこのブログでフィリップ・ウーの4月19日に行われるビリー・プレストン・トリビュートについて、彼のインタヴューも含めお送りします)

ENT>MUSIC>LIVE>Soul Searchin: The Session

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3.高山広の『アレサ・フランクリン物語~デイ・ドリーミン~アイム・シンキング・オブ・ユー』


そして、このとき一人芝居の高山広さんが『アレサ・フランクリン物語~デイ・ドリーミン』を行っている。

そのときの感想、レヴューがこれ。この作品は11年後の2018年9月2日、目黒・ブルースアレイで奇跡の再演を果たした。しかも、そのときは、8月16日にアリーサの逝去を受けての追悼公演の形になった。

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一人芝居
2007年03月30日(金)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10029376921.html

【高山広の演技に感動した人】

一人芝居。

ブログ アリーサ 高山

「あの人は、なんなの?」 「ふだん、一人芝居している人」 「じょうずなのねえ。旅行かばん持って、出てくところなんか、ほんとそっくり」 「アレサのことを知らなくても、楽しめたかも」 「高山さんって、けっこうイケ面だったのよ」

いろいろなご意見が飛び交うおしゃれな街六本木25時。今回の高山広さんの芝居のタイトルは、"Day Dreaming -- I’m Thinking Of You"。曲のタイトルそのままだ。謎の音楽評論家正岡吉晴が、アレサを見にはるばるニューヨークまで行くのだが、空港で飛行機が4時間遅れることになり、行くか行かないか迷うところから始まる。前日までほとんど寝ていなかった正岡は、うとうとと白昼夢(デイ・ドリーミング)を見始める、という趣向だ。

まあ、音楽評論家正岡という設定が、若干楽屋落ち的な部分もなきにしもあらずだったが(笑)、そこから夢にも思わぬ「村興し」という展開、さらに天国からルーサーが降りてきて、ルーサーからアレサへのメッセージを読むという構成には度肝を抜かれた。「夢」というところにキーワードを掘り起こした高山さんはどうも、泣かせの達人らしい。またまた、彼の演技を見ながら目頭を押さえていた方も何人もいらっしゃったようだ。

「デイ・ドリーミン」と「アイ・ドリームド・ア・ドリーム」の歌詞とその訳詞を教えてください、と言われたのは一週間ほど前。いろいろお渡ししたCDから、そこに目をつけたか、と興味津々になった。

何人の役を演じ分けたのか考えると、1)音楽評論家、2)村興しの村人、3)ルーサーが乗り移った音楽評論家ということかな。アレサ本人がでてこないところがミソか。

村興しの人の「(アレサの音楽は)言葉がわからないのに、感動する、っていうのは、相当すごい人なんじゃねえのか」というせりふは本質をついている。

「前回は、ビデオを見ると20分以上やってるんですよね~。今回はきっちり15分で終わりますから」と言っていた彼だが、終わってみるとやはり25分近くになっていた。(笑) 

高山さんから翌日メールが来た。ご本人の了承を得たので一部をご紹介する。

「昨日、そして準備期間のすべての時間あわせて本当にお疲れ様でしたm(__)m 夕べ、あの後六本木のホームで電車まちをしていたら良い感じで頬が赤らんだご婦人方数名と若い女性に「あのぉ、ソウル・サーチンに出てらっしゃった方ですよね」と声をかけて頂きました。「本当に楽しかった!」と喜んで頂けたようでした。特に年配の女性からは「ぐっときちゃって思わず…。私らぐらいの年齢になるとわかる部分があったわ」と有り難いお言葉を。

そこには、ショウ全体を心行くまで味わい尽くした心地良い疲労感と満足感に満ちたイイ顔たちがありました。その雰囲気から昨日のソウル・サーチン:ザ・セッション全体の成功を確信できました。同時に、僕が理想とするライヴというものの在り方を目の当たりにすることができ、僕自身最高にハッピーな気分になれたのでした。いろいろとお気遣いありがとうございました。一言。今回もエキサイティングで楽しかった! やばい、くせになりそうです(笑) 時間延ばしたのも含め、いろいろ失礼をお許し下さい」

音楽ライヴの会場にまったく異業種・異端な一人芝居。僕はこのメルティング・ポット的なごった煮が気に入っている。あと2回「ソウル・サーチン」やったら、作品が全部で4本になって、「ソウル・サーチン:高山広の会」というのが1回出来るなあ、などと指折り数えた。(笑) 

ENT>MUSIC>LIVE>Soul Searchin: The Session Vol.2

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高山さんとは、この前に「ルーサー・ヴァンドロス物語」をやってもらっており、アリーサは第二弾。そして、ルーサーから12年後、2018年9月にアリーサとルーサーを2本立てで公演した。それが大評判となり、翌年成城ホールでの公演に。さらに、2019年6月、マイケル没後10周年で『マイケル・ジャクソン物語 終わらないDの物語』に繋がっていく。

縁は異なもの。点と点が次々と繋がっていく。

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