DC考察

自己紹介

CS優勝20回
たんぽぽサンバというデッキを考えた人です。

はじめに

8月9日から始まった初めての競技イベントDC(デュエリストカップ)
8月19日17:00から始まる2ndステージを楽しみにしていたのですが、諸事情によりガチで取り組むことが難しくなってしまったため、自分の考えを書き記していこうと思います。
無料部分ではDC環境の考察。有料部分では環境読みを踏まえたデッキ構築と解説を書いていきます。無料部分を読んで興味を持った人はぜひご購入ください。

イベント詳細

①デュエル制限時間300秒(ランクマッチ480秒)
②リミットレギュレーション 2022.7.11〜
③対戦相手のデッキは確認できない

2nd STAGE
2022.8.19 17:00〜2022.8.22 13:59
デュエルの勝敗でDPを獲得or消失し、所持しているポイントで順位を決定する

ポイントは制限時間が300秒であることです。相手ターンで妨害を当てる時間や演出、選択の操作時間も考えると約4分の持ち時間です。展開デッキを使う場合、ある程度ノータイムで回すことができる練度が求められます。
そのため、「天威勇者は時間がかかるから数を減らす」など練度不足によってデッキ選択から外れるといった考えも見られるのですが、競技レベルで回してきた人間にとっては4分という時間は大きな障害になり得ません。300秒という時間によってデッキ選択まで歪むことはないと考えています。

DPを得るという方式のため、連勝数を稼ぐ必要はありません。ランクマッチのように全てのデッキの先後で勝てる可能性を模索するよりも、どこまで諦めるかを元に構築することが全体で見た時の勝率につながると考えています。僅かな勝てる可能性のために構築を歪ませるよりもある程度は捨てる考え方です。

時間帯やポイント帯によってデッキ分布が異なることが予想されます。デッキ同士の相性をしっかりと見極め、適切なデッキ選択を行うことが重要です。また、同様のデッキを使い続けるにしても環境に合わせて採用カードを変えていくことが求められます。 

DC環境(カード編)

・勇者ギミック

召喚権を使わず、レベル4と7or3で打点2000or1500のモンスターを1体ずつ並べ、レベル7を犠牲にすることでなんでも無効にできる。その過程で手札コストを1枚確保し、相手の盤面を1枚バウンスできる。
紙の遊戯王をしていたときには使ったことのないカードですがあまりにもパワーカードです。オーソドックスな使い方としてグリフォンライダーによる誘発無効化ですが、3種類のレベルの内2種類のレベルのモンスターを召喚権なしで揃えることができるという点にも注目すべきです。天威勇者ではハリファイバーから出したレッドローズとグリフォンライダーを混ぜることで盤面を伸ばしたりできるため、グリフォンライダーは誘発を受けるために残し続けるという固定概念は捨てるべきです。この考え方は自分が使う時だけでなく対面する際にも重要になります。
展開デッキにおいては盤面を2つ埋めてしまうことが問題となる場合があります。そのため、天威勇者は展開の過程でグリフォンライダーをバロネスに変化します。グリフォンライダーとバロネスで2誘発止めれるように見えて1枚しか止められないこともあることは理解しておくべきです。また、旅路に対してうららやうさぎを打った場合、勇者トークンを展開に利用できるようになってしまいます。その分手数が増え、誘発を貫通できる枚数が増えてしまうこともあります。誘発を複数枚持っている場合は、グリフォンを出させて盤面を窮屈にさせた上で、重ね打ちをする方が効果的です。

・デストロイギミック

対象を取らない破壊による1妨害を毎ターン運用しつつ、次ターンに2ドローできる。
アナコンダからアクセスすることができるため盤面にモンスターを2体揃えるだけで良いです。現環境の中速デッキでの採用率が高く、主たる展開を通す過程で妨害を受けたときに、召喚条件のゆるいアナコンダを出すだけで、盤面除去と次ターンの妨害を兼ねることができます。このカードの強みは主たる展開を止められた際のリカバリーです。ハリファイバーを止められた際、モンスター追加からアナコンダに向かったり、ニビル後にモンスター追加からトークンをリンクスパイダーに変換してアナコンダに向かったりする動きが強いです。
先攻の妨害としての質は心許ないカードですが、アーティファクトデスサイズと組み合わせることによって、展開系に対して無類の強さを発揮します。デスサイズのようなターンスキップカードは次ターンに勝負を決められることが重要ですが、毎ターン蘇生できる点と2ドローでしっかり決め切ることができるため相性抜群です。。
このギミックの問題点はHEROカードの素引きです。融合素材にしなければいけない都合上手札コストにもできません。40枚デッキの場合、初手に来る確率は約23%なので300戦すると仮定すると69戦初手にいることになります。デッキを膨らませて引く確率を下げる場合、45枚デッキなら63戦、50枚デッキなら57戦になります。40の時と比較すると300戦で12戦分引く確率を下げることができるのでデッキを膨らませても初動の質が大きく変わらない勇者GSなどのデッキは効果的かもしれません。

