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〇筒美京平さん80歳で死去~巨星堕つ~膨大な輸入盤を買い洋楽を研究

〇筒美京平さん80歳で死去~巨星堕つ~膨大な輸入盤を買い洋楽を研究

【Kyohei Tsutsumi, Aka Jack Diamond Dies At 80】

訃報。

(本作・本文は約4000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、8分から4分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと13分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇筒美京平さん80歳で死去

【Kyohei Tsutsumi, Aka Jack Diamond Dies At 80】

訃報。

昭和を代表する大作曲家の筒美京平さんが2020年10月7日、誤嚥性肺炎のため死去したことが12日に発表された。80歳。かねてから自宅で病気療養していた。葬儀はすでに近親者で行われ、お別れの会などはコロナ禍のために現時点では予定がないという。

01.  ミニ評伝

筒美京平さんは、本名渡辺栄吉、1940年(昭和15年)5月28日東京生まれ。青山学院卒業後1963年、レコード会社(日本グラモフォン)に入社。洋楽ディレクターとして活躍。このころからすぎやまこういち氏に師事し作編曲を学んだ。1967年から専業作曲家として活動。グループ・サウンズ、歌謡曲、アイドル歌謡、アニメソングなど多数の作品を生み出した。

1968年12月発売のいしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」が自身初のオリコン1位。1971年、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」で第13回日本レコード大賞、ジュディ・オングの「魅せられて」で第21回日本レコード大賞を受賞。1971年から1987年までのうちの10年間で日本の作曲家別レコード売り上げ年間1位を記録など昭和を代表する作曲家に。ヒットチャート入りした曲は500曲以上。オリコン1位曲は39曲、トップ10入りは200曲以上。日本の音楽業界でもっとも多くのヒットを生み出した作曲家。

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02.  洋楽との架け橋~

筒美さんの偉業については他のメディアでたくさん出てくると思うので、ここではディスコに特化したことで、オリエンタル・エクスプレスのことなどをすこしだけ書いてみたい。

僕は残念ながら直接的な面識はない。まさに、雲の上の人だ。なので、一緒に仕事をした人たちがその思い出を語っているのを見ると、大変うらやましい。

筒美京平さんの名前を覚えたというか、意識したのは、はっきり覚えてないが、テレビで流れる曲に作詞作曲家の名前が出て、ちょっと気にいったりした曲に必ず「筒美京平」の名前があるのを見ていた頃だと思う。1970年代初期のことだろう。

最初にインパクトを受けたのは、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」あたりか。ラジオや深夜放送、そしてテレビの歌番組などから流れてきたものを覚えたのだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=o-bMKTK3Dss

多くの人も指摘されているが、筒美京平さんの偉業のひとつが当時の洋楽の要素をふんだんに日本の歌謡曲の中に取り入れたことだ。

当時、僕が聞いていたのは、京平さんは、とにかくめちゃくちゃ洋楽の輸入盤を買いあさっているという話。それこそ原宿にあった輸入レコード店メロディーハウスやその後の青山のパイドパイパー・ハウスには、京平さんのお取り置きコーナーがあって、毎月3-40枚は輸入盤を購入していたという。

だから、特にアメリカでの音楽の流行などにものすごく敏感で、新しいものをすごく早い段階で知っていた。レコード会社の人が、京平さんに会うと「あのA(というアーティスト)の最新作のA面の3曲目、いいよね」とか、すぐにそういう話題になったそうだ。新譜をめちゃくちゃよく聞いている印象を持ったという。

1970年代初期から当時全米でも大ヒット中だったさまざまな「フィラデルフィア・サウンド」、もちろん、その前からの「モータウン・サウンド」などはリアルタイムにどんどんとどん欲に仕入れていたわけだ。

筒美さんの作曲、編曲で洋楽色がものすごく強いのはそうした絶え間ない勉強の成果だ。しかも、カヴァーする洋楽のジャンルがはんぱなく広い。

03.  日本の歌謡ソウル

そこでこんな曲も生まれた。当時日本でもフィラデルフィア・サウンドがちょっとした人気となりだし、その中でもっとも売れてきたのがスリー・ディグリーズだが、日本で人気なので、日本制作の日本語の曲を歌わせようということになった。そこで、当時のフィラデルフィア・サウンドに精通していた筒美京平さんに白羽の矢が立ち、これができた。

(これより前に、細野晴臣作曲、松本隆作詞の「ミッドナイト・トレイン」が出ていた)

にがい涙~スリー・ディグリーズ (演奏・原信夫とシャープスアンドフラッツ)

https://www.youtube.com/watch?v=y87E04egvco
(今をときめくギタリスト、はらゆうまさんの祖父がバンマス)

レコード・ヴァージョン


https://www.youtube.com/watch?v=rBB7Fl1Wdy8
(レコードのアレンジは深町純さん)

そして、1976年、当時は覆面グループとしてデビューしたオリエンタル・エクスプレスが登場する。ディスコ・ヒットを狙ったもので、日本のミュージシャンが録音したものだが、洋楽風に見せてディスコ、有線、ラジオにプロモーション。大ヒットとなった。このときの「ドクター・ドラゴン」ことジャック・ダイアモンドが筒美京平さんの変名だった。

04.  オリエンタル・エクスプレスでディスコ・ヒット                        

このディスコ・ヒットは、フィリー・ソウル、モータウン・ソウル、ディスコ・ヒット、さらに洋楽全般の数々に精通した筒美さんにとってはどんぴしゃの企画だった。本ブログでは何度も登場し書いているが、当時のビクターの宣伝マンだったハッスル本多さんが「バスストップ」というニューヨークで流行っていたダンス向きの曲を作ろうということでできた曲だった。

Sexy Bus Stop – Oriental Express


https://www.youtube.com/watch?v=Z_2IUBP2BLo (1976年3月発売)

Peanuts (disco version) / Dr. Dragon & The Oriental Express


https://www.youtube.com/watch?v=XRWm_yzBCmk
(1976年7月発売)

ハッスルジェット - Dr.ドラゴン & オリエンタル・エクスプレス


https://www.youtube.com/watch?v=XcQ26802uYU
(1976年9月発売)

Caribbean Dream / Dr. Dragon & The Oriental Express


https://www.youtube.com/watch?v=SMtpFXnvL6o
(1977年2月発売)

筒美さんの新しい作品を聴くとき、この元ネタはなんだろう、などと推測するのも洋楽好きの定番だった。

日本の音楽界は戦後、アメリカやイギリス、海外の音楽に追いつけ、追い越せで爆走してきた。筒美京平さんはその爆走の先陣を大変な勢いを持って走った。日本の歌謡音楽界における洋楽的DNAを誰よりも多く残した。洋楽のエッセンスを上手に日本の音楽界に翻訳して紹介したわけだ。その意味で、彼もまた文化的架け橋になった。

日本の音楽シーンに多大な足跡を残した偉大な作曲家、筒美京平さん。お悔やみ申し上げます。


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