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〇 日本初のディスコ・リミックスからダフト・パンクへの道

〇 日本初のディスコ・リミックスからダフト・パンクへの道

【Are Daniel Vangarde (Daniel Bangalter) & Jean Kluger Like Jam & Lewis Of 70s? 】

ルーツ。

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(本作・本文は約6000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ12分から6分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと20分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇ダニエル・ヴァンガード(ダニエル・バンガルター)とジーン・クルーガーは、ベルギーのジャム&ルイスか

【Are Daniel Vangarde (Daniel Bangalter) & Jean Kluger Like Jam & Lewis Of 70s? 】

1. ベルギーのダニエル・ヴァンガードとジーン・クルーガーのディスコ作品

ルーツ。

ベルギーをベースに1970年代から1980年代にかけて多くのダンス/ディスコ・ヒットを生み出したダニエル・ヴァンガード(ダニエル・バンガルター=1947年頃の生まれ)とジーン・クルーガー(1937年3月31日生まれ)の二人は、多くのダンス・ミュージック、ディスコ曲を生み出した。あとから言えば、ヨーロッパ産ディスコということで、「ユーロ・ディスコ」でもあるのだが、ブラック・ブラッド、ギブソン・ブラザース、L.A.X.、オッタワン、そして、ソウル・イベリカ・バンドなどのヒット生み出した。フランスとベルギーは地理的にも近いので、ベルギーからのディスコは、フレンチ・ディスコ圏の作品としても捉えられてきた。

1977年6月、日本のフォノグラム・レコーズ(当時)に彼らがてがけた「ファンキー・フラメンコ」(ソウル・イベリカ・バンド)というシングル盤が届いた。それをレコード会社のオフィースで聴いた僕は、ディスコでかけるにはちょっとビートが弱いが、日本人受けするようなメロディーだと思った。それより前から、日本で「ディスコ・リミックス」のような作品を作りたいと思っていた僕は担当の渡部(わたべ)ディレクターに、「この曲のマルチ・テープを取り寄せて、日本で独自の『ディスコ・リミックス』を作りませんか」と提案。渡部さんもすぐに「それはおもしろい」と快諾。マルチ・テープを取り寄せ、到着すると、フォノグラムのスタジオを押さえてくれた。

ジャケ写 ファンキー・フラメンコ 輸入盤

(「ファンキー・フラメンコ」のヨーロッパ盤・輸入盤)

日本でもディスコ・リミックスをやるべきだと考えたのは、アメリカでは1974年以降さかんにディスコのリミックスが盛んになり、多くのリミックスものが12インチ・シングルとなってでていたからだ。トム・モウルトンが先陣を切り、当初はほとんどすべてのリミックスをトム・モウルトンがてがけていたが、徐々にいろいろなディスコDJがリミックスを作るようになっていた。ウォルター・ギボンズ、ジェリービーン・ベニーテス、リッチー・リヴェラなどがてがけるようになった。日本でも遅かれ早かれそうした動きはでてくるものと思った。

トム・モウルトン 横 モデルカラー

(トム・モウルトン)

僕自身も当時オリコン誌でディスコのページを毎週書いていて、トム・モウルトンにも傾注していたので、やはりディスコ・リミックスをやってみたいと思うようになっていた。

2. 日本初のディスコ・リミックスの制作

リミックス。

1977年7月31日と8月21日に今は亡きフォノグラムの、たしか6階あたりにあったスタジオにはいった。事前に何度も7インチ・シングルを聴いて、こことここを編集して、ここのブラスやストリングスを強調してみたいなおおまかなスケッチは描いていたので、割と作業は順調に進んだと思う。

一番難しかったのが、ヴォーカル・トラックのところに他の楽器の音が漏れ入っていた点。なんとかそのあたりをクリアし、最初に長尺の5分47秒のものを作り、それをシングル盤用に3分弱のものを作った。

ダニエル・ヴァンガード ジャケット

(ダニエル・ヴァンガード)

ジーン・クルーガー 写真

(ジーン・クルーガー)

今、聞き直すとドラム・ブレイクになり、トランペットとストリングスがメロディーを取る部分を作ったあたりは、よくこんなことを思い付いたな、と感心する。(笑) 

昨日(2021年3月27日)『レディオ・ディスコ』でこのロング・ヴァージョンの「アン・アーリー・バード・ミックス」をかけたら、「手品師が手品しそう」「ポール・モーリアみたい」などのツイートがあり、「あああ、なるほど」と思った。確かに、いかにもヨーロッパ調の、ポール・モーリア風だなと思った。