・抹殺の指名者

自分のデッキに採用されているカードならなんでも止めることができるため、非常にできることが多いカードです。しかし、できることが多いからといって強いカードであるとは限りません。
展開デッキでの運用を考えたとき、展開を通せば9割以上勝てるデッキなので、抹殺の指名者の主な目的は相手の手札誘発を弾くことです。展開デッキは基本的に手数で誘発を乗り越える(手数で誘発を乗り越えるというのは7+レッドローズで1誘発踏み越える、ケルビーニから勇者にアクセスし1誘発使わせるなど、デッキ内のカードを組み合わせて誘発を踏み越えていくこと)方が事故も少なく、誘発がなかった時に盤面の伸びが期待できます。しかし、どうしても手数で乗り越えることができない誘発が増殖するGです。そのため、展開デッキの抹殺の指名者に求められていることは増殖するGを止めることです。
しかし、そのために増殖するGを入れなければいけなくなることを忘れてはいけません。環境的に増殖するGを入れたい環境なら良いですが、現環境は増殖するGが全く効かないふわんだりいずがいるだけでなく、増殖するGを止めることが可能な汎用カードの最大投入枚数が8枚(うらら・墓穴・抹殺)であり、増殖するGを引いて通る確率は10パーセントほどです。増殖するGが有効な相手に対しても90%は死に札となり、自分の先攻展開に関与しないカードを採用しなければいけません。
また、抹殺の指名者を入れるスロットは展開の手数になり得るカードだったことを考えると、増殖するG、灰流うらら以外の誘発に対して弱くなってしまうのは否めません。(勇者GSで特殊召喚できるレベル3モンスターを減らして抹殺にした場合、手札のレベル3が足りずケルビーニから勇者にアクセスできないことで、抹殺で止められない誘発を受けてしまう)それをカバーするために誘発の種類を増やすとさらに手数が削られてしまい、本末転倒な結果になってしまいます。また、このカードは名称ターン1がついているため、複数引くと腐ってしまうリスクも抱えています。
この話をすると、余った抹殺の指名者でアラメシアの儀を止めれるとかフュージョンデステニーを止めれるという話を聞くんですが、このカードを投入する目的を思い出してください。展開を通すために誘発を止めることが目的であり、展開を通せたのであれば、これらのカードを止める必要がなく、通せなかったのであれば止めても負ける可能性の高いゲームとなります。「止めれるだけで止めたい」わけではありません。
より具体的に考えてみましょう。相手のデッキが全て増殖するGを3枚採用していると仮定し、自分のデッキに増殖するGを止めることができるカードが5枚(抹殺なし)と8枚(抹殺あり)の場合を比較します。確率に基づいて計算するとDCを300戦行うとして先攻は150戦。150戦中増殖するGを止められるのは5枚:約25戦8枚:約35戦です。相手全員がフル投入していたとしても300戦で10戦の差です。また、うららとGにしか抹殺が使えない場合、抹殺が使えない試合は150戦中約28戦になります。抹殺かぶりで使えないゲームも考えるともう少し増えます。さらに増殖するGを2枚採用した場合、150戦中約33戦初手に来ることになります。抹殺の指名者と増殖するGが事故要因になるゲームと増殖するGを止めて勝てるゲームとどちらに重きをおくべきなのかはそのデッキの性質によると思います。
私の意見としては展開デッキにおいて「増殖するGを止めるためのカード」としての採用は理解できるが、展開札が減ることによって他の誘発に対してや後手で弱くなること、現環境における増殖するGの採用率を考えると増殖するGを打たれても別のベクトルから勝ちを目指せるカード(虚無空間等)の方が評価が高いです。
できることが多いから強いわけではありません。自分のデッキの特性と環境を見極めた採用が必要なテクニカルなカードだと思います。

DC環境(デッキ編)

①天威勇者

展開動画はKGチャンネルを参考にしてください。
(展開をパターン化して非常に丁寧に説明しています。応用パターンも紹介されて
 いて、配信を見ればより具体的な立ち回りも勉強できると思います。)

基本的な妨害
①セキショウ
→フィールドのモンスター効果無効
②ショウエイ
→フィールド・墓地1枚ずつ除外
③バロネス
→なんでも無効破壊
④光チョウホウ
→光属性モンスター効果無効+九支後うららサーチ
⑤プロートス
→闇属性モンスター特殊召喚不可
⑥竜星の九支
→なんでも無効デッキバウンス

