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〇スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「エヴリデイ・ピープル」の魅力~映画『サマー・オブ・ソウル』関連で

〇スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「エヴリデイ・ピープル」の魅力~映画『サマー・オブ・ソウル』関連

【Sly & The Family Stone : Everyday People】


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(本作・本文は約3000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ6分から3分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと10分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「エヴリデイ・ピープル」~映画『サマー・オブ・ソウル』関連

【Sly & The Family Stone : Everyday People】

映画。

映画『サマー・オブ・ソウル』の反響がすばらしい。その中でスライ&ファミリー・ストーンの「エヴリデイ・ピープル」が「シング・ア・シンプル・ソング」の後に演奏される。

時系列で整理しておくと、彼らの最初のヒット「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」が生まれたのが1968年初め。これに続いて、1968年12月からこの「エヴリデイ・ピープル」がヒット、ソウル・チャート、ポップ・チャートともに1位になる大ヒットを記録した。サンフランシスコから登場した彼らは、人種混合、音楽ジャンル混合、ヒッピー文化、フラワーチルドレンの申し子といった特徴をもってシーンに登場した。従来のモータウン、スタックスなどのR&Bとは違い、自身で演奏、歌を歌うセルフ・コンテインド・グループとしてロック・グループ的なスタンスもあり、白人からも支持を集めた。

ヒッピー文化の生まれた土地であるサンフランシスコは、それまでのあらゆる物の型が破られ、新しいものが生み出された。

スライたちの「エヴリデイ・ピープル」は、その時点での状況に対する観察、不満、批判などを込めた作品となった。もともとラジオDJとして様々なタイプを音楽を聴き、かけてきたスライ・ストーンはかなり自由にそうした音楽を混合しようとした。

スライ アー写 カラー

たとえば、この頃(1968年~69年)、アメリカのソウル・ミュージック界では、モータウンやスタックスのようなポップなシンガーが人気を集めていた。スーツにネクタイ、グループであればきちっとした振り付けがなされるパッケージ・ショーが一般的だった。スライたちの音楽やファッションは、そうしたものとはまったく違って、普段着のような服装(だが、おしゃれ)、ジーンズ、人によってはロング・ヘアといったいかにも普通の若者のようないで立ちで登場した。それは、今回の1969年の「ハーレム・カルチュラル・フェス」でも、「ウッドストック」でも同様だ。

では、「エヴリデイ・ピープル」のメッセージと意味をご紹介しよう。

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2004/10/04 (Mon)
Everyday People: Summer Of 69

日々凡人。

昨日の『ソウル・ブレンズ』(インターFM76.1Mhz毎週日曜午後1時から5時)、「ソウル・サーチン」のコーナー(午後2時から2時20分)では、「ソウル・ジャイアンツを聴く」というタイトルで、スライ&ファミリー・ストーンを紹介した。

彼らの大ヒット「エヴリデイ・ピープル」、「サンキュー」、そして、「ファミリー・アフェアー」の3曲をかけたが、「エヴリデイ・ピープル」の中の歌詞がひじょうに興味深かった。そこには、68年、69年頃のフラワームーヴメント、ヒッピー文化の香りがあった。

歌詞カード中6行目の「There is a blue one who can't accept the green one」という意味がわからなかった。CDの訳詞は「緑の奴を受け入れられぬ青い奴もいる」。これでは理解できない。(笑) そこでマーヴィン先生登場。

「ブルーワンは悲しい人、落ち込んでいる人、のことね。逆にグリーンワンはハッピーな人、物事がうまく行ってる人」 というわけで、このラインは「物事がうまく行ってる人をねたむ、落ち込んでいる(凹んでる)連中がいる」の意味になる。そういうふうに説明されるとよくわかる。ただし、ブルーワン、グリーンワンには別に意味もあるかもしれない。別の解釈ができるかもしれないので、ご存知の方はお知らせください。