また、オッシーはちょうどこの頃世界的にヒットしたサンタ・エスメラルダの「ドント・レット・ミー・ビー・ミスアンダースタンド(悲しき願い)」を思い出したと言ったので、ひょっとしてその大ヒットを受けて、これを作ったのかとオンエアでは言ったのだが、帰って調べて見ると、この「ファンキー・フラメンコ」のほうが少し早かった。これは1977年6月くらいにベルギーでリリースされていて、サンタ・エスメラルダは1977年8月頃、ヨーロッパ盤が出ていた。もちろん、ヨーロッパのミュージシャン同士のネットワークでどちらかの曲を先に聴いてという可能性はなくはないが、リリース順で言えば、「ファンキー・フラメンコ」→サンタ・エスメラルダの順だ。ひょっとしてサンタ・エスメラルダの面々が「ファンキー・フラメンコ」を聴いて、「これだ!」と思って真似した可能性もある。

ジャケ写 ファンキー・フラメンコ 日本盤12インチ

(「ファンキー・フラメンコ」の非売品、12インチ・シングル。今回CDに収録)

たぶん、あの頃は、なんでもディスコ化しようという風潮があったので、フラメンコもディスコにしようという機運が高まった。その一環でこれらの作品がでてきた。最初は昔のスタンダードをディスコ化するのがはやり、その流れで「ブラジル」や「ナイト・アンド・デイ」などの昔のスタンダードのディスコ・ヴァージョンが出回った。そして、西ドイツ・ミュンヘンのサウンド、ディスコが一世を風靡し、その後、ヨーロッパのあちこちからさまざまなヨーロッパ・ディスコが出てきた。

3. 続く「ベイビー・シッター」がヒット

オカマダンス。

ソウル・イベリカ・バンドは、たぶん、ベルギーのスタジオ・ミュージシャンを集めて即席で作った曲だと思うが、これがそこそこヨーロッパでヒットし、第二弾シングル「ベイビー・シッター」が出た。日本では、「ファンキー・フラメンコ」のヒットのベースがあったためか、ステップがついたためかよく1978年に出た「ベイビー・シッター」のほうがよりヒットした。これは当時新宿のディスコなどで流行った通称「オカマ・ダンス」とともにヒットになった。

ベイビー・シッター ジャケ写日本盤

ソウル・イベリカ・バンドや、ブラック・ブラッド、ギブソン・ブラザーズなどのヒットを放ったダニエル・ヴァンガードとジーン・クルーガーのコンビ。今風に言えば、「ヨーロッパのジャム&ルイス」といえば、少しはわかりやすいか。(笑)ジーンがダニエルより10歳年上で、おそらくジーンがビジネス面を取り仕切り、現場の音楽的なこまかいことをダニエルが仕切っていたのではないかと思う。

10歳差というとDトレイン(ジェームズ・ウィリアムス)と相棒のヒューバート・イーヴス3世を思い出す。これもイーヴスがビジネス面、ウィリアムスが実際の音楽面の担当だった。ギャンブル&ハフはそれほど年は離れていないが、ギャンブルがビジネス面、ハフが音楽面、またジャム&ルイスも、ルイスがビジネス面、ジャムが音楽面で一日中スタジオにいる。ベイビーフェイス&LAもベイビーフェイスがスタジオ、LAがオフィースで、という感じだ。それぞれの役割分担がはっきりしているのがおもしろい。

4. 売れっ子プロデューサーの子ども

DNA。

そして、このダニエル・ヴァンガードに1975年1月3日一人のベイビーが生まれる。トーマス・バンガルター(英語読みかベルギー語読みによって発音が微妙に違う)と名付けられた彼は幼少の頃から音楽に親しみ、18歳頃(1993年)学校でギ・マニュエル・ドゥ・オメン・クリストと出会い、2人でダンス・ミュージックのユニットを作る。それがダフト・パンクだ。

ダフト・パンク

(ダフト・パンク)

トーマスあたりは、父親たちが作っていた音楽にはほとんど興味がなかった。彼らの音楽と自分たちの音楽に接点はないといったことを言っているようなのだが、もちろん、できた音楽はほとんど違うタイプのもの。唯一、一点共通点があるとすれば、踊るための音楽、ダンス・ミュージック、ディスコ・ミュージックということだろうか。踊るための音楽、その表現形態が1970年代と1990年代、あるいは2000年代では違うだけのことだ。

ただヴァンガードの家も、当然、音楽にはあふれていただろうから、有形無形で子供が父親の音楽的影響を受けたことは十分理解できる。父親たちのような音楽をやりたくないと思えば思うほど、そこに意識がいくのも人間の性。