ポイント

①禁じられた一滴や冥王結界波に耐性がある

カウンター罠である九支で1度なら防ぐことができます。また、プロートスは自ターン中の効果なので無効にする術がなく、闇属性を主体としたデッキでは捲ることが難しいです。

②アウローラドンが通れば最低限展開できる
ハリラドンデッキの強みはどんな手札でも盤面にチューナー含むモンスター2体さえ揃えれば展開することが可能な点であり、特定の強カードに依存しない点にあります。これに加えて、アウローラドンさえ成立すれば、ボウテンコウ経由でアシュナにアクセスすることで、バロネスセキショウプロートス九支という最低限の妨害を構えることが可能です。そのため、効果無効系の誘発に強いです。

例 ジェットorオライオンでハリファイバー
ハリファイバーに無効系を当ててもジェット蘇生or幻獣機トークンからアウローラドンまで成立するためハリファイバーには打てない。アウローラドンのトークン生成に無効系当ててもアウローラドン+ジェット蘇生+幻獣機トークンから2体目のアウローラドンが成立する。

③リソースを残せない
展開に振り切っているので盤面を返されたときにやり返す力は持っていません。そのため、ラー球体形で捲られてしまいます。

④引きたくないカードが多い
プロートスや泰阿、九支など素引きすると使い道の少ないカードが多い(6枚)です。召喚権を使うモンスターも多く(最低限の枚数でもジェット2オライオン2レッドローズ2の6枚)召喚権ダブりによって死に札となってしまいます。また、デッキを圧迫し、自由枠が少なくなっています。

対策
手札誘発で止める場合、効果無効系に対する妥協展開がしやすいデッキなので効果無効系+ニビルの持ち方が有効です。ヴェーラー泡影3枚ずつ計6枚+ニビル3枚を投入した場合、初手に揃う確率は約17%であり、そもそもこの誘発の配分自体が現環境では現実的ではありません。
最も有効な手札誘発は増殖するGですが、多くのリストでは7枚のG対策札が用意されており、増殖するGを3枚入れて通る確率は12%です。今回のDCで天威勇者の分布が全体の20%だと仮定すると300戦で当たるのが60戦となり、後攻が半分の30戦だとすると増殖するGが通るのは3戦程度。60戦中20戦は増殖するGを引くことになるので先攻の事故も気になるところです。また、他のデッキとの240戦の中で増殖するGが有効に働かない対面があること、増殖するGでしかダメだったゲームが何戦あったかを考えると採用は難しいと感じています。
手札誘発で展開を止めるのは有効ではないと感じるのでラー球体で盤面を解決するのが対策としてはもっとも現実的です。

所感
・効果無効系誘発に強く展開しきれば大きく勝ちに近づくのは好印象。
・ある程度向かうべきポイントが明確なため、長く走るのにも向いている。
・ラー球体という明確な弱点があるが、使用デッキリッチくらい。
・引きたくないカードや召喚権ダブりで手札のカードをフル活用できない
・自由枠が少なく分布に合わせて採用カードを変更することが難しい

②ふわんだりいず

展開動画はKGチャンネルをご覧ください。

基本的な妨害
①えんぺん
→特殊召喚された攻撃表示モンスターの効果発動無効
②烈風の結界像
→風属性以外特殊召喚不可
③霞の谷の巨神鳥
→なんでも無効破壊
④烈風帝ライザー
→フィールド2枚墓地1枚バウンス
⑤夢の街
→アドバンス召喚成功時裏守備

ポイント

①増殖するG・虚無空間が効かない展開デッキ
展開デッキが最も苦手とする増殖するG・虚無空間が効かないのは大きな優位点です。予想される環境に展開デッキが多く存在していることも追い風です。

②ディメンションアトラクターを採用できる
展開デッキや60枚デッキが非常に苦手とするこのカードを採用できるのは大きなメリットです。先攻時も苦手なヴェーラーやドロールを回避することができます。

③手数が少ない
攻め手が召喚権からスタートするデッキなのでここを潰されると連鎖していきません。そのため、効果無効系に弱いです。効果無効をケアするために月の書の採用が目立ちます。(効果チェーンに月の書で裏返すことで効果は通すことができる)

④初動が少ない
純粋な1枚初動はろびーなのみで2枚初動の組み合わせも少ないです。カバーするために壺をフル投入している構築が多いですが、壺も名称ターン1のカードであり、事故率は比較的高いと言わざるをえません。

