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〇『レディオ・ディスコ』聴取感謝~トランプス「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」の変遷



 
〇『レディオ・ディスコ』聴取感謝~トランプス「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」の変遷
 
【Trammps’s “Zing” Story】
 
 
 
 
本記事は最後まで無料で読めます。
 
(本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ10分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
 
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〇『レディオ・ディスコ』聴取感謝~トランプス「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」の変遷
 
【Trammps’ “Zing” Story】
 
生放送。
 
昨日(2022年5月14日)生放送された『レディオ・ディスコ』(東京都のFM局インターFM89.7mhz、15時~17時45分)内「ディスコ・サーチン」のコーナーでは、先ごろ8枚組のCDボックスセットを出したトランプスのデビュー曲「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」について、その変遷をご紹介した。
 
トランプス・ボックスセット 8枚組(約5100円=値段は変動します)
Burn Baby Burn - Disco..
Trammps


アトランティックの6枚、ブッダ、ゴールデン・フリースの各1枚、計8枚組。各アルバムにシングル・ヴァージョンなどボーナス・トラック収録。ライナーノーツにはトランプス・ストーリー。
 
ラジコ・タイムフリー
ラジコ



https://radiko.jp/#!/ts/INT/20220514150000
(約1時間24分あたりから、最後まで)
 
この曲は元々ブロードウェイ・レヴューの挿入歌として1930年代に作られ、ジュディー・ガーランドが録音、ヒット、その後1950年代にR&Bヴォーカル・グループのコースターズがこれをドゥワップっぽくしてカヴァーし、ヒットさせた。
 
トランプスはこのコースターズ盤を元に最新のフィリー・モータウン・ドゥワップ・サウンドで再現した。
 
当初は、シングル盤をグループのリーダー兼ドラマーでもあったアール・ヤングが自費を出し録音。B面にする曲がなかったので、B面に歌だけ抜いたインスト・ヴァージョン「ペンギン・アット・ザ・ビッグアップル」を収録。これによって、ディスコDJがシングル盤を2枚使いし、ロング・ヴァージョンにしてかけていた。
 
そのインスト・ヴァージョンが人気となるが、シングル盤ではその曲のクレジットを自分たちにしていた。そして、この曲が人気になったため、彼らは1975年、この「ペンギン~」を新たに録音しなおし、「トランプス・ディスコ・シーム」とした。
 
いわば「ジング~」は、「ペンギン・アット・ザ・ビッグ・アップル」、「トランプス・ディスコ・シーム」と育ちとともに名称が変わる出生魚ならぬ出生楽曲として曲名を変化させていった。そして、「トランプス・ディスコ・シーム」は、テレビ番組「なるほド・ザ・ワールド」の番組テーマ曲となり、日本全国に知れ渡るようになった。
 
本ブログではかつてその変遷をご紹介しているが、こちらに再掲。
 
□関連記事
 
トランプスの「ジング~」1975年の映像発掘
2018年11月18日(日)



https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12419671035.html
 
トランプスの「ジング~」映像



https://www.youtube.com/watch?v=Q2dq6pU4J80&t=28s
 
愛川欽也さん追悼~『なるほど・ザ・ワールド』テーマ曲『ジング』ストーリー
2015年04月19日(日)



https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12015649061.html
 
【A Tribute To Kinya Aikawa : “Zing Went The Strings Of My Heart” Saga 】
 
訃報。
 
元深夜放送のDJ、俳優、司会者、愛川欽也(1934年6月25日-2015年4月15日)さんが70歳で死去した。誕生日がマイケル・ジャクソンの命日、デイヴィッドTウォーカーの誕生日(生年は違う)と同じだ。
 
愛川さんの代表番組は数多くあるが、このソウル・サーチン・ブログでは、テレビ番組『なるほど・ザ・ワールド』のテーマ曲についてご紹介したいと思う。
 
■「ディスコ・テーマ」~「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート」
 
番組のテーマとして使われたのはこちら。
 
トランプスのインスト。「トランプス・ディスコ・シーム(テーマ)」





http://goo.gl/upPYhv  
 
テレビのテーマ曲として耳になじんた方も多いはず。
 
この曲は元々は「ジング・ウェント・ザ・ストリングス・オブ・マイ・ハート(Zing Went The Strings Of My Heart)」というタイトルだった。作曲家のジェームス・F・ハンレイが1934年(昭和9年)に書いた曲で、ブロードウェイ・レヴュー『サムズ・アップ!』でハル・リロイ(ダンス)とユニース・ヒーリー(歌)によって紹介され世に出た。
 
その4年後、1938年、ジュディー・ガーランドが映画『リッスン・ダーリン』の挿入歌として歌い、1939年レコード化。この後コースターズ、フランク・シナトラなど多数のカヴァーが登場した。
 