日本初のディスコ・ミックスを施したレコードを作ったプロデューサーの子どもが、1990年代から2020年代までをかけぬけ、2021年、解散を表明したその年に、その日本初ミックス作品が40余年の時を経て世界初CD化されるというのも、まさにディスコの歴史の過去・現在・未来が線になったような瞬間だった。

“An Early Bird Mix” やライナーのツの”An Early Bird Note”のクレジットは、トム・モウルトンのクレジット”A Tom Moulton Mix”に由来します。


2021年3月27日放送「ディスコ・サーチン」部分のラジコ→


https://bit.ly/3rmQKXq 
(1週間以内)

『レディオ・ディスコ』同録(フル、2時間45分)→


https://bit.ly/2P4jcjW

「ディスコ・サーチン」は60分くらいのところから。

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この両方のヴァージョンが収録されているTグルーヴ編纂のコンピ。

FUNKY FLAMENCO : T-GROOVE PRESENTS FRENCH & BELGIUM DISCO BOOGIE 1975-1980 [日本独自企画盤]
VARIOUS ARTISTS (アーティスト)


https://amzn.to/3fkqWss


01. Soul Iberica Band/ Funky Flamenco (When Philly Goes To Barcelona)
ソウル・イベリカ・バンド/ ファンキー・フラメンコ
02. Black Blood/ A.I.E. (A M'wana)
ブラック・ブラッド/ アイエ
03. The Philarmonics/ For Elise
フィラーモニクス/ エリーゼのために '77
04. Gibson Brothers/ Come To America
ギブソン・ブラザーズ/ カム・トゥ・アメリカ
05. Soul Iberica Band/ Baby Sitter
ソウル・イベリカ・バンド/ ベイビー・シッター
06. Thembi/ Take Me Back To The Old Transvaal
センビー/ テイク・ミー・バック・トゥ・ジ・オールド・トランスヴァール
07. Nightschool/ Do You Speak French? Part 1
ナイト・スクール/ ドゥ・ユー・スピーク・フレンチ? Part 1
08. Bouzouki Disco Band/ Disco Bouzouki
ブズーキ・ディスコ・バンド/ ディスコ・ブズーキ
09. Starbow/ Voyager II
スターボウ/ ヴォヤージャー II
10. Gibson Brothers/ Cuba
ギブソン・ブラザーズ/ 灼熱のキューバ
11. L.A.X./ Dancin' At The Disco – Vocal
L.A.X./ ダンシン・アット・ザ・ディスコ
12. Good News/ Australia
グッド・ニュース/ オーストラリア
13. Gibson Brothers/ Que Sera Mi Vida (If You Should Go)
ギブソン・ブラザーズ/ 涙のケ・セラ
14. Ottawan/ D.I.S.C.O<.br> オッタワン/ D.I.S.C.O<.br> 15. Soul Iberica Band With Linda/ Hey Gipsy!
ソウル・イベリカ・バンド・ウィズ・リンダ/ ヘイ! ジプシー
16. Who's Who/ Palace Palace
フーズ・フー/ パレス・パレス
17. L.A.X./ All My Love
L.A.X./ オール・マイ・ラヴ

Bonus Tracks
18. Nite School (Nightschool)/ Do You Speak French? (US 12inch Version)
ナイト・スクール// ドゥ・ユー・スピーク・フレンチ(? US 12インチ・ヴァージョン)
19. Soul Iberica Band/ Funky Flamenco - Special Long Disco Version (Japanese Promotional 12inch Version) (An Early Bird Mix)
ソウル・イベリカ・バンド/ ファンキー・フラメンコ スペシャル・ロング・ディスコ・ヴァージョン (ジャパニーズ・プロモーショナル・12インチ・ヴァージョン) (アン・アーリー・バード・ミックス)

メディア掲載レビュー


ベルギーとフランスを拠点に、70年代の世界のディスコ・シーンで一世を風靡したベルギー人ディスコ・プロデューサーJean Kluger。彼がベルギー、フランスから送り出した世界的ディスコ・ヒット曲からレア曲まで幅広く集めたディスコ・コンピレーション・アルバムが登場。アメリカ、ヨーロッパで大ヒットしたGibson Brothers、Ottawan、L.A.X.から、日本でも大ヒットしたSoul Iberica Bandまで、誰もが一度は耳にしたディスコ・ヒットがてんこ盛り。 (C)RS 

(アマゾン掲載文より)


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