対策
盤面を作られてから返すには妨害が前と後ろに分かれているので、そこそこ手札の質を要求されます。また、ディメンションアトラクターの採用率が高く、ハーピィの羽根吹雪を採用しているケースもあるため、初動の細さにつけこんで、ギミックを回転させないことが効果的です。
有効な手札誘発は召喚権を追加させない効果無効系ですが、採用率のまばらなカードでいうとアーティファクトロンギヌスです。2枚セットの初動はほとんど止まってしまい、ろびーなスタートでもリソースを回収できないため、夢の街が使えない可能性もでてきます。また、初動の細さを解決する金満で謙虚な壺も打てなくなる上、フル投入されていることが多い指名者系統もまとめて止めることが可能です。
初動が細いデッキは過剰な対策をするよりも、相手の事故を確実に拾う方が全体的な勝率は上がるので、ヴェーラー泡影を増やすくらいに留めておくのが良いと思います。

所感
・増殖するGが効かないが、その分ギミックで手数を補えないので効果無効系誘発が重い。
・烈風の結界像によって手数による妨害にはめっぽう強い。
・URが少なく、動いがシンプルなため、環境デッキ入門編→使用者多い?
・手数がないので後攻は特別なカード(手札誘発やライトニングストームなど)に頼らなくてはいけないが展開系、エルドリッチ、ふわんだりいずとベクトルの違う3つのデッキがいる現環境では一貫性のある採用ができない。
・効果無効に弱いので相手の事故を拾うことも難しい場合が多そう。

③エルドリッチ

マスターデュエルが出た当初の動画ですが、参考になる点もあると思いますので紹介させてもらいます。こちらもKGチャンネルです。

基本的な妨害
①コンキスタドール
→表側表示カード破壊
②ワッケーロ
→墓地のカード除外
③黄金卿
→なんでも無効破壊
③スキルドレイン
→フィールドのモンスター効果無効
④各種通常罠
→激流葬、ドラグマパニッシュメント、強制脱出装置など
⑤各種永続罠
→御前試合、群雄割拠、サモンリミッターなど

ポイント

①永続罠が使える
相手のデッキのメインギミックを全否定する永続罠は、相手が解答を持っているかどうかのゲームに持ち込むことができるので、イージーウィンが狙いやすいです。メインギミックを通せてなくても、時間を稼げるので事故を誤魔化せます。
御前試合や群雄割拠に関しては、後手でも通すことさえできれば、先攻展開を返した上で妨害につながるので、先後ともに強力です。

②ラー球体が使える
召喚権を使用しないため、ラー球体を無理なく採用することができます。永続罠や全体除去との組み合わせなので、VFDやプロートスのようなラー球体をすり抜けるカードに対しても強いです。

③先攻の強度が永続罠に依存している
メインギミックの妨害は妨害の質が低い上、エルドリッチを盤面に供給するカードとの2枚セットで機能するカードであり、永続罠でサポートしないと先攻の強度は保てない。

④カードの組み合わせの要求値が高い
先攻時はラー球体などの後攻用カードやエルドリッチ、エルドリッチにアクセスするカードなど妨害にならないカードは意外と多い。エルドリッチにアクセスできていないと効果を発揮しないカードもあり、それを誤魔化すための永続罠だが、エルドリッチにアクセスできていないと高打点モンスターでライフを持っていかれることも多く、組み合わせの要求値はそれなりに高い。

対策
先攻の永続罠に対しては伏せ割りで対抗するしかありません。間違いなく最強カードはレッドリブートです。稀に採用されている天獄の王にもかからず、全ての罠を無力化できます。ハーピィの羽根箒も先攻2ターン目での使いやすさも含めて強力です。まとめて複数枚破壊できるライトニングストームか先攻でも使えて小回りの効くコズミックサイクロンあたりになります。
先攻展開に対しても御前割拠や全体除去で抗ってくるので、展開デッキでは先攻時にエルドリッチに負けない展開を考えておく必要があります。

所感
・先攻でも後攻でも特別なカードの採用なしで一定の強度を保てる。
・ラー球体を採用できる。
・環境に多そうなデッキに対して有効な手札誘発が決定打になりづらい。
・展開デッキと比較すると安定感に欠ける。
・ミラーでの死に札が多いため、プレイングが要求される。
・環境が回って意識され始めると勝ち切るのは厳しい。

④勇者GS(グッドスタッフ)

勇者で誘発をケアしつつハリラドンで盤面を形成するデッキをまとめて勇者GSに分類します。

基本的な妨害
①サベージ
→なんでも無効
②超雷龍
→サーチ不可
③九支
→なんでも無効デッキバウンス
④九支後アーデク
→手札デッキから墓地に行くモンスター除外・なんでも無効
⑤グリフォン
→なんでも無効破壊

