散文-形を今は持たないもの1

思考や直感や生活を最近形にしていないので、書き連ねることにしました。
今後創作で使ったり使わなかったりします。
5本書いたら記事にして公開します。

テーブルの撤去されたラウンジはもはや広場ではない
ただ観葉植物のみが談笑し、人は皆一様にその外周を歩いている
僕はそれを吹き抜けから眺めている、他の人と同じように
周縁に移動すれど、集まる事はない

彼はそれを捨てても良いと言った
ゴミ出しの袋には自分の物しか入れられなかった

したり顔で生活の選択肢を奪う標語を掲げ続ける番組
いつもと変わらぬ顔で眺めるカイリューのぬいぐるみ

実用書にばかり人は群がるが、そのくせまったく用いる事はない
実用書なんてものは時と場合に応じなければ使い物にならない、スイートスポットの狭い中距離ヒッターのようなものだ
それでも人間は、劇的にチーム、いや自分の人生を変えてくれる助っ人として期待する
そして適切に起用せず、本棚という名の二軍に放り込んでしまう
僕は実用書の棚に群がる老若男女を後にし、文学作品を手に取った
その方が実用的であると信じて──僕も愚かである

家の前をドクターイエローが走ることがある
黄色い車体と名前が結びついたのは小学校に入る少し前で、走る度に大騒ぎしていたように思う
次に見るようになったのは大学に入ってからだった
ここ数ヶ月は何度も遭遇しているが、来年には見る事は無くなっているだろう
何故大学生には見えるのか、その答えはとんと見当がつかない

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