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memorandum【29】

先日、出張も兼ねてとあるお店にお伺いする機会があった。きっかけはSNS。お店のオフィシャルアカウントでは殆ど洋服の投稿がされていなかった。食べ物だったり、ご自身で飼われているペットの投稿が多く、洋服屋さんのアカウントだと気がつかない人も多いことだろう。

勿論、最初は僕自身も取り扱っているブランドを見てその店を知ることになったのだが、別アカウントも運営していてそれがまた非常に面白く。オーナーさんの思うことを不定期に自由気ままに綴っている印象だったのだが、その中身が非常に興味深かった。今の時代を俯瞰的に捉え、ただ受け入れるのではなく、ただ拒絶するのではなく、独自のスタンスで向き合っているように見えた。こういう文章を書く人はどんな人なのだろうと、いつしかその人に会いに行きたいと思う様になっていた。

そして、タイミングよくお店に伺う機会が訪れた。お店の雰囲気も勿論拝見したかったが、何よりその人と話してみたいと思う気持ちが強かったので、念入りにアポイントを入れていざそのお店へ。

いわゆる繁華街からはかなり距離を置いた場所、ほぼ住宅街にあるそのお店。恐らく洋服屋さんはその一帯ではそこしかないのだろうと思う。車から降り、久し振りにお店に入る高揚を感じつつ、入り口の前で待っていると、少ししてからオーナーさんが出迎えてくれて一言、”よかった〜”と。最初はどうゆう事かわからなかったのだが、ブランドとしてお店に伺ったこともあり、そのブランドでバチバチに固めた様な人が来ると思っていたらしい。うちのブランドはかなり洗練されたイメージを持たれがちだが、勿論、中で働いている人間が皆そう言うわけではない。それこそ、その日は僕自身もかなりラフな装いでお伺いしていた。

そんなこんなで、中に入り店内を拝見。お店には洋服のセレクトは勿論、ディスプレイも自分の好きな物を凝縮した様な作り。それでもチグハグになることはなく、どこかまとまりのある雰囲気。洋服をメインにしたフロアとは別にもう1フロア。そこは謂わばギャラリースペースとでも言ったところだろうか。その時その時の展示や近隣の飲食とのコラボスペースの様なところで、テーブルと椅子が置かれたスペースには顧客さんと思わしき方々がコーヒー片手に談笑中。居心地の良さを何を言われるわけでもなく感じることができた。

そこからはオーナーさんとの怒涛の会話、約2時間強。そこには僕がSNSで拝見していた文章以上の熱量を持って、今の時代の自分達の在り方を楽しそうに語る姿があった。僕達も何故興味を持ったのか、これからどうしていくのかなど、多岐に渡ってお話をさせて頂いた。最後にはコーヒーまでご馳走になり、そこでもまたお話をしながら非常に有意義な時間を過ごすことができた。これが店に足を運ぶ、実際に人に会う、実店舗がある意味なのだなと改めて感じることができた。

やはり最後は人。今後どのようなお付き合いをしていけるのかは今の段階ではわからないが、どの様な形であれ何か一緒に取り組みができたら嬉しい、そう思えるような良いお店、良い方だった。ハートフルで温かな実家に帰ってきた様な感覚のあるお店。恐らくそこにしか出来ないことを追求し続けて、更なる魅力的なお店になっていくのだろう。ちなみにお店の名前は出したくない。自分の好きなお店、また通いたいと思う店ほど人には教えたくないものだから。気になる方は、探してみるか店頭でお話しする間に聞き出してみてくださいませ。

East End Gallery

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