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名前物語⑩ 夏目友人帳「あさぎ」と「あかがね」の八百万的な神様解釈

名前物語⑩ 夏目友人帳「あさぎ」と「あかがね」の八百万的な神様解釈 


第10話は、美しい琴奏者「あさぎ」に叶わぬ思いを寄せる「あかがね」のお話。

このふたりの名前を語る前にあらすじを載せておきますね!


夏目の体を頂く、と現れた傘を持った妖怪「アカガネ」。体を病んでしまった美しき蒼琴弾き「アサギ」のためだと言う。次の日、夏目の体には変化が起きていた。青い髪、そして青い目、それは「アサギ」が憑依したことの表れだった。「アサギ」の気持ちが消化されれば自然と体から離れていくであろう、というニャンコ先生の言葉で、「アサギ」が再び琴を奏でられるよう、夏目は「アカガネ」に協力する。


最後は、ある意味でハッピーエンド。

美貌の琴奏者「あさぎ」は壬生様という殿上人のために琴を演奏していた。彼女は壬生様の御前でずっと琴が弾けることだけが望みだった。振り返ってもらわなくてもいい、という一途な恋。


たとえは悪いけど、刈り上げ・キムのために「必死」に踊る「喜び組のリーちゃん」。そのリーちゃんを片思いに一途に愛する男、壬生様のボディーガードで「傘持ち」という役割の、「あかがね」。


どちらも壬生様(アニメでは漢字で名前出てないけど、便宜上、私が決めてます)の使用人であり、そういう意味では身分違いじゃないのよね!魂に身分もクソもないけれど。(失礼)


「あさぎ」も「あかがね」も憧れが募っての片思いだけど、一途さのエネルギーは同じくらいなのよね!

「あさぎ」が病気になって琴を弾けなくなると、死んでしまう前に「あかがね」は延命のために「あさぎ」の魂を瓢箪の中に真空パックしちゃうの。どこに行くにも腰瓢箪、織田信長か、藤吉郎か?ってな具合。

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「あかがね」は腕は立つけど見た目は顔面フランケンシュタイン。使命のために自分を犠牲にしても戦ってきた満身創痍の漢(をとこ)なの。

それでね、「あかがね」って自分は誰にも愛される資格ないって決めていて、「あさぎ」が今生の最後の願いとして「もう一度琴を奏でたい」を叶えるのを使命とする妖怪になっちゃったわけ。

「あかがね」は「あさぎ」を夏目に憑依させて生身の肉体を持たせて「願い」を叶えようとするものだから、夏目に「体よこせ!」と強引に迫るの。


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しかし、名前を知られたら願いを叶えるどころか、命を取られると思ってるから、夏目に名前を教えないの!しかたないから、夏目は持ち物から「蛇の目」と呼んだ。

そこではじめて「あさぎ」が「良かったね、あかがね!いい名前じゃない蛇の目なんて!」というセリフがあって、私たちは彼の名前が「あかがね」だと知るの。


「あさぎ」「あかがね」、どっちも「あ」がつくけど、今回は「ひらがな」で読み解きます。というのも、かな=仮名=神名、ということが「コトタマ」の専門家の島田先生がおっしゃっているから。


『古事記と言霊』はホントに学術系の本ですが、これを読むと「言霊」って宇宙そのものだってわかります。

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「あさぎ」の「ぎ」読み解くと、「阿波岐原」アワギハラの言霊図から「ぎ」はイザナギのギだということがわかるの。黄泉津国ヨモツクニって、「浅黄」の「黄」でもある。つまり、半分腐った死者の国の住人が「あさぎ」なの。

病でもう体が崩れ始めている、という「あかがね」のセリフとも合致しています。黄泉は「黄」=「萌す」キザス、泉イズミの国。「あさぎ」は琴の音を「泉のようにあふれさせる精神世界のエネルギー」なんです。


「あかがね」はどうでしょうか?


あ・か・が・ねを音で表すと、A・KA・GA・NEとローマ字で書くとわかりやすいけれど、A=あ、が3つ!

「あ」とは、自分のことを「吾」あなたのことを「我=ガ」とあなたでもあり、私でもあるという「自我」のない「統合エネルギー」のこと。

古事記では「孤神ヒトリガミ」日本書紀では「純男ヒトリヲトコ」または「ヲトコノカギリ」って読むの。ね?なんかステキになってきませんか?


つまり「あかがね」は宇宙的な統合エネルギーだけど、男性的なのね。そして「あさぎ」はイザナミの黄泉津国が象徴する「女性神」

全部が一部であり、一部が全部という宇宙観が現れた、お話でした。こんなふうに、しつこく読み解いてしまうのも私のクセなの。ともあれ、私たちは言霊の世界、八百万の神々に守られた世界に生きているってワケ!


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望みを叶えたあとは、「あかがね」は腰にぶら下げた瓢箪の中に、「あさぎ」の魂を入れて、ずっと生きていくわけだから。空海じゃないけど「同行二人」。めでたしめでたし!





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