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■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 007 CCRの反戦歌「フォーチュネイト・サン」と『ダイ・ハード 4.0』■■


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■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 007 CCRの反戦歌「フォーチュネイト・サン」と『ダイ・ハード 4.0』■■

南部ロック、アメリカン・ロックの雄として知られるクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル。略してCCR。僕も個人的に大好きなグループだが、その彼らのヒット「フォーチュネイト・サン」が映画『ダイ・ハード4.0』で使われ、そのときにこの曲について書いた。それをまとめてお送りします。CCRのリード・シンガー、ジョン・フォガティーは1945年5月28日生まれということで、10日ほどはやいが、ハッピーバースデイ・ジョン・フォガティ―ということで。

2007年07月19日(木) 


https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10040325271.html

【ジョン・マクレーン、君は世界一不運の男か幸運の男か】

幸運。

公開中の映画『ダイ・ハード4.0(原題、Live Free or Die Hard)』(2007年)を見た。

ダイ・ハード・マン、ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が、護送中のコンピューター・ウイザード(コンピューターの天才)のマット・ファレル(ジャスティン・ロング)と車で移動している。カーラジオから、CCRの「フォーチュネイト・サン」(1969年11月からヒット。シングル「ダウン・オン・ザ・コーナー」のB面)が流れてきた。マクレーンが「クリーンデンスだ」と言ってヴォリュームをあげる。すると、ファレルは「そんな昔の音楽を・・・」と小ばかにする。マクレーンはその台詞に無言でさらにヴォリュームをあげる。ファレルがいやな顔をする。

この曲は1960年代後期から1970年代中期くらいまで大人気だったクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルという長い名前のロック・グループの作品のひとつだ。おそらくデジタル世代のファレルはもっとコンピューターで打ち込まれたような音楽が好きなのだろう。こうしたアナログの「一時代も前のロック」はあまりに古臭く感じたに違いない。


映画シーン ポスター ダイハード4.0 Live_Free_or_Die_Hard

僕は、このシーンがけっこうデジタルなファレルとアナログなマクレーンをうまく象徴してるように思えて、気に入った。ま、単純にクリーデンスを好きなマクレーンが好きってだけかもしれないが。(笑)

さて、『ダイ・ハード4.0』の最後、無事一件落着しエンディング・クレジットになるところで、再びクリーデンスの「フォーチュネイト・サン」が流れてきた。つまり、エンド・テーマだ。うまいねえ。

この「フォーチュネイト・サン」は、歌詞をよく調べてみると、「I ain’t no fortunate one, no,(俺は、決して運のいい息子じゃないぜ)」というもの。世界一運の悪い男=ジョン・マクレーンにはぴったりのテーマではないか! 

ところで、この映画のタイトル、日本ではシンプルに『ダイ・ハード4.0』だが、アメリカでは『Live Free or Die Hard』となっている。この英語は、アメリカのニューハンプシャー州の州のモットー「Live Free or Die(自由に生きるか、さもなくば死を=自由がなければ、死んだほうがまし)」をもじったものだという。ただ、このフレーズはアメリカ以外ではわからないために、アメリカ以外の世界では「ダイ・ハード4.0」というタイトルで公開されたそうだ。

でも、世界一運の悪い男といっても、結局、あれだけ危機一髪を乗り越え、生き延びてるんだから、He’s a fortunate son (彼は幸運な男)ではないだろうか。(笑) ジョン・マクレーン、サイコー! 

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ENT>MUSIC>ARTIST>CCR
ENT>MOVIE>Die Hard 4.0
ENT>MUSIC>SONG>Fortunate Son

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https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10040424201.html

2007年07月20日(金)
(昨日の『ダイ・ハード4.0』からのつづき)

【「幸運な息子」(フォーチュネイト・サン)物語(パート1)】

反戦。

昨日『ダイ・ハード4.0』のエンディングで、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)の「フォーチュネイト・サン」がかかったのを機に、彼らのベストCDをひっぱりだして聴いた。

そのCCRは、1960年代後期のまさにアメリカの気分を表現していたグループだ。ヒッピー発祥の地、サンフランシスコを本拠に活躍したが、音楽的にはアメリカ南部のスワンプ・ロック、黒人のブルーズ、ソウルなどの影響を多大に受けていた。