ポイント

①ケルビーニの存在
ケルビーニから水遣いにアクセスすることができるため、3軸と呼ばれるタイプは勇者へのアクセス率が圧倒的です。また、ケルビーニのリンク先のモンスターは破壊されず、ケルビーニ自体も条件付きの破壊耐性を持っているため、破壊に対する妨害はうまくいなすことができる。

②自由枠の豊富さ
展開に必要なのがケルビーニの成立orハリファイバーの成立なため、初動に用いるカードも幅広い選択肢を取れる。これらの成立は1枚初動も多く、デッキのスロットを圧迫しないので、環境に合わせたカードを採用するスペースもある程度とれる。エクストラのスペースもあるため、デストロイギミックの採用も検討できる。

③ハリファイバー頼み
妨害を当てるに値するメインギミックの動きがハリファイバーしかないため、妨害に対して直接アプローチしないと踏み越えていくことが難しいです。この欠点をカバーするため、デストロイギミックを採用しているリストも多いですが、自由枠の豊富さや引きたくないカードの少なさなど、このデッキの強みが薄くなってしまいます。

④リソースがない
ラー球体やラヴァゴで盤面を解決されるとリカバリーするのが難しいです。ボウテンコウを盤面に残したり、盤面の広げ方次第で、ラー球体後2妨害残したりすることも可能ですが、リソースがないため、結局ジリ貧負けしていくことも多いです。

対策
天威勇者と大きくは変わりませんが、勇者へのアクセス率が高いので1誘発では容易に貫通されてしまいます。2枚重ねることが効果的ですが、自由枠の豊富さから抹殺の指名者で止められるカードの豊富さを考えると盤面を返す方が効果的だと思います。
妨害数としては3妨害くらいなので1:1交換していけば意外と捲れてしまうこともあります。ラー球体で対策する場合は2ターン目のアナコンダデストロイを防げるデッキでの採用が好ましいです。

所感
・自由枠の豊富さはDCカップのシステムを考えても魅力的。
・展開の最終盤面は天威勇者の方が強いため差別化が必要。
 →ケルビーニが使えることは明確な違い。
・超雷龍が妨害として機能しない場合、妨害数が不安。
・後攻でギミックで乗り越える力は低い。

⑤電脳堺(勇者入りも含む)

基本的な妨害
①VFD
→フィールドのモンスター効果発動不可・攻撃不可
②朱雀
→フィールドのカード1枚破壊
③グリフォン
→なんでも無効破壊

ポイント

①メインギミックが手札誘発に対して強い
展開の過程でフィールドのモンスター効果をあまり使用しないので、効果無効系誘発がほぼ効きません。また、誘発で展開が鈍っても最低限VFD+リソースを抱え込める可能性が高いです。

②朱雀の存在
VFD+朱雀はVFDの弱点である一滴や無限抱影をケアすることができ、VFDで止めることができない罠に対して、朱雀で触ることができる相性補完が取れている。

③ラー球体で負けない先攻展開
VFD単騎の場合はそもそもラー球体を召喚することができず、仮に召喚されたとしても、朱雀の妨害と墓地のシェンシェンで戦線維持が可能。

④2枚初動ゆえの事故
2枚初動かつ同名被りも考えると一定数の事故が発生します。ハリファイバーデッキと比べると先攻の安定感は劣ります。

対策
VFD+朱雀を捲ることはラー球体や冥王結界波などの後攻用カードであっても捲ることは難しいです。そのため、手札誘発で展開を止めるしかないですが、有効な手札誘発が少ないです。そのため、天威勇者同様手札誘発で捲るためには増殖するGしかありません。ここまで記してきたように増殖するGが通る確率は低く採用するかは難しいところです。
その他の誘発ではアーティファクトロンギヌスの採用が考えられます。電脳は共通効果でチンロンにアクセスし、足りない電脳をサーチしてきます。そのサーチを封じつつ電脳罠の墓地効果もまとめて止めることができます。妥協展開として強力な朱雀の効果も使いづらくすることができ、指名者系のカードに合わせることも可能なので2枚持ちでも有効に活用することができます。また、事故軽減のために金満で謙虚な壺を採用している場合、事故らせるという側面でも効果的なカードです。
圧倒的な先攻展開と誘発耐性を持つデッキですが、唯一の弱点は事故です。先攻で勝ち切ることができる構築であれば、事故率の低い方が最終的な勝率で上回れるため、過度な対策より自分のデッキの事故率を下げることが重要だと思います。

所感
・エルドリッチに勝ち切れる先攻展開。
・手札誘発に対して圧倒的に強い。
・ハリラドンデッキと比較すると圧倒的に事故る。
・自由枠が多いわけではないため、後攻は厳しい。
・負け筋が事故と増殖するGであり、勇者の投入目的があいまい。
 →メインギミックを濃くした構築のほうが良さそう。

