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5Starsが踊り続けたらそこには愛しかなかった話

郁人が脱退を発表してから2カ月と少し。
ついに最後の日々がやってきた。
ABC座2023。
2週間かけて、A.B.C-Zがファンに5人での最後の姿を届ける公演。

千秋楽が見たかったのはもちろんだけど、さまざまな理由があって、私が今年えび座を見ることは1公演だけになった。
12月13日、昼公演。中日の1日前だ。
公演が始まったころの気合や緊張感が薄れ……本当にラストに向かうカウントダウンが始まる少し前。
よくも悪くも少しばかり「気の抜ける」時期ではあるのだろうけれど。
観劇をして「この日程で良かったかもしれない」と思った。
あの内容、そして中日あたりでありながら、あの空気感。
メンバーも郁人も「いつも通りに公演を」と言ってはいたけれど。
どうしたって千秋楽なんて、気持ちはたかぶるわけで。
あれ以上の「思い」を受け取ってしまったら、しばらく私は実世界には戻ってこれなかったかもしれない。

ショック、とか寂しいとか、そういうこと以上に。
今年のえび座はあまりにも思いやりにあふれすぎていた。

郁人が選んだという1幕の曲たち。
事務所の歴史が見るということは、えびの歴史を見ることで。
彼らが大好きであこがれた世界。
そこに近づきたくて研鑽を積んだ日々と、いつしかその歴史を伝える側に回ってからの毎日。
しんどいことも数え切れないほどあっただろうし、楽しい、うれしいことも山ほどあっただろう。
それらをともに味わい乗り越えたことで、今、目の前の彼らがいる……改めてその奇跡をかみしめてさせてもらった。

メンバーは全員、それはそれは丁寧にファンサをしていた。
基本、えびはいつだって丁寧だけど、今回は少し質が違っていた。
とっつー本人も「今回の公演は、客席1人1人の顔をしっかり見て気持ちを受け止めようとしている」と言っていたように、客席の思いを受け取ろうとしているような、そんなファンサ。
いつもの、ステージから発信されるばかりのベクトルではなくて。
客席を覆う「気持ち」を、すくい取ろうとしているような。

メンバーはどんな気持ちでこのステージに立っているのだろう。
「5人のA.B.C-Zをみんなは見たいだろうから」
「キラキラした郁人をみんなに見せてあげたい」
「いろんな思いがあるだろうけど、全部ここで出し切って」
彼らから発せられる、どこまでもファンファーストで優しい言葉たちを受けとめながら。

メンバーが1人「出ていく」ということ。
普通に考えたら、内心穏やかなはずはないんだ。
公式に発表されて表に出ていることだけではない、もっともっとたくさんのこと、思い。
脱退が決まるまでにどんなやりとりをして、どんな葛藤があって……
残る4人だけじゃない。
出ていく郁人だって、決めるまでにどれだけのことを悩み、考えたんだろう。

だけど、彼らはそれらを全部全部飲み込んで、今はこうしてステージを作ってくれている。
私たちに向きあってくれている。
そんな彼らの懐の深さというか、思いやりの塊みたいな姿を見て、私は胸がいっぱいになった。

と同時に。

メンバーになんてことをさせてしまったのだろう、とも思った。

確かに、「◯日をもって脱退します」というお知らせだけだと、ファンとしては辛すぎる。
最後にせめて、メンバーの揃った姿を見ておきたい。
直接は無理でもステージを見ることでお別れを伝えたい。
私もそう思って、今回のABC座に足を運んだ。
だけど、実際にステージを見て、「解散公演」よりも「卒業公演」よりも、「脱退公演」って本当はすごく難しいんじゃないかって、そう感じたからだ。

みんながばらばらになる「解散公演」は、その時点でのメンバーの関係性がどうあれ(例えめちゃくちゃ嫌いあっていたとしても)、終わらせるってところへ向けて、みんなの気持ちを1つにすることができる。
「卒業公演」は目標を達成したであろうメンバーが、「巣立って」「羽ばたいていく」公演なので、寂しくはあるかもしれないけど、お祝いとして送り出してあげることができる。