Judy Garland - Zing! Went the Strings of My Heart



https://www.youtube.com/watch?v=Kq0_G9mYppo
 
 
ジュディー・ガーランドのものはしっとりとしたものだが、コースターズはこれをアップテンポのダンス・ナンバーに改変。
 
■コースターズがR&B曲にカヴァー
 
ZING! WENT THE STRINGS OF MY HEART - The Coasters [Atco 6116] 1958



 
https://www.youtube.com/watch?v=EW62xr7cDb0
 
 
そして、1972年、ディスコ、R&Bヴォーカル・グループ、トランプスがコースターズのものを元にこの「ジング」(3分00秒)をさらに当時はやり始めていたディスコ風にカヴァーしてシングルで出した。当時はまだシングルのみでアルバムはなく、アルバムを録音する予算もなかったので、シングルの裏面にはインスト(歌なしのもの)をいれた。
 
まず歌物。
Trammps - Zing Went The Strings Of My Heart


https://www.youtube.com/watch?v=i2QNJK0f_AE
 
 
この低音ヴォイスは、ドラマーのアール・ヤングだ。
 
■トランプスがR&B風をフィリー・ディスコ風にカヴァー
 
ふつうインスト物をいれる場合、「ジング・ウェント・ザ・ストリング…(インストゥルメンタル)」といった表記にするのだが、彼らはなぜか、このインスト曲に「ペンギン・アット・ザ・ビッグ・アップル(ニューヨークのペンギン、という意味)」というまったく違うタイトルをつけ、しかも、クレジットは自分たち(ノーマン・ハリス、ロン・ベイカー、アール・ヤング)にしていた。
 
このインスト・ヴァージョン、タイトルは「ペンギン・アット・ザ・ビッグ・アップル」
 
The Trammps - Penguin At The Big Apple


https://youtu.be/DFebjCJWbf8
 
 
するとトム・モールトンを始め、当時のディスコDJがシングル2枚使いでインストと歌物をミックスして長くかけるようになり、しまいにはより長くプレイするためにインストだけをかけたりするようになった。DJは同じ曲を5分でも6分でも客が踊っていれば、できるだけその曲を長くかけたかったために、ヴォーカル・ヴァージョン、インスト・ヴァージョンなどをうまくつなげてかけるようになった。
 
こうして、この「ジング」は、ディスコで大ヒットし、彼らトランプスのテーマ曲のような存在となり、ライヴでも必ずロング・ヴァージョンで歌われるようになった。
 
ブッダ・レコードではシングルの売れ行きも好調だったため、アルバムが制作された。しかも、この曲はハイライトとなり、A面1曲目に収録されたが、そのときには、ご丁寧にも、「ジング」と「ペンギン」がメドレー扱いとなり4分52秒の長尺「ジング」が完成、さらに、3分24秒のインストものが「ペンギン」として収録されたのである。アルバム・タイトルは、まさにそのものという感じの『レジェンダリー・ジング・アルバム(伝説のジング・アルバム)』だ。
 
■インストで再録音
 
この曲はその後も根強い支持をディスコ中心に集め、トランプスがブッダを離れ、自身のレーベル、ゴールデン・フリースを設立し1975年2枚目のアルバムをリリースするときに、再度、軽いタッチのインストものとして録音し直す。これが「トランプス・ディスコ・シーム(テーマ)」というタイトルで発表され、後に、テレビのクイズ番組『なるほど・ザ・ワールド』のテーマとして使われ日本でもたいへんよく知られるようになった。
 
Trammps – Trammps Disco Theme



 
https://www.youtube.com/watch?v=dZp9ugHctCY
 
正直、こうなると、元曲が「ジング」であることを知らないと、「ジング」のインスト曲であることに気づかない人も多い。
 
この「ディスコ・テーマ」の元曲は「ジング」なのだが、この「テーマ」には、元曲の作者の名前はない。
 
これはサンプリングではなく、(当時はサンプリングという手法はなかった)元曲のカヴァーなのだが、主メロディーに関しては微妙で、トラック(カラオケ)がそのまま、カヴァーされた。しいていえば、ブッダ時代の「ジング」のアレンジ部分があたかも主メロディーのような雰囲気にアレンジされている。それでも、もちろん、この「テーマ」のインストで「ジング」は当然歌えるわけだ。
 
では、ある曲をインストにしてカヴァーしたら、原著作者に著作権は払わなくていいか、という話になる。本来だったら支払わなければなければならない。おそらく当時は、オリジナルの作者が亡くなっているということもあって、問題にならなかったのだろう。いまほど、著作権にうるさくなかったのかもしれない。
 
もしうるさい遺族が残っていたら、今だったら、「ブラード・ライン~ガット・トゥ・ギヴ・イット・アップ」並みのバトル、訴訟になっていた可能性もある。
 
日本ではその後1970年代後期から、シャネルズがコースターズをベースにこれをライヴなどでカヴァー。1981年7月リリースの『ライヴ・アット・ザ・ウィスキー・ア・ゴー・ゴー』で録音している。
 
 
 
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