その頃のヒッピーは、反戦、反体制が主流で、クリーデンスもそうしたヒッピー、反体制のスピリットを持った作品を多くだした。この「フォーチュネイト・サン」も反戦歌的側面をもつし、彼らの大ヒット曲「ハヴ・ユー・エヴァー・シーン・ザ・レイン(邦題、雨をみたかい)」は、ヴェトナム戦争への明らかな反戦歌だった。

この「フォーチュネイト・サン」は、これまでにもいくつかの映画で使われていた。たとえば、『フォーレスト・ガンプ』で、またワイクリフ・ジーンのカヴァー・ヴァージョンが映画『マンチュリアン・キャンディデート』でも使われている。

カヴァーも、ワイクリフ・ジーン以外にも、ボブ・シーガー、パール・ジャム、U2、.38スペシャル、ブルース・スプリングスティーンなどが歌っている。

さて、「フォーチュネイト・サン(幸運な息子、恵まれた息子)」について調べてみると、けっこうおもしろかったのでご紹介したい。

この「幸運な息子」とは、1969年当時ヴェトナム戦争が激しさを増して、全米の若者たちが次々徴兵されていたときに、有力政治家の息子や金持ち、権力者の息子たちはコネによって、徴兵を免れたり、徴兵されても前線ではなく比較的安全な場所に配属されるよう裏で話をつけられていたことについて歌っている。

曲の作者であり、クリーデンスのリード・シンガー、ジョン・フォガティーはこの曲のモデルをドワイト・D・アイゼンハワー大統領(第34代=共和党)の孫、デイヴィッド・アイゼンハワーのことを想定して書いたという。そのデイヴィッドは1968年12月、リチャード・ニクソン大統領(第38代=共和党)の娘ジュリー・ニクソンと結婚した。デイヴィッドは、そうした特権を利用していわゆるネイヴィー・リザーヴ(予備兵役軍)という前線ではなく比較的安全な職務についた。

この曲自体は、もともと徴兵される男の目線で書かれたもの。そして、ヴェトナム戦争反対の立場でもある。しかし、すでに前線に行った兵士たちには士気を上げ、がんばるよう応援する意味がある。結局は国会議員の息子ではないために、戦場に送られてしまった不運な男の視点での歌になっている。

(この項、明日へ続く。明日のブログでは『フォーチュネイト・サン』の訳詞をお送りします)

ENT>MUSIC>SONG>Fortunate Son
ENT>MUSIC>ARTIST>CCR
ENT>MOVIE>Die Hard 4.0

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2007年07月21日(土) 

 
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10040720635.html
(昨日からの続き)

【「幸運な息子」(フォーチュネイト・サン)物語(パート2)】

混迷。

ジョン・フォガティーは、この曲についてこう語っている。

「これはニクソン(大統領)と自分の戦いのようなものなんだ。つまり、権力を持つ者、すべてをもっている者たちとの対決だ。ワシントンに住む連中に対して、僕は大きな車に乗っていて、とても尊敬できるような連中ではない、ネガティヴなイメージを持っていた。ヴェトナム戦争のとき、(他人は行かせるのに)自分たち自身は戦争に行かないような連中だ。ドゥワイト・アイゼンハワー(大統領=34代)の孫デイヴィッドのことを思い浮かべていた。彼はニクソンの娘ジュリーと結婚していて、彼らはいかにも金持ちの家のおぼっちゃま、おじょうさまのようだった。

いずれにせよ、最初にバンドにこの曲を聴かせたときはまだほとんど歌詞はできていなかった。コード進行とエネルギーとタイトルの『フォーチュネイト・サン』があったくらいだ。

そして、ベッドルームにいって、フエルトペンでレポート用紙に歌詞を書き始めた。すぐに、it ain’t me, I ain’t no fortunate son(俺じゃあない、俺は幸運な息子、恵まれた息子じゃない)というフレーズがでてきた。心の中で叫んでいた。声にはださなかったが、3ページにわたって(歌詞を)書いた。ほんの20分くらいで全部書けたよ。

