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2024.2.22.

バンド THE 2 が解散した。

解散することが発表されたとき、私は妙に納得してしまった。「三人の未来がバンドとして一つになることはどうしても難しい」と書かれたお知らせを読んで、まあそうだよなあ、と思いながらも、悔しいようなどこかやるせない気持ちが拭えなくてもやもやしていた。解散を発表してからの出演ラジオで、みんながそれぞれにまた進んでいくための前向きな決断、解散したあとのことはまだ誰も何もわからない、今はとにかく最高の終わりに向けて全力で進むだけ、と彼らは言っていた。下手に隠さずに真っ直ぐに事実を伝えてくれるひたむきさがまたこのバンドのいいところなんだよな、と改めて思った。古くんまたバンドやってほしい、音楽やめないで、って声を上げている人たちたくさんいたし、私も心の底からそう思っていたけど、こんなに綺麗な決意を見せられてしまった以上、このタイミングでそんな無神経で愚かなことは言えなかった。

2 から THE 2 になって、リリースされた曲はたった2曲、正直これからだと思っていたし期待もしていた。そんな中で発表された スプートニク は本当に素敵な曲だった、ライブでも何度も聴いていたからやっと!という思いも大きくて、結構嬉しかった。2/22のライブのチケットも取ってるし、楽しみだなあって思ってたはずなのに、まさか勝手に解散ライブにされちゃうとは…。


古舘佑太郎の作る音楽が昔からとても好きだった。2015年3月、The SALOVERSの最後のライブに奇跡的に行くことができた。高3の春休み、新幹線で往復2万円かけて東京までみに行った。サラバーズのライブをみたのはこれが最初で最後、でもこのライブに行けたことは私の人生にとってすごく大きな出来事だったと思う。高校生にして1日で3万円くらい飛ばしてるんだけど(笑)、この価値はお金じゃはかれないし、行けていなかったら今でもずっと後悔してたはず。

そしてこの日から今日まで、私はずっとサラバーズを聴き続けているし、バンドマン・シンガーソングライター古舘佑太郎の虜だ。


この日、あっという間にO-eastは満パンになってしまって、気づいた時にはライブは始まっていた。2階席の真ん中には去年のライブにも来てくれていた古くんの父親が座っているのが見えた。

短くて疾走感に溢れる曲たちを一曲一曲、一言一言、噛みしめるように、少し口ずさみながら、じっくり聴いた。当たり前のことかもしれないけど、彼はどの曲でもまっすぐに自分のことを歌ってた。口ずさめるくらい何回も聴いていたはずなのに、最後になってようやく気づいた。

DEAD HEAT、もっくんとの関係を歌った曲っていつか言っていた気がする。まさか一緒にやるようになるとは思わなかったって。メンバーとか友人とかでは言い表せないような、いい関係の、大事な存在なんだろうなっていつも思う。

Family、少し特殊な家族を歌った曲、この曲を聴く度に勝手に彼の成長を感じる。ある程度年齢重ねないとこんなに素直に書けないよね、そして家族の前で歌えるところもまた素敵だなと思う。

LONELINESS BOY、2のはじまりの曲。『君はそう皆よりきっと素敵な社会不適合者さ』、そっくりそのまま返してあげたい。

セットリストはだいたいリリース順に組まれていて、どの曲も好きなんだけど、やっぱり「性と詩」のアルバムが特に好きだな〜って実感した。東狂ニヒリズムSとF、彼が書いて歌うことで輝く曲ばっかり。

ナイトウォークでハンドマイクで歌う姿もとびきり楽しそうで大好きだし、アクシデントで諸々貴重な姿が見られたのも良かったな。

GO 2 THE NEW WORLDをはじめ、ちょっとクサいなと思いながら聴いていた曲たちは、最後だと思うと見え方が全然変わって、ひときわ涙を誘ってきた。How many people did you say "GoodBye"なんかも、この日のために作られたんじゃないかと思うくらい、今まででいちばん刺さってきた。特に最後のフォーピースは歌いながら涙を堪えているようにも見えて、尚更胸が熱くなった。

ライブが終わってしまったあと、どうしようもなく寂しくて悲しくて切なくてたまらなかった。隣にいた友達にずっと「え〜!無理なんだけど!」って言い続けてた(笑)うるさくてごめん。帰りのSEでは SEE YOU AGAIN が流れた。これはライブのことを歌っている曲、と数日前のインスタライブで彼は言っていた。『ラストソングが本当のラストにならないように』って