●リード・ホワイトロウ74歳で逝去~ラヴ・マシーン「恋のショック」、「ヘルプレスリー」などのディスコ・ヒットの生みの親
●リード・ホワイトロウ74歳で逝去~ラヴ・マシーン「恋のショック」、「ヘルプレスリー」などのディスコ・ヒットの生みの親
(本作・本文は約3000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、6分から3分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと10分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、さらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
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●リード・ホワイトロウ74歳で逝去
【Reid Whitelaw Dies At 74】
訃報。
1970年代にディスコ・ヒットしたモーメント・オブ・トゥルースの「ヘルプレスリー」、ラヴ・マシーンの「デスペレイトリー」などの作品を送り出したニューヨーク出身の作曲家、プロデューサー、リード・ホワイトロウが2020年6月23日、在住のフロリダ州で死去した。74歳だった。それまで腎臓に疾患があったという。
評伝。
リード・スミス・ホワイトロウは1945年10月17日ニューヨーク生まれ。1960年代から音楽業界に入り、曲を書きだすようになった。
1967年、当時人気のポップ・グループ、ジェイ&ジ・アメリカンズに楽曲を提供したりしていた。
Jay & The Americans – (We'll Meet In The) Yellow Forest (1967)
https://www.youtube.com/watch?v=5rv8LI2G6S0
これは1967年8月にビルボード・ホット100で131位を記録。まあ、ヒットにはなっていない。
The Young Savages Shake Me Can I Be Dreamin' 1967
https://www.youtube.com/watch?v=sxBDOoyMq7k
このジェイ&アメリカンズなどで手を組んだビリー・カールという人物とコンビを組み、ザ・トラリックスというグループをプロデュース。シングル盤を出した。
THE TRICKS - WHAM BAM ALA CAZAM
https://www.youtube.com/watch?v=6IhesIuFlLE
これを聴くと、のちのモーメント・オブ・トゥルースなどに共通するような曲調が感じられる。これは自身もメンバーだったようだ。
このほかにも1910フルーツガム・カンパニー、リック・ネルソン、シングル盤は出ているが、いずれもヒットはしていない。
THE PEOPLES CHOICE - LOST AND FOUND
https://www.youtube.com/watch?v=ILEXWiTWFJA
これはのちにグローリア・ゲイナーや、「スター・ウォーズ」でヒットを放つミーコ・モナルドらと組んだピープルズ・チョイスの作品。ただこれは実際はビリー&ジ・エッセンシャルズではないかという説もある。プロデューサーのビリーがリードを歌っているそうだ。
ヒットにはなっていないが、1970年にリリースされたこの曲はイギリスの「ノーザン・ソウル・シーン」でちょっとした話題を集めたという。
Cobblestone - Trick Me, Treat Me (1970)
https://www.youtube.com/watch?v=abm9E4lla_0
Magic Night - If You And I Had Never Met
https://www.youtube.com/watch?v=LwJazTxoqZw
コブルストーンが名前を変えてマジック・ナイトになり、同系統の曲を録音したと言われ、これも「ノーザン・ソウル・シーン」でプレイされたそうだ。
1974年には隠れファンの多いソウル・ヴォーカル・グループ、インヴィテーションズの作品もてがけた。これはジョエル・ダイアモンドと手を組んだもの。
The Invitations - Let's Love (And Find Together) 1973
https://www.youtube.com/watch?v=2Gs07yDYy5M
1974年に入ると、ドーンのヒットなどをアレンジしていたノーマン・バーゲンと手を組み、曲を出すようになり、そのうちの1曲、モーメント・オブ・トゥルースの「ヘルプレスリー」が友人のトム・モウルトンのアイデアでディスコ向きにリミックスしないかと誘われ、ディスコミックスを出したところヒット。以後しばらくディスコ・ヒットを生み出すようになる。
同曲は1974年いちどルーレット・レコーズからリリースされたが、ルーレットが倒産したことで、1976年、マスターをサルソウル・レコーズに売り込み再リリースとなった。
サルソウルは当時すでに大きな現象となっていたディスコを狙ったダンス曲を多数リリースするようになっており、このモーメント・オブ・トゥルースの「ヘルプレスリー」をプッシュ。また同時に当時業界内で大きな話題となりだしていたプロモーション用12インチ・シングル盤を一般向けに発売することを決め、1976年7月、このモーメント・オブ・トゥルース、ダブル・エクスポージャー、サルソウル・オーケストラの3点を業界初のコマーシャル12インチとして売り出した。
モーメント・オブ・トゥルースは全曲、ホワイトロウ&ノーマン・バーゲン・コンビで書き、プロデュース。アルバムも出し、ディスコで大ヒット。
(作詞作曲、プロデューサー・パートナーのひとり、ノーマン・バーゲン)
Moment of Truth - Helplessly
https://www.youtube.com/watch?v=hstIF8Mq0PM
ちょうどこのころ、テレビ番組『グッドタイムス』で人気だった俳優/シンガー、ラルフ・カーターに「エクストラ・エクストラ」を提供。これが1976年1月からディスコでヒット、最高位12位を記録。
Extra , Extra / Ralph Carter
https://www.youtube.com/watch?v=pA7qt3R28CE
(日本盤シングル盤ジャケットは江守アイさんのイラスト)
ちょうどこのころ、ニューヨークで行われたディスコ会議に出席したビクター音産のハッスル本多氏がここでリード・ホワイトロウと知り合い、楽曲提供の話などをつけることになる。
そんななかから提供されたのが、ラヴ・マシーンの「恋のショック」だった。
恋のショック Desperately ラブ・マシーン (1977)
https://www.youtube.com/watch?v=T3pmsmbSYds
これはハッスル本多氏プロデュースで日本でもリリースされディスコを中心に大ヒットした。
さらにこのつながりから、ハッスル本多氏プロデュースのジ・イースタン・ギャングの「マジック・アイズ」が1980年リリースされた。
0:09 / 8:27
MAGIC EYES (12INCH VERSION) EASTERN GANG
https://www.youtube.com/watch?v=Ve3L5_OMdms
また1979年、映画『ノクターナ』収録のグローリア・ゲイナーの「ラヴ・イズ・ジャスト・ア・ハートビート・アウェイ」、ヴィッキー・スー・ロビンソンの「ナイトタイム・ファンタジー」も彼らの作品。
Gloria Gaynor – Love Is Just A Heartbeat Away
https://www.youtube.com/watch?v=z3DFtZfzqSQ
Vicki Sue Robinson - Night-time Fantasy (1979)
https://www.youtube.com/watch?v=ooJ3KIrx1KU
その後もアルフィー・デイヴィソンなどをてがけた。
“Love Is Serious Business” by Alfie Davison
Tグルーヴのリミックスでラヴ・マシーンの楽曲が12インチ・アナログ盤でリリースされることになっているが、コロナ禍でプレスなどが遅れているという。おそらく、この作品がリリースされる遺作になるとみられている。
近年はフロリダ在住で、2019年5月ハッスル本多さんは、フロリダの彼のオフィースを訪ね旧交を温めたという。
(ハッスル本多さん=左、リード・ホワイトロー=右)(写真提供ハッスル本多氏)
(事務所に額装されていたリード・ホワイトロウの記事)
その時に腎臓に疾患を患っているとのことだった。
2020年6月23日、死去。74歳だった。
ご冥福をお祈りいたします。
(リード・ホワイトロウはお酒は飲めなかったが唯一このアペロールを炭酸などで割って飲んでいたという。本多さんも、今夜はこれを飲んで追悼するという)
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