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ブルーノ・マーズ&アンダーソン・パークのユニット シルク・ソニック研究

◎ ソニック・ショック! シルク・ソニックとは

【Sonic Shock Studying Silk Sonic’s “Leave The Door Open”】

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(本作・本文は約7000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ14分から7分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと23分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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1. 3月5日の衝撃~シルク・ソニック登場

スイート・ソウル。

2021年2月25日、ツイッターにブルーノ・マーズとアンダーソン・パークのシルエットが映り「籠ってアルバムを作ってた。バンドの名前はシルク・ソニック」と発表。世界が少しざわざわし始めた。そして、3月5日にシルク・ソニックというユニットの「リーヴ・ザ・ドア・オープン」という楽曲がビデオとともに公開された。ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークが組んだユニットということで、誰もが「アップタウン・ファンク」のようなアッパーなダンス曲が登場すると思われたが、その予想を完全に裏切り、新曲は1970年代初頭を思わせるフィリー・ソウル、スイート・ソウル・バラードだった。今はまだ3月だが、これは2021年を代表する楽曲、決定打となりそうな気配だ。

それがこれ。

ビデオ
Leave The Door Open – Silk Sonic


https://www.youtube.com/watch?v=adLGHcj_fmA

その衝撃は音速で世界に伝わった。まさにどこかで聴いたようなキャッチ―な楽曲。しっかりと振り付けがなされ、まさにその昔のスイート・ソウル・グループを彷彿とさせた。

すると、3月8日ブルーノ・マーズが自身のツイッターで、「失業中の2人のミュージシャンをグラミーのショーでライヴをやらせてくれたら嬉しい」などとツイート。そして、3月10日付けブルーノ・マーズのツイッターで、シルク・ソニックのグラミー出演が発表された。


https://twitter.com/i/status/1369466858223538177

そして、3月15日、グラミー・ショーの中で2度登場。1度めは、おそらく事前収録の「リーヴ・ザ・ドア・オープン」のビデオが公開された。これは5日に発表されたヴァージョンとはまったく別の4人のメンバーが楽器演奏をしていないいわゆるスタンドアップ・ヴォーカル・グループとして歌うビデオ。そのジャンプスーツのようなものがまさに1970年代のソウル・ヴォーカル・グループを思わせる。その後、バンドで「リトル・リチャード・トリビュート」として2曲を披露した。普通、今年のグラミーとはまったく関係がない楽曲がグラミーのショーでパフォーマンスされるのはまずないので、ひじょうに珍しい。

グラミー 


https://www.youtube.com/watch?v=OidMACV7F0U

リトル・リチャード・トリビュート (2021年3月15日)


https://www.youtube.com/watch?v=QOorXnHHZjU

来年(2022年)のグラミーでこのシルク・ソニックは主要3部門か4部門(もし新人賞に入る資格が認められれば)のノミネートは確実視される。まちがいなく、彼らもライヴを見せると思われるので、「ブルーノ・イヤー」あるいは「シルク・ソニック・イヤー」になるだろう。

『ディスコミ』でも話したが、今回のスケジュールは初めにグラミーありきで、3月5日にビデオの公開を決めたのではないか。

その後、3月16日に全米CBSテレビの深夜の生トーク番組『ザ・レイト・レイト・ショー・ウィズ・ジェームス・コーデン』のジェームス・コーデンらがこの「リーヴ・ザ・ドア・オープン」のパロディー・ヴァージョンを発表。

'Leave the TV On' - Silk Sonic Parody


https://www.youtube.com/watch?v=n2jksCnv0pA

これがまたおもしろい替え歌になっている。スタイルやファッションをコピーしつつ、歌詞は「みんなリモコンもってテレビ消さないでくれ、視聴率が落ちちゃうから~テレビをつけたままで~」という内容だ。オリジナルの絵/画像が強力だけにこれはパロディーを作りやすい。


2.シルク・ソニック誕生


さて、このシルク・ソニックはどのように誕生したのか。

そもそものきっかけは、ブルーノ・マーズ(1985年10月8日生まれ)が2017年3月から2018年12月まで世界を回った『24k[トゥエンティー・フォー・カラット]マジック・ワールド・ツアー』の第1レッグ部分、2017年4月ベルギーから6月イタリーまで44本で、アンダーソン・パーク(1986年2月8日生まれ)を前座に起用したことにさかのぼる。ツアーに行けば、オフの日などけっこう時間が自由になり、2人はそのオフの日などに曲作りなどをするようになり、急速に仲良くなった。