けど、今回のように、「1人がやめて、残りは続けていく」となると……
ファンも肯定的・否定的、さまざまな受け止めをしているから、反応はばらばらだし、演目の持って行き方も難しい。
何より、演者自身のモチベーションが、やめる側、続ける側で当然全く違うものになるし、関係性によっては「全然できない」のが当たり前で……

本当に彼らのことを思うなら、彼らに大きな負荷をかけるようなことは、してほしいと願わないほうがいいのだろうけれど。
欲張りなファンは「最後」を願ってしまうんだ……
そして、そんなしんどいことを、彼らは引き受けてくれた。
しかも2週間も。
純粋にすごいなって思う。
メンバーの思いには、本当に頭が下がるばかりだ。
そして、こんなに素敵な作品を最後に5人で届けてくれた。
どれだけ感謝しても、し足りない。
本当に本当にありがとう。

「見たいであろうものを見せよう」とする、ファンへの思いやりはもちろんのこと。
やめていく郁人をメインにおいて、郁人の「やりたい曲を」やって……(意図してるかどうかは分からないけど)郁人が悪者に見えないような絶妙な演出……郁人への思いやりにもあふれていた。
郁人にしても、わがままを聞いてくれたメンバーを「素敵な仲間」と言い、そんなメンバーへの感謝と、私たちファンへのありがとうを、ちゃんと作品で伝えてくれた。

そして、何より素晴らしいのは。
郁人がA.B.C-Zで最後だからって、2幕が「ベストオブA.B.C-Z」になってなかったこと。
「ABC座の歴史をどのくらい追うか」は苦心した、みたいなことをパンフで話していて、2幕はA.B.C-Zのコンサート……と言っていたけれど。
これまでやってきたことをつぎはぎして、歴史振り返って……だけでは決してなくて。
ちゃんと「今のA.B.C-Zを届ける」内容になっていたのが、本当に良かったなと思っていて。
過去振り返り系は、デビュー10周年の時に散々やったっていうのもあるのかもしれないけど(笑)、「5STARS」の曲が、ほんといい仕事してた。

5人での最後の作品でも、ちゃんと新しいことに挑戦していたり、それでいて、今の雰囲気、空気感が出る歌詞の内容であったり。
「JODEKI!」のそれが偶然の産物であるのは、どこかのインタビューで見たけど、そういう奇跡も含め素晴らしくて。
集大成でありながら、最後の最後まで、5人のA.B.C-Zを過去のものにしない姿勢がいいなあって思った。
あと、とっつーのソロコーナー。
あれがこの場で出てきたっていうことに……ものすごく希望の光を見た。

今までの「ありがとう」と、これからの「よろしく」をちゃんとファンに伝えてくれて。
かつ、メンバー同士もリスペクトし合っていることが、とてもとても伝わる公演でした。
そんな作品だったからこそ、なんだろうけど。
少なくともあの場では、ファンから郁人に対するネガティブな空気は発されてなくて。
みんな心の中にはいろいろあるとしても、4人や郁人へ対する愛だけが会場にはあふれてた。
うまくいえないけど……他で体感したことのない空気で、すごい空間だった。
5人のこれまでの歴史を、儚い今この瞬間を、みんなでかみしめているような。
だからこそ、5人でなくなることが切ないし悲しいし、寂しいし……
「なんでだ郁人ーーーーー!!!」
と思わなくはないけれど。
こんなに愛と思いやりにあふれた作品を最後に作れるのだから。
4人と1人の未来はきっと大丈夫。
絶対に明るいものになる。

それに、今回のえび座を見てて、なんとなくではあるけど、5人の未来はまた重なる日が来るんじゃないかって、そんな感じもしたんだよな……
「A.B.C-Z featuring河合郁人」の曲とか、「河合郁人プロデュースABC座2033」とかも、見れるんじゃないかなって。
その時はもちろん、郁人は夢かなえてないと駄目だし、えびはもっと大きな大きなグループになっていないと……だけど。
だから、郁人MCの番組にA.B.C-Zで出るのは絶対命令だと思ってる。
いつか、きっと。
5人が笑顔で今日のことを振り返る姿を、見ることができると思うんだ。

だから、その日を楽しみに。
いってらっしゃい、郁人。
「俺たちとみんなで」A.B.C-Zだもんね。

#ABCZ
#ABC座
#河合郁人


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