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『怪獣王子』を観て「火山島」を演る。その壮絶さに魅了された理由。

2024年5月31日におそらく最初で最後のライブを行う『怪獣王子』オマージュの新生ユニット「火山島」はなぜ生まれたのか、なぜ『怪獣王子』にそれほどまで強い思い入れを抱くようになったのか、極私見で綴ります。

そもそものきっかけ

 2024年3月、大久保「ひかりのうま」で行っている「ヤングな妄念のソフビ」(ヤング100V・妄念忍者・ソフビス、のライブを行うイベント)の第2回目が行われることになったので、出し物として、それぞれのバンドにそれぞれのボーカルが加わる「テレコセッション」を行うことにし、我がバンド「ソフビス」には「妄念忍者」の逆柱いみり先生が加わることになり、以前逆柱いみり先生がギターでソロ演奏していた「ミザルー」がかっこよかったので、それに私が歌詞をつけて歌いましょう、ということになり、弾いている音を送ってくださいとお願いしたところ、なんと動画付きのギター演奏が送られてきたのです。その動画には決してシャープでない、悶絶するほど絶妙なかわいらしさを備える今まで見たことのない怪獣が登場、闘いを繰り広げていたのです。特に、でかいタマゴから産まれたでかい鳥怪獣のフォルムなど、尻がぷりっとして、よちよちした後ろ姿でたまらない!「これはいったい何なんだ…!」すかさず逆柱いみり先生に電信を打つと、「ピープロの怪獣王子からです」と。
 ピープロの作品と言えば、マグマ大使や怪傑ライオン丸、どこか少し泥臭い魅力があるので、ああなるほど!と納得したのですが、怪獣王子は見たことがなかったのでそれを伝えると、某tubeで観れるというではないですか。
さっそく言い難い絶妙な怪獣を見たいがために某tube検索。すると確かに観れることが判明、どんな絶妙怪獣が出てくるのかなーと呑気に鑑賞を始めたら…まったく予想したものと違ったのです。もう、続きが気になって気になって仕方なくなるほど壮絶な人間ドラマと、どうしてそうなる!凄すぎる!と突っ込みたくなる場面が次から次へと繰り広げられて、ぐんぐん全話を鑑賞、それは単に怪獣と怪獣が闘う子供向けの呑気なテレビ作品では決してなく、こんな壮絶な作品ってあるか―!?と、月に向かって絶叫したくなる衝動に駆られてしまったのです。
 ざっくりとストーリーを説明すると、地殻変動で出現した火山島の上空を通過していた旅客機の墜落により、ちょうど乗り合わせていた伊吹博士ファミリーの双子の赤ん坊のうちの一人、タケルが海に投げ出されて行方不明になってしまって、タケルは火山島に生息する子育て中の恐竜の元で実は生きていて、父親である伊吹博士は国防省からの要請により火山島調査に向かったところ、タケルと出会い、その後、地球征服を企む異星人から地球を守るためにやはり国防省から要請を受けてオリバー博士たちと科学的に調査や攻撃法を考え、タケルもネッシーと名付けた一緒に育ったプロントザウルス、そして国防省レンジャー特別隊とともに立ち向かって闘う….というもので、それだけ聞くと、ああ、昭和の無茶ぶりな特撮作品なのかな、という感じですが、ほんっとうにそれだけじゃない異常なほどの魅力満載なので、その魅力を記してみたいと思います。あくまでも極私見として。

第2回で急に声が変わった壮絶!

 まず驚いたのが、第2話で、伊吹博士の声が明らかに違ったこと。ウィキペディアによると、この伊吹博士を演じる及川広信さんはパントマイムの舞台俳優だから台詞が上手くしゃべれなかったため、中盤から俳優の仙波和之さんがアテレコをするようになった、とあるのだが、中盤からじゃなく、第2話で明らかに違う声になっている。確かに、第1話の伊吹博士の台詞は聞き取りにくい箇所がたくさんあった。しかし、私はそれも含めて、ぐいぐい作品に引き込まれていったのだ。伊吹博士の家のリビングの、いろりがあって、ちゃぶ台に向かって円筒型のスツール座るという妙な和洋折衷な感じと、よく聞き取れないけど妙に味がある伊吹博士の喋り、顔の表情はあまり数多くないのだけど、ちょっと固い笑い顔とか、動きが普通の役者さんとは違って、なんというか、パントマイム的な感じもあって、とにかくやっぱり魅力的なのだ。なのにいきなり第2話から声が変わる衝撃。これもまた逆魅力なり。

タケルの演技とアクションの壮絶!