⑥勇者プランキッズ

基本的な妨害
①ハウスバトラー
→相手モンスター全破壊×2
②グリフォン
→なんでも無効破壊

ポイント

①1枚初動の安定感
プランキッズモンスターが全て1枚初動であり、初動の質にムラがありません。最大14枚採用することができ、初手にプランキッズモンスターが1枚以上くる確率は90%です。

②勇者ギミックとの相性抜群
プランキッズは手数として盤面に供給していくためには、手札融合をして盤面を伸ばしていく必要があり、ギミックで手数を確保するには消費が激しいテーマでした。勇者の登場でプランキッズ召喚前に妨害をはかせることができます。また、プランキッズが苦手とするうららや、ニビルといったカードをきれいにケアできるようになりました。
例 アラメシア+プランキッズ
アラメシア発動 トークン+旅路
プランキッズをミューに変換
プランキッズ効果チェーン旅路
→このようにチェーンを組むことでプランキッズ効果へのうららを避けることができる。
グリフォンライダー特殊召喚
→グリフォンライダー着地が5回目の召喚になるため、ニビルを防ぐことができる。

③妨害の質に不安を抱えている
ハウスバトラーがメインの妨害なので、破壊に耐性のあるデッキに対して効果的ではないです。さらに、1体のモンスターで2回分の妨害を兼ねているので、一雫や壊獣で一気に2妨害を失うリスクをはらんでいます。また、リンクモンスターの回収効果に墓穴をもらうと、ハウスバトラーにたどり着けない場合もあります。

④事故率を一定以上下げることが難しい
1枚初動デッキは入れられる1枚初動の枚数が決まっているため92%以上にするためには金満で謙虚な壺などが必要になります。90%というのは300戦中30戦事故る計算になります。また、1枚初動カードを増やすことが誘発や妨害を乗り越えることにつながらないため、これらのカードをただ増やせば良いわけではないことからも、事故率が低いデッキとは言い難いと感じています。

対策
展開が完全停止してしまう手札誘発がうららやガンマくらいで、電脳ほどではないですが、勇者がなくとも、手札誘発に対して耐性があります。また、うららやガンマも勇者ギミックで止められてしまうため、盤面を返す方向でアプローチしていくのが良いと考えます。手札誘発で止めたい場合は屋敷わらしがマシだと思います。
水遣いや墓穴のようなこちらの通したい誘発を止めてくるカードに対して打てること、ドゥードゥルやバウワウの回収効果に打てることから6枚目で間に合う可能性がある点も評価できます。
ハウスバトラーに対する効果無効系が有効ですが、グリフォンライダーに止められてしまうため、まとめて無力化することができる禁じられた一滴が有効です。
また、ラー球体も召喚できる場面は多いため、大暴走を早めにはかせられるデッキや、自ターンハウスバトラーが多いと感じたらアリだと思います。

所感
・プランキッズの弱かった部分を勇者が補えている。
・先攻展開が捲られる可能性が比較的高い。
・1枚初動デッキなので自由枠が多く取れる。
・手数は勇者頼みだが、勇者にアクセスする方法があるわけではない。
・メインギミックのみで勝ち切る力は後攻はもちろん先攻も怪しい。

⑦勇者幻影

基本的な妨害
①デストロイフェニックスガイ
→フィールドのカード1枚破壊
②グリフォンライダー 
→なんでも無効破壊
③幻影霧剣
→フィールドのモンスター効果無効・攻撃不可
④デスサイズ
→エクストラから特殊召喚不可
⑤ラスティバルディッシュ    
→フィールドのカード1枚破壊

ポイント

①展開後も残る豊富なリソース
展開後も墓地リソースがふんだんに残されており、ブレイクソードやアーゼウスによって盤面を捲り返したり、再度妨害を用意することができます。

②後攻でも盤面解決力が比較的高い
メインギミックで御前試合や群雄割拠をブレイクソードで破壊することができる。この時、使用したカードたちは、墓地効果でさらなる展開につながります。禁じられた一滴のコストとしても優秀なカードが多いです。

③先攻の妨害の質が低い
単発妨害かつ妨害数も少なめなので、先攻展開が通れば勝ちというデッキではないです。盤面を返されても、豊富なリソースを活かして捲り返せれば良いですが、現環境はワンキルまでたどり着くか、VFDのような無限妨害カードで返されてしまうため、不安が残ります。