まさに、ニクソンがインスピレーションを与えてくれた作品だ。彼は『名誉ある平和』『わが国を、愛するか、去るか』なんてことを言っていたが、今やこの男がまちがいなく悪魔だったことをみんな知っている」

「1969年当時、国民の8割は戦争肯定派だったんだ。だが、事実を注意深く見守っている連中は、まちがいなく大きなトラブルに向かっていると考えていた。僕はニクソン支持でもなかったし、政治家の息子たちが戦争に行かないことも知っていた。僕はその頃23歳で、なんでもない普通の若者たちは、彼ら自身が戦争反対の考えをもっていても戦争に行かなければならないのに、権力者の息子たちはそんなことすら考えなくてよかったんだ。彼らは恵まれていたよ、幸運だったんだ。そういう連中は「(戦争は)アメリカのためになる」と言っていたが、その子供は誰一人戦場には行っていない」(コメントは、クリーデンスの非公式バイオ・ブックに掲載されたジョンのもの)

戦争肯定派と反戦派。それぞれが入り混じった1969年。混迷の時代の傑作だ。

というところで、「フォーチュネイト・サン」の訳詞を「ダイ・ハード・ヴァージョン」でやってみました。(冒頭の4行の部分は、ダブルミーニングです)

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Fortunate Son (John Fogerty)
フォーチュネイト・サン(ダイ・ハード・ヴァージョン訳詞・大意)
(オリジナルの歌詞は訳詞のあとに)

生まれながらに愛国心いっぱいの連中がいる
(生まれながらに国旗を振るのが大好きな連中がいる)
共産主義者でも、保守派でも、無党派でも
(その星条旗の色は赤、白、青)
バンドが『ヘイル・トゥ・ザ・チーフ』(大統領のために演奏する楽曲。チーフ=大統領に忠誠を、といった意味)を奏でるとき、国は実はおまえに大砲を向けてくるんだ、神様

俺は違う、俺は国会議員の息子なんかじゃない
俺はぜんぜん恵まれてない、俺は世界一運のない男

金持ちの家に生まれる連中もいる
奴らを助けることなんかない
税務署が(金持ちの家に)来たときは、家は投売り後のようにもぬけの殻さ

俺は違う、俺は大金持ちの息子なんかじゃない
俺にはツキがない、俺は世界一運のない男

熱烈なアメリカ愛国の魂を持った連中がいる
でも、そんな連中はおまえたちを戦場に送り込むだけ
国民がどれだけ(戦場に)人を送ればいいかと尋ねれば
彼らは答える。「もっと、もっと、もっと(多くの国民を)」と

俺は違う、俺は軍人の息子じゃない
俺にはツキがない、俺は世界一運のない男

俺にはツキがない、俺は世界一運のない男
ツキがない、俺は世界一最悪の、不幸の星の元に生まれた男なんだ

(訳・ザ・ソウル・サーチャー)


Fortunate Son (2:25) (Written by J.C.Fogerty)

Some folks are born made to wave the flag,
Ooh, they're red, white and blue.
And when the band plays hail to the chief,
Ooh, they point the cannon at you, lord,

It aint me, it aint me, I aint no senators son, son.
It aint me, it aint me; I aint no fortunate one, no,

Yeah!

Some folks are born silver spoon in hand,
Lord, dont they help themselves, oh.
But when the taxman comes to the door,
Lord, the house looks like a rummage sale, yes,

It aint me, it aint me, I aint no millionaires son, no.
It aint me, it aint me; I aint no fortunate one, no.

Some folks inherit star spangled eyes,
Ooh, they send you down to war, lord,
And when you ask them, how much should we give?
Ooh, they only answer more! more! more! yoh,

It aint me, it aint me, I aint no military son, son.
It aint me, it aint me; I aint no fortunate one, one.

It aint me, it aint me, I aint no fortunate one, no no no,
It aint me, it aint me, I aint no fortunate son, no no no,

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ENT>MUSIC>SONG>Fortunate Son
ENT>MUSIC>ARTIST>CCR
ENT>MOVIE>Die Hard 4.0

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