 こんな壮絶なアクションをしている子役っている!?と見ながらつぶやいてしまうほど、主役のタケルのアクションは凄まじかった。あんなに肌を露出しているボロボロの衣服で、ごつごつの岩斜面を駆け巡り、ブーメランや石斧で「えいっ!えいっ!」と言いながらザクザクと遊星鳥人や昆虫人間を倒していく。体のすぐ横で大爆発が起きる。ときにガシッと後ろから首を絞められたりするけど、払いのけてグサッと刺す。絶対普通に怪我してるよ…と毎回ハラハラと、すごいなあっ!という感嘆とで大忙しに見入ってしまうのだ。それとともに、タケルの上目遣いの表情。こんなに寂しく複雑な気持ちを目で表現できる子役っている!?と、これも見逃せない。タケルは劇中で遊星鳥人との闘いに倒れてしまい、伊吹博士に日本に連れて帰られて、今まで「オラー!」しか言えなかったのにいきなり日本語がしゃべれるようになるのだが、とても拙いしゃべり方なので、この演技もすごい!と感嘆。しかし双子のミツルも同じようなしゃべり方をしていることに途中で気づき、もしかしたらこれは元々この2人の台詞のしゃべり方なのかもしれない、と思えてきたのだが、いや、それも含めてすごく良い。たまたまそうなったとしても、とにかくしゃべり方も絶妙なのだ!

伊吹博士が作ったモノと怪獣、そしてアニメーションの壮絶!

 人間ロケット、音波砲など、あっと驚くシチュエーションだけでなく、とても軽い素材で作られているようなのだが、絶妙に素晴らしいデザインなプロップの数々。これは怪獣にも言えることで、冒頭にも書いたが、シャープさのない、実に愛らしく素晴らしいデザインで見逃せないのだ。それに加えてビームやネッシーの火炎放射、昆虫人間が空に退散していくときの色味や線の少ないアニメーション、これがまた素晴らしすぎる!こんな表現の仕方があったのか!とこれも大感嘆なのだ!

子供向けとは思えないレンジャー特別隊の壮絶!

 子供のころ見ていた特撮モノだと、主人公と一緒に戦う隊員というと、いかにもそういうユニフォームでかっこよくきめているのが定番だが、怪獣王子は国防省から任命されたレンジャー特別隊で、見た目は自衛隊なので、こんなコンセプトなのか!と驚き、第1話では黄色寄りのカーキ色つな着に紺色のスプレーをバッバッと迷彩風に吹きつけた、なんか、この服、ナニ?というような感じで、それはそれでまた見逃せないなあ!と思っていたら、第7話から普通のアーミールックになり、装備もかっちりしてきて、それだけでなく、「おいどんは…」と鹿児島弁で自らデブだと言う橋場一曹や、アイパッチに日本刀を背負う出で立ちの西住三曹など、目立つキャラも登場してきて、岩場など足場の悪いところでのアクションがどんどん凄まじくなり、しかもそのシーンが長い!いろんな小道具も使って、それはそれは壮絶!タケル同様、体、というか、顔の間近で爆撃を受けまくり!その中でも私が一番壮絶に感じたのが、第23話「砂漠基地を攻撃せよ!!」第24話「傷だらけのネッシー」だ。いきなり舞台は火山島でもなく、日本でもなく、サハリ砂漠地帯になるのだが、オアシスを目指すまでのレンジャー特別隊の描写が凄まじすぎるのだ。サボテン怪獣によってオアシスを破壊されて水がなくなり、結局サハリ砂漠までついてきてしまったタケルとネッシーのせいだとネッシーに向かって発砲したり、発狂して走り出したり、くちびるの皮がぼろぼろにむけていったり、まさかそんな展開になるとは思ってもいないので、いわゆる八甲田山的シーンだったりするのだが、そういう作品として観るのだという心構えがない分、ものすごい衝撃なのだ。

ネッシーのアングルの壮絶!