④不利な択が発生しやすい
相手のデッキや採用カードに合わせて適切な妨害を選択し、柔軟に戦っていけるのがこのデッキの強みですが、相手のデッキがわからないマスターデュエルではどの展開に向かうのかが、デッキ枚数と撃たれた手札誘発でしか判断できません。紙の遊戯王では、サイドカードに対する受けの広さと相手のデッキがある程度わかっているため、適切な展開を選択できることから環境TOPデッキでしたが、デッキがわからない場合、こちらに不利な選択を強いられる場面が多いため、TOPシェアとはいかないようです。

対策
リソース面でもデスサイズとの組み合わせを考えても、このデッキの要はデストロイフェニックスガイです。デストロイフェニックスガイを出させないためにアナコンダやフージョンデステニーを止められるカードが有効です。
盤面を返す場合はデスサイズがきついデッキだと、ラー球体やラヴァゴの前に、デスサイズ効果が成立してしまう場合が多いため、デスサイズもまとめて無効にできる禁じられた一滴が有効です。
このデッキはハリラドンデッキのように展開できたら100点。できなかったら0点のデッキではなく、手札誘発を1枚うたれたら、妨害数が1枚減るというように、展開できたら80点。誘発で止められても60点というデッキなので、明確な対策札が少ないです。妨害数の少なさをついてデッキパワーで押し切るのが良いと思うので、専用のメタカードではなく、他のデッキの対策札で、自分のデッキにとって最もきついカードを止めつつ、手数で踏み越えられるような形がベストだと考えます。

所感
・手札誘発の受けはいいが、電脳には劣る。
・デッキがわからないため、デスサイズが使いにくい
・デスサイズが止まった時の妨害数に難あり
・エルドリッチの永続罠で詰みにくい
・相手の事故を拾う際の安定感は最も高い

⑧その他

・@イグニスター
・アダマシア
・イビルツイン
・勇者十二獣  etc…

上記7デッキと比べると、デッキパワー・使用率共に少し劣ると考え割愛します。
これらのデッキの考察は希望があれば追記していきたいと思います。

デッキ選択

方針

相手の先攻をメインギミックのみで返すことは非常に難しいため、自分の先攻を落とさず、相手の事故を確実に拾うことが重要です。また、デッキタイプが絞られない環境のため、メタがばらけており、採用カードがどの対面に対しても有効に働くわけではありません。そのために最も重視するポイントは『事故で落とすゲームをなくすこと』です。事故らない先攻はお互いに勝利すると仮定すると、相手より事故が少なければ、最終的な勝率は上回ることができます。対戦数をこなすことが重要なゲームなため、構築を歪ませて後攻の勝率を上げるのではなく、相手の事故を確実に拾って勝率を稼ぐ方針です。

環境予想
1stステージではふわんだりいずや天威勇者が少し多いかなと感じるくらいで、非常に多くのデッキと対戦しました。そのため、2ndステージであっても低ポイント帯では、ある程度多様なデッキタイプとの対戦が予想されます。ある程度対戦数が進むと上記7デッキが少しずつ分布を増やしていくと考えられ、その中でも、①ハリラドン(天威勇者・勇者GS)②エルドリッチ③電脳堺のシェアが高いと予想します。

①ハリラドン
考えることが少なく、勝つか負けるかはっきりしているため対戦数をこなすのに気持ち的余裕がある。とりあえず、デッキは持っているし、展開パターンも動画や記事でどこにでも溢れているため使いやすい。特にミラーでプレイの差が出ないのは、使用するハードルをかなり下げている。

②エルドリッチ
①のデッキに対して、ラー球体という明確なメタカードを搭載することができ、環境が固まるほど、罠カードの採択に一貫性を持たせられるため、ランクマッチより力を発揮しやすい。環境が進み、ミラーが増えてくると練度の差が出る。また、自由枠が手札誘発から伏せ割に移行すると、先攻勝率が低下するので、複数のデッキタイプを使う人たちは、デッキを変更する可能性が高い。そうなると、シェア率も下がるので、ポイント帯や時間帯でシェア数を見極める必要がある。

③電脳堺
先攻を勝ち切るという点では圧倒的1番手。エルドリッチに返されない先攻展開を持つため、エルドリッチの分布が多ければ、自由枠もエルドリッチに寄せることで先後安定して勝ちに行くことができる。事故率が比較的高いため、ハリラドン対面は最終的に不利がつく。

以上3デッキがじゃんけんの関係性になっており、トップシェアが移り変わっていくと予想します。ランクマッチのダイヤ帯を考えても、上位帯でもさまざまなデッキが存在することが予想されるので、3デッキが占める割合は多くても全体の6割程度だと考えています。そのため、3デッキを意識しすぎるのは得策ではないと思います。

上記7デッキの中でもふわんだりいずは、後攻の弱さに先攻の強さが見合っておらず、ハリラドンデッキの流行に合わせて効果無効誘発の枚数が増えると、勝ちにくいデッキになると思います。展開の単純さやURの少なさなど、競技レベルとまでは言わない使用者が多いことは考えられるので、環境序盤でよく見かけるデッキになると予想します。