ここの歌詞は、次の「For living with a fat one trying to be a skinny one」とつながっている。直訳は「やせようとしているデブの奴と一緒にいるからな」 ここの部分は、上記の落ち込んでいる連中にかかる。つまり、アメリカに多数いる肥満の人たちの多くはやせたいと思っていても、実際なかなかそうできない。それは、肥満の人は自己コントロールができないからだとみなされる。そうすると、きちんとして自己コントロールができ、人生がうまく行ってる人たちをねたむ、今の言葉で言えば、「負け犬」が「勝ち組み」をねたんでいる、というニュアンスだ。

ここで、経済的な成功者とそうでない者という階層があって、そこに亀裂があることが表現される。これが次のラインにつながる。「And different strokes for different folks」 それぞれの階層の連中に、それぞれの生き方がある、という意味。小泉君風に言えば、「人生いろいろ、生き方いろいろ」だ。

そして、「エヴリデイ・ピープル」は、「日々、普通に仕事をして、生活をしている人」のこと。どんな階層に所属していようと、オレは普通のありきたりの人間。みんな一緒に生きていかなければならないんだ、という、まさにヒッピーカルチャーを象徴するような作品になっている。

最後の「There is a yellow one that won't accept the black one That won't accept the red one that won't accept the white one」というライン。「黒人を受け入れない黄色人種がいる、赤い人種(一般的にインディアン)を受け入れない黒人がいる、そして、白人を受け入れない赤い人種がいる」と、各人種間の対立を浮き彫りにする。(CDの訳詞は間違ってる。そこでは、黄色人が赤色人と白人を受け入れないとなっている) 

この曲は1968年12月からヒット。ポップ、ソウルともに全米ナンバーワンに輝く。あの69年の夏を象徴するような曲でもある。まさに時代とリンクした傑作だ。試しにこんな訳を。


エヴリデイ・ピープル
(日々凡人)

オレだって時に正しいこともあるが、間違うこともある
オレの信念は、オレの歌の中にある
ぱっとしない肉屋、高そうなスーツに身を包んだ銀行家、
しがないセールスマン
オレがどんな仕事についていようと、人間であることに変わりはない
オレは日々一生懸命生きてる凡人だ

勝ち組みをねたむ負け組みがいる
ダイエットに失敗した肥満の人間がいるわけだから
人生いろいろ、生き方いろいろ
人生にはなんでも起こる、楽しく行こう
結局、オレたちは一緒に生きていかなければならないんだから

オレがお前より優れていることもなければ、
お前がオレより優れてるってこともない
何をしようとも、オレたちは同じ人間

君はオレのことを好きになろうが、嫌いだろうが、
君はオレという人間の存在を知っている
でも、オレが心の奥底でどんな主義主張をもっているかは
わからないだろうな
オレは日々一生懸命生きてる凡人だ

短髪が嫌いな長髪の連中がいる
(短髪の)金持ちは、(長髪の)貧乏人に手を差し伸べようとしないからな
人生いろいろ、生き方いろいろ
人生にはなんでも起こる、楽しく行こう
結局、オレたちは一緒に生きていかなければならないんだから

黒人を受け入れない黄色人種がいる
赤い人種(一般的にインディアン)を受け入れない黒人がいる
そして、白人を受け入れない赤い人種がいる
人生いろいろ、生き方いろいろだ

(試訳The Soul Searcher)

++++

EVERYDAY PEOPLE
Sly & The Family Stone

Sometimes I'm right and I can be wrong
My own beliefs are in my song
The butcher, the banker, the drummer and then
Makes no difference what group I'm in
I am everyday people, yeah yeah

There is a blue one who can't accept the green one
For living with a fat one trying to be a skinny one

And different strokes for different folks
And so on and so on and scooby dooby doo-bee
Oh sha sha - we got to live together

I am no better and neither are you
We are the same whatever we do
You love me you hate me you know me and then
You can't figure out the bag l'm in
I am everyday people, yeah yeah

There is a long hair that doesn't like the short hair
For bein' such a rich one that will not help the poor one
And different strokes for different folks
And so on and so on and scooby dooby doo-bee
Oh sha sha-we got to live together

There is a yellow one that won't accept the black one
That won't accept the red one that won't accept the white one
And different strokes for different folks

(C) 1968 by Daly city Music

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