ちなみにこのツアーは、2018年4月、埼玉スーパーアリーナに来日、日本でも記憶に新しい人も多いだろう。(ただし、アンダーソン・パークは来日していない)

2人は、2017年4月、シックのナイル・ロジャーズ/シックのアルバム『イッツ・アバウト・タイム』のレコーディングにロンドンの有名なアビー・ロード・スタジオで参加したという。ただナイルの同アルバムを詳しく調べても、2人がはいっている曲が確認されていない。このとき、ナイルはかなりたくさんのゲストを迎えてレコーディングをしており、未発表曲がかなり残っているようで、2人が入った曲もまだ表にでていないようだ。当時、ナイルのセッションではチャカ・カーンとも録音したと伝えられていたが、やはり発売されたCDにはチャカははいっていなかったので、次作に収録されるものとみられる。

このナイルの作品へのゲスト参加だけでなく、2人は、アンダーソン・パークのアルバム『ヴェンチュラ』(2019年4月発売)でも共演したと伝わったが、これも発売された楽曲ではブルーノの名前が確認できない。

いずれにせよ、おそらくこの4年の間、2人は誰かのゲストだったり、自分たちで好きなタイプの音楽を録音したりと試みを続けていたようだ。

彼らは、「自分たちがジャクソン・ファイヴやジェームス・ブラウンなどのソウル、R&Bを聴いて気に入っていたので、自然にそうしたものに影響されたものを作った」と言う。

そして、アルバムの制作にどこかの時点で伝説のベース奏者、ブッツィー・コリンズが入った。ただアルバム全体のプロデュースをするのか、何曲かをてがけるのか、現時点ではまだわからない。

アンダーソン・パークは、ブルーノと一緒にスタジオに入っていることを周囲に漏らしたがったようだが、ブルーノが絶対に口外するな、と口止めしていた。ブルーノによれば、「何も事前情報がなければ、人々はその音楽だけを純粋に聴いて評価してくれるから」とその理由を明かす。ある意味、徹底した秘密主義が3月5日の衝撃的発表のインパクトを高めたと言えるだろう。

アルバムがいつ発売されるだが、早ければゴールデン・ウィーク前、遅くても6月末くらいまでには出るのではないだろうか。ただし、それまではかなり厳重に情報が統制されるので、一般的には発売前日とか、1週間前くらいに突然告知、発表となるのではないか。


3.「リーヴ・ザ・ドア・オープン」には日本人も参加


3月5日に発表された最初のシングル「リーヴ・ザ・ドア・オープン」のクレジットが次の通りに判明した。

画像1

(Dマイル)

プロデューサーのDマイルは1985年1月24日生まれ。最近では、リアーナ、メアリー・J・ブライジ、ジャネット・ジャクソン、ジャスティン・ビーバー、ジャスティン・ティンバレイク、ヴィクトリア・モネー、H.E.R.(ハー)、日本のアラシなどもてがけた超売れっ子。ブルーノとともに、2020年、ヴェテラン・チャーリー・ウィルソンの作品をてがけた。H.E.R.の「アイ・キャント・ブリーズ」で今年のグラミー賞「ソング・オブ・ジ・イヤー」部門を受賞している。

ブルーノ、アンダーソン、Dマイルともに、1985年~1986年生まれでほぼ同世代。

画像2

メインのリズム隊のほか、ストリング・アレンジは、フィラデルフィアで超有名なラリー・ゴールド(1948年の生まれ)がてがけている。しかも、チェロ1、ヴィオラ2、ヴァイオリン6、計9人という超豪華版。通常のポップス系だったら4~6人くらいで、たとえばその4人が二回録音するなどしてまとめるが、ここは9人同時録音なのだろう。そして、その9人の中のヴィオラにナカノ・ヨシヒコさんという日本人の方がいた。

