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〇セシル・マクロリン・サルヴァント&サリヴァン・フォートナー~圧倒的に自由度の高いヴォーカルとピアノ・ライヴ

〇セシル・マクロリン・サルヴァント&サリヴァン・フォートナー~圧倒的に自由度の高いヴォーカルとピアノ・ライヴ
 
【Cēcile McLorin Salvant & Sullivan Fortner Live】
 
新進気鋭の女性ジャズ・シンガー、セシル・マクロリン・サンヴァントが2023年6月、4度目の来日を果たした。初来日は2013年11月、3日間6ステージ、コットン、2017年6月、4日間8ステージ、コットン、2018年3月、3日間6ステージ、ブルーノート東京につづいての4回目の来日。僕は調べたら2013年11月28日初来日をコットンで見ていた。ライヴ評が見当たらなかったのだが、おそらくセットリストが手に入らなかったからだろう。
 
さて、これまではトリオを従えてのライヴだったが、今回はピアニスト、サリヴァン・ホートナーとのデュオ。
 
なんと彼女は事前にまったくセットリストを作らないという。ステージでその瞬間にひらめいた曲を歌うという。だから、何が歌われるかまったく誰も予期できない。
 
ボールド・ヘアに大きな眼鏡、ちょっと高そうな腕時計、まるで僧侶みたいなセシルと実直そうなピアニストのデュオ。これだけで絵になる。
 
たまたま初日ファーストのセットリストをメモした方がいて、そのコピーをもらったが、驚いたことに2日目のファーストは、そのセットリストとアンコールの1曲以外、まったくかぶっていなかった。本当に自由自在に曲をその場で選んでいるようだ。これは、毎回全セット、見たくなるライヴだ。
 
この日も、セシルはピアノのサリヴァンに歌う曲を伝え、サリヴァンがそれに呼応してなんでも弾いていた。これは、なかなかすごい。セシルもサリヴァンも完璧な人間ジュークボックスだ。
 
そして、その歌声、歌唱には完全に自由度がある。自身の声を自由自在に一楽器として操り、ピアノと一体化してアンサンブルを作る。
 
このライヴだったら、ひょっとしたら聞きたい曲を、客席からシャウトすれば、その場で気分がのれば歌ってくれるのではないか。
 
このスタイルを見ていて、これは叶わぬがセシルとジョー・サンプルのデュオ・ライヴを見てみたかった。ジョーのピアノとセシルの歌が融合したら、完璧だ。
 
彼女が最初に登場したときに、カサンドラ・ウィルソンを思い浮かべたが、カサンドラがモノトーンの雰囲気であるのに対し、このセシルは色がついているカラー映像だ。
 
セシル・マクローリン・サルヴァントは、1989年8月28日フロリダ州マイアミ生まれ。平成元年生まれだ。父はハイチ人医師、母はフランス人でマイアミの学校の校長先生だった。5歳の頃からクラシック・ピアノを学び、8歳から歌を始めた。ハイチ音楽、ヒップホップ、ソウル、クラシカル・ジャズ、ゴスペル、キューバ音楽など、ありとあらゆる音楽に接してきた。一方のサリヴァンは1986年12月29日ルイジアナ州生まれ。セシルより3歳年上だ。
 
セシルの新作が今年でたので、それからの曲が中心になるかと思いきや、このファースト・セットでは一曲も歌われなかった。(別のセットでは歌われた曲があるようだ)
 
この日のセットリストで1曲目に歌われた「デヴィル・メイ・ケア」。これは、向こう見ずな、無鉄砲なといった意味だそう。
 

 
セシルと今回の伴奏者、サリヴァン・フォートナーの2人によるタイニー・デスク・コンサートがあった。
 
2018/10/02

 
Set List
1.    "Fog"
2.    "Look At Me"
3.    "Monday"
4.    "Omie Wise"
 
2曲目の「ルック・アット・ミー」は、コットンでもやったもの。それにしても、コットンでのライヴは、まるでニューヨークのヴィレッジあたりのジャズクラブでのライヴっぽかった。
 
2人のライヴがあった。ここでも、その場で曲を決めてやっている。
 
Cecile McLorin Salvant and Sullivan Fortner mini concert August 2020
2022/11/02

 
セットリスト
1.    Never again (Noel Coward),
2.    Until (Sting),
3.    Sunday in New York (Peter Nero),
4.    Something happens to me (Marvin Fisher, Jack Segal),
5.    I want to believe you (Cecile McLorin Salvant),
6.    I’m all smiles (Michael Leonard and Herbert Martin)
 
これはクセになるライヴだ。また近いうちにゆっくり鑑賞したい。そして、何度も余韻を反芻(はんすう)したいタイプのライヴだった。
 
■セットリスト
 
Cēcile McLorin Salvant
 
Setlist
Cēcile McLorin Salvant @ Cotton Club, June 29, 2023 First Set
(setlist transcribed by The Soul Searcher)
 
Show started 18:00
01. Devil May Care (From “Dreams And Daggers”[4])
02. Easy Come Easy Go Blues (Bessie Smith song)
03. Your Smile (Sarah Vaughan song)
04. I Get Kick Out Of You (Cole Porter)
05. What Are You Doing Rest Of Your Life (Michel Legrand song)
06. If I Were A Bell (Ella Fitzgerald etc)
07. Spring Can Really Hang You Up The Most (Ella Fitzgerald etc, )
08. Don’t Rain On My Parade (From ”Funny Girl”)
09. Look At Me (From “For One To Love” [3]) (Original)
10. If A Girl Isn’t Pretty (From “Dreams And Daggers”)
11. Maria (From “Sound Of Music ”)
12. My Favorite Things (From “The Sound Of Music”) (with Sullivan Fortner on vocal)
Enc. Fly Me To The Moon (Kaye Ballard, Peggy Lee, Frank Sinatra, etc.)
Show ended 19:06
 
Members
 
Cēcil McLorin Salvant (vocal)
Sullivan Fortner (piano)
 
Albums
 
[01.]Cécile & the Jean-François Bonnel Paris Quintet (2010) (Sysmo Records)
[02.]WomanChild (2013) (Justin Time / Mack Avenue)
[03.] For One to Love (2015) (Mack Avenue Records)
[04.]Dreams and Daggers (2017) (Mack Avenue)
[05.] The Window (2018) (Mack Avenue)
[06.] Ghost Song (2022) (Nonesuch, Warner Music Group)
[07.] Mélusine (2023) (Nonesuch, Warner Music Group)
 
MELUSINE
セシル・マクロリン・サルヴァント 形式: CD
4.9 5つ星のうち4.9 19個の評価
¥3,023

 
ENT>LIVE>Salvant, Cēcile McLorin & Fortner, Sullivan

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