景気先読みセミナー2023夏

恒例の景気先読みセミナーですよー。
3月にアメリカの銀行不安から株価が暴落。これで世界不況の入り口か!と思っていたら、その後は上がり目で、しかも日本株に至っては絶好調。5月29日には、33年来高値を記録しています。
巷では、プロからも「新相場の入り口」と囃し立てる声が聞こえ始めました。
いやいやいや、今こそ、やばい時ですぞ。
前回私の指摘した話、思い出してください。今回も「金融」の基礎知識から、世界経済の今後を読み解きます。
昨今、世界で起きたこと、どれ一つとっても、前回・前々回の金融基礎知識で、そのほとんどが説明可能。そして、景況感好転の裏に潜む爆弾の数々も見えてきます。

①日本株復活理由
一にも二にも、円安です。前回指摘した通り、もう、円安はハイテク輸出企業が潤うだけの現象じゃありません。観光収入、爆買い需要、サービス産業の海外進出、所得収支効果、海外資産の評価益…そして何より、ドル換算で見たときの「日本株・不動産のお買い得感」。実際ね、33年高値を付けた日本株も、実は、ドル換算じゃ、全然安いままなのよ。だから上値余地があった。そこを、ソロスが指摘して、上がり出したわけ。

②日銀のYCC修正
はい、金融緩和について、もう一度復習しますよ、今回も。それが量的緩和と金利の低下、二つの面からなってました。量的緩和については、もうグダグダ状態になっちゃてるんだけどね。一方の金利の低下(コントロール)策は、YCCとしていまだに守られてます。この金利コントロールに対して、何度も外資ハゲタカがチャレンジし続けてきて、そこで、日銀はどうしようもないほどの国債を買い入れることになりました。だから、結局、この半年、2014年並みに日銀は、国債買い入れをし、それが、世界に回って、株高を演出したんですよ。
日銀新総裁は、量的緩和は維持すると明言しちゃった。黒田さんの政策を振り返って、その成果を検証してからじゃないと、修正はしないと。ところが、YCCに関しては何も発言してないの。これのテクニカルな修正は近い!それは、大きな株安要因になる!そして円高にもなる!

③米国銀行破綻の裏側
なぜ、米国の地銀が次々に破綻したか。それは、高金利政策で普通預金が流出したという問題と、一方で、銀行の資産が高金利政策で劣化したこと(この意味、分かりますか?再度セミナーで復習しますね)。預金流出はいよいよ盛んになってきました。アップルバンクなどが、普通預金でも高金利にしたんで、ローリスクハイリターンになったから。一方で、FRBは金利引き上げを継続しそう。すればするほど、金融資産は劣化する。つまり、体力のない銀行はまだまだ潰れます。それを防止するために、FRBは中小銀行への貸し出し規制を強めた。結果、不動産ファンドが潰れる…。

④国債上限引き上げの罠
アメリカは、日本と違って、国が勝手に借金しないように、国債発行上限が定められているのね。その上限額は、議会の決議で変更しなきゃならない。だから、上限に近づくといっつももめごとが起きます。今回それがひどかったのは、①下院がねじれ状態。②共和党の極右勢力が強硬。③民主党の極左勢力が強硬。④1月に下院議長選出がうまく行かず、現マッカーシー議長は党内極右勢力に大幅に譲歩。たった1名の動議提出で議長の再度信任が必要となる。こんな状態なわけ。で、共和党が民主党に譲歩すると極右が怒る。民主党が共和党に譲歩すると極左が怒る。それで大もめしたわけ。結局、民主党はかなり大幅に共和党に譲歩して、だから、財政バラマキが極端に絞られることになる。これが景気を冷やす一つ目の理由。

二つ目は、米国政府は手元資金が極端に少なくなった。上限修正が起きたら、途端にTBを乱発すると言われています。その額、3か月で1兆$(140兆円)の上乗せと見られる。それだけ、民間への投資資金が吸い取られるわけです。こりゃ、相当ですよ。ちなみに、FRBの月間引き締め額は750億ドル。つまり、米国政府は3か月でFRBの1年2か月分を吸い取るわけ。やばいぞー。

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