環境予想から環境における手札誘発の採用率を考えます。
天威勇者:うらら3枚 G1or2枚(抹殺採用の場合)+2枚ほど
勇者GS:うらら3枚 G2枚 +6枚ほど
エルドリッチ:うらら3枚
電脳堺:うらら3枚 G2枚 +1枚ほど
上記の限りではないと思いますが、基本的に各デッキ8枚ほど採用されていると考えると、約70%は初手に1枚手札誘発を持っていることになります。そのため、1誘発を乗り越えて展開できることが、事故らないためには重要です。手札誘発が多いデッキだとしても、採用枚数は12枚ほどです。かぶると使えないことも考慮すると手札誘発を2枚うたれるのは約40%ほどです。

以上から、事故らないための目標値を以下のように設定しました。
①妨害なし 100%
②1誘発  70%
③2誘発  40%
  

サブ目標
事故らないをメインの目標に据えた上で、サブ目標を以下のように設定しました。

・自由枠の豊富さ
環境が目まぐるしく変わり、対戦するデッキタイプも多いことから、メインギミッ
クで全てのデッキに有利を取ることは難しく、自由枠で対応せざるを得ません。そのため、自由枠が多いほど、さまざまな対面に対して戦略を立てることができます。

・ラー球体が採用可能
序盤のTOPシェアは天威勇者だと予想しているため、天威勇者に対して最も有効なラー球体を採用したいです。40枚デッキに3枚投入すれば、6枚目までに引ける確率は約40%です。TOPシェアに対して後攻で40%取れれば十分です。他のデッキに対してもラー球体を有効に運用するためには、召喚権に依存しないデッキが求められます。先攻では完全に死に札となるため、このカードを3枚投入した上で、事故率を目標値まで下げられるのが理想です。

・エルドリッチに負けない先攻展開
展開系ミラーでは妨害数の少なさが捲られることにつながるため、VFDのような無限妨害カードが有効ですが、エルドリッチに対しては有効に働かない可能性が高いです。しかし、妨害数を用意すると、ラー球体に対してリソース不足で負けてしまします。これをなるべく解消した先攻展開ができることが理想です。

・デッキがわからないシステムの利用
デッキがわからない場合、手札誘発を当てるにもベストなところに当てられないこともあります。先日の日本選手権で突然現れた竜剣士に対して適切に妨害を当てることが難しかったのと同じです。

使用者との相性
環境を読み切ったデッキ選択が出来たとしても、使いこなすことができなければ意味がありません。明らかに勝ち組のデッキがあれば、そのデッキを練習するのも効果的ですが、今環境は圧倒的なデッキタイプは無いように感じます。そのため、自分の得意なデッキタイプを選択することも重要な要素の1つです。
私の場合、ハリファイバーを発売当初から常に使い続けてきたため、展開デッキの方がプレイの安定感も構築の幅も自信があります。また、試合数をこなす上で、自分の苦手なデッキを使い続けるのは相当な心労です。

以上をまとめると
召喚権に依存せず、事故が少ない展開デッキ
を目指してデッキを構築しました。

ここからは、使用予定だったデッキに関するお話です。

事故率

事故率を下げるために重要なポイントは、エクストラモンスターによる展開手段を持っていることです。デッキ内の特定のカードに依存する1枚初動デッキの場合、一定値以上の事故率低下が見込めません。また、手数による手札誘発の貫通ができないため、手札誘発を乗り越えるためには、墓穴やアラメシアの素引きに頼ることになり、安定しません。この時点でハリラドンギミックを使用したデッキにすることが決まりました。
ハリラドン系のデッキで事故率を下げるために意識することは、手札を全て展開に利用できるように構築することです。手札で浮いてしまうカードを減らせば、そのまま展開の手数につながります。これを達成するために意識したポイントはデッキ内の引きたくないカードを無理なく展開札として利用することです。

1000回1人回し結果
妨害なしハリファイバー成立         992回 約99%
1誘発貫通ハリファイバー成立        966回 約96%
2誘発貫通ハリファイバー成立        473回 約47%
【増殖するGを除く】    
2誘発貫通は全てマストなところに打たれても貫通できる場合なので実際の数値はもう少し高いと思います。
(例 旅路のサーチ効果にうららを打たずにグリフォンを場に出させてから効果無効系と重ね打ち→旅路に打たれた場合トークンを展開に利用でき、もう1枚貫通できるようになる。)
1誘発貫通に関しては目標値を大幅に上回り、2誘発貫通に関してはギリギリですが上回ることができました。

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