memorandum【7】
洋服の業界に足を突っ込んで10数年。
洋服に興味を持ち始めた頃をよく思い出す。
昔から、それこそ幼少のころから、何かにつけて自分で洋服を選びたがっていたような気がする。
本格的に洋服を買って着ていたのは高校生の頃。勿論、お金がそんなにあるわけでもなく、高い服なんて殆ど買えない。
自分の地元に古着屋が多くあったことからお金が貯まる度に古着屋に通い、店員さんと話をしなが、雑誌を見ながら買い漁っていた。
大学生になり、バイトをするようになったこともあってある程度自由にお金を使えるようになった時。
今でもその衝撃を覚えている。その当時よく通っていた古着屋の店員さんが着ていたデニムのセットアップ。古着屋の方だったが明らかに古着じゃないそれに、当時の自分はそれはもう好奇心の塊の様に目を奪われていたと思う。
正直、その時お店で見てる服より何よりそれが気になってしまい、それは何ですか?と聞いたことも覚えている。
その方もいい人で、『何々っていうブランドの服で、あそこの店に置いてあるよ!』と教えてくれて、その足で紹介されたお店に行ったことは言うまでもなく。
ただもうその方の着ていた洋服は完売、当時SNSやネットショップも今に比べれば断然普及されていなかった中で、同じものを探すのも一苦労。
この先はあまり覚えていないのだが、当時の自分はそれをちゃんと手に入れたのだろう。
振り返ってその時店員さんが着ていたものを思い出すと、恐らくどシンプルなGジャンにどシンプルなスキニーパンツだった様に思う。
今では当たり前に目にするそれも、その当時古着しか知らなかった自分にとっては未知の世界のものであった。
何かこの体験がずっと自分の中に活きているのもあり、生の、その時の感動を体験する為に実店舗は存在しているのだと思っている。
料理もそう、音楽もそう、洋服だってそう。個々の価値観はありますが、やはりその場に行って覚えた感動みたいなものはずっと心に残っていくもの。
そこで失敗することもそう。こんな時代だからこそ失敗したくないのは誰も一緒だと思う。でもその失敗した体験から生まれる経験が自分を作っていく事も確かな事。
自分自身があの頃のあの店員さんの様な特別な体験を与えられるかはわかりません。
それでもEast End Galleryはそのような体験をできる環境にしていける事がお店の存在意義だと思っています。
その時にしかできない大切な体験が皆様と経験できますように。
East End Gallery
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