フィラデルフィアのチェンバー・オーケストラ・オブ・フィラデルフィアのメンバーで、フィラデルフィア・オーケストラともしばしば演奏するという。

さっそく連絡を取ってみると、なんとご本人はクラシック畑の方で、クラシックの曲しか知らないので、スタジオで楽譜を渡された当日にブルーノ・マーズの曲だということは知らされたが、それ以上のことは何も知らないという。「リラックスしたセンスのいい曲だと思いました」という。

ただ、この楽曲が来年グラミーの主要3部門などに入ると、作曲を除いては、かかわった人たち全員にトロフィーもしくは盾が授与され、文字通り、グラミー受賞者になる。

Bruno Mars – vocals, songwriting, producer, guitar, congas
Anderson .Paak – vocals, songwriting, drums
D'Mile – songwriting, producer, piano (1985/1/24) Dernst "D'Mile" Emile II
Christopher Brody Brown – songwriting, bass
Mike Feingold – lead guitar
Percussion
Percussion

Larry Gold – strings conduction, arrangement

Glenn Fischbach – cello
Jonathan Kim – viola
Yoshihiko Nakano – viola
Blake Espy – violin
Emma Kummrow – violin
Gared Crawford – violin
Natasha Colkett – violin
Tess Varley – violin
Luigi Mazzocchi – violin

Charles Moniz – engineering
Alex Resoagli – engineering assistant
Serban Ghenea – mixing
John Hanes – engineered for mix
Randy Merrill – mastering

Songwriters: Bruno Mars, Anderson .Paak, D'Mile, and Brody Brown
Producers: Bruno Mars and D'Mile
Music Video Directors: Bruno Mars and Florent Dechard
Band Wardrobe: Lacoste x Ricky Regal (Bruno Mars) Collection

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4. 70年代スイート・ソウル、フィラデルフィア・ソウル

アルバムは、『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』というタイトルで、ちかく発売される予定。

ここ1年ぐらいは、まだまだ話題を提供してくれそうだ。

彼らのこの曲に影響を与えたであろう楽曲やアーティストをアッとランダムに。


The Delfonics - La-La Means I Love You ~ 1968


https://www.youtube.com/watch?v=nHJPb08KI1E

細田ジャムさんが探し当てた1曲。「ファースト・ヴァースがかなり近いか」と書いている。

The Teques - Don`t Push My Love Cup


https://www.youtube.com/watch?v=uz8A7lPqg8I&t=8s

Stylistics – Betcha By Golly Wow


https://www.youtube.com/watch?v=y2NPJwZV4ag

Manhattans – Shining Star


https://www.youtube.com/watch?v=I_sxBUOR0Kk

Blue Magic – Side Show


https://www.youtube.com/watch?v=bRF6IzFb3iQ

O’Jays- Backstabbers


https://www.youtube.com/watch?v=SBLM0KUERxQ

O’Jays – I Love Music 衣装が今回のシルク・ソニックにそっくり


https://www.youtube.com/watch?v=PMy0L9-k-Sw

Harold Melvin & The Bluenotes - The Love I Lost


https://www.youtube.com/watch?v=40dvcIDGIfo

Harold Melvin & The Blue Notes - Bad Luck


https://www.youtube.com/watch?v=uMOEabbiltQ

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ビデオ


https://www.youtube.com/watch?v=adLGHcj_fmA

グラミー


https://www.youtube.com/watch?v=OidMACV7F0U

インタヴュー (14分47秒)
Silk Sonic: “Leave the Door Open” with Bruno Mars and Anderson .Paak | Apple Music


https://www.youtube.com/watch?v=thPqhXjZa4M

Breakfast Club (28分49秒) 2021/03/05


https://www.youtube.com/watch?v=UApBNxcCfYE&t=550s

Bruno Mars & Anderson Paak Talk About New Album As Silk Sonic With Big Boy (14分56秒)
2021/03/06に公開済み


https://www.youtube.com/watch?v=VD9R6sDWxtE

RADIO.COM Check In: Silk Sonic(12分34秒)
2021/03/06に公開済み


https://www.youtube.com/watch?v=2XDZqCl1SOc

Blue Magic - Sideshow (Rare Live) [HD Widescreen Music Video]


https://www.youtube.com/watch?v=kMLAUiHd2rY


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