 恐竜のお母さんが生きていたときはまだ小さかったネッシーが、どんどん大きくなっていって、タケルやレンジャー特別隊と行動を共にしている場面でネッシーの頭部分から下に、目玉だけ映し出されるアングルや、大きな足だけ映し出されるアングルが、これまた絶妙の緩さもあって壮絶的に良く、これも見逃せないところ。

タケルの発言の壮絶!

 タケルは時々ドキッとするような凄まじい発言をする。病気は寝ていれば治る、とか、水たまり場を指さし、この水を飲めば治る、とか、実際ミツルが怪我をしたときも、荒治療で治した。レンジャー特別隊にサハリ砂漠へ一緒に行くことを拒まれたときは、おじさんたちは死ぬ気だろ!と言って一緒に行ったわけだが、そのときも、どうせ死ぬんだもん、とつぶやいているシーンがある。タケルの壮絶さは演技とアクションだけではないのだ。

劇伴の壮絶!

 加えて、主題歌および劇伴が壮絶的にかっこいい!!!音楽を担当されている半間巖一さんはすごいんだよね、モダンジャズなんだよね、と妄念忍者の中安モモさんに教えてもらって、少しググってみたら、なんと、「兎のダンス」や、「あわて床屋」の作曲もされていた!ほんとうに全てのシーンの音楽がモダンでかっこよすぎるのだ!

そして「火山島」を演ることにした

 他にもまだまだ「壮絶魅力」はたくさんあって、じゃあこれを歌って啓蒙しよう!と思いつき、「ミザルー」に歌詞を載せたものだけでなく、逆柱いみり先生作の音楽トラックに怪獣王子の「壮絶魅力エピソード」を歌詞にしたニューウエイブオペラ「火山島」を演ることにしたのです。

5/31に江古田フライングティーポットで演ずる曲のタイトルは以下のとおり。

1: 怪獣王子主題歌カバー 

2:ミザルーの怪獣王子 (初めて書いた怪獣王子オマージュの歌詞)

3:タケルの手紙 (第19話:あのウランをねらえ!!より)

4:サクマの苦悩 (第15話:魔人昆虫軍団!!より)

5:TRT300 (第21話:決死のおとり作戦より)

6:コーモリ爆弾 (第22話:飛べ!コーモリ爆弾!!より)

7:サハリ砂漠死の行軍 (第23話:砂漠基地を攻撃せよ!!より)

8:サボテンを焼き尽くせ (第25話:恐怖のサボテンより)

9:火山島へ帰ろう (第26話・最終回:サボテン怪獣の逆襲※注より)
 
※注:第26話は、番組打ち切りのため、どうやらむりやり最終回にしたようで、ウィキによると複数の資料では「無敵の怪獣王子」というタイトルが
記されているらしい・・・確かに内容サボテン怪獣は逆襲していないので、打ち切り決定前にタイトル文字が作られたのかなあと、想像します・・・。

 いやー、なんどでも言いたい、壮絶魅力がすぎる。もう、大好きすぎる。怪獣王子がこんなに凄い作品とは、そしてこんなにハマるとは思ってもみませんでした。壮絶部分はまだまだ書き足りないので、きっとまた加筆していくと思います。
某tubeでぜひみんな観てほしいなあ…。


火山島メンバー/逆柱いみり・中安モモ・エビ沢キヨミ・ネッシー(いしざかかのう)



突然段ボール・蔦木俊二さん作フライヤー
2024年5月31日に行われる「別の面から見ると」@江古田フライングティーポット



ネッシーとタケルに扮したエビキヨを描いたTシャツも作った…ニヒル牛Tシャツ展で販売中
















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