ピカチュウのいない世界

Pokémon Detective Pikachu 名探偵ピカチュウ

ポケモン史上初のハリウッド映画

言わずとしれたポケモンの初のハリウッド映画を鑑賞。そろそろ公開もおしまいなので鑑賞してきた。リメイク映画や、アニメの実写化はあまり観ないのだけれども、、、

なんでも

ピカピュウがしゃべる?

もふもふのポケモン?

ポケモンと共生した世界?

うーん、いかにも実写化で失敗しそうなパターン。

しかし、全米ではゲーム原作史上最高の興行収入になりそう、とか。

これは見るしかない、と思い鑑賞。

傑作である。

傑作である。いやいや、1時間44分、集中してみてしまった。ポケモンがいる世界のリアリティとストーリー構成が素晴らしい。

舞台はポケモンと人間が共生している世界。ポケモンジムあり、トレーナーあり、ミュウツーが作られていたりとか、多分原作通りの世界観なのだけど、スムーズに導入していく。

初めは、ん?と思うところもありつつも、初めのポケモンを草むらで捕まえるあたりなんか(草むら!)、リアルだとしたらこんな感じなのだろうと思わせる見せ方。

よくよくみるとポケモンにリアリティもクソもないのだが(実在する生物に似ても似つかぬものにリアリティなどあるのだろうか)、テッドに出てくる主人公よろしく、出演している人間とのあまりにも自然なふれあいに、リアリティを錯覚するのである。

なんと言っても、全体のストーリー構成が絶妙である。特に終盤にかけるストーリー展開には、悪の研究者には若干MARVEL臭も感じつつも、ピカチュウと会話出来る主人公の伏線をそこで回収するのか!と完全に一本取られた。

そして、結局、この映画を面白くさせているのは、これはピカチュウの映画ではないという点にある。そこにはサトシとピカチュウの友情タッグという、日本での実写化なら間違いなく選ばれたであろう結末はない。事実、ピカチュウとそのパートナーであった主人公の父親の関係性などは特に描かれない。

なぜ、主人公にはポケモンのパートナーがいないのか。昔は好きだったのに。なぜ主人公は祖母と暮しているのか。なぜ父に対するわだかまりを抱えているのか。主人公が事件を通して変わっていき、事件を解決した後に人生を変えていく。そんな1人の人間のストーリーにポケモンはスパイスでしかないのだ。そしてそうした映画の構成が、ポケモンの世界観によりリアリティを持たせている。

ピカチュウのいるAnotherWorldでの一幕を目撃した私達は、少し温まった心を胸に、ピカチュウのいない世界へと劇場を後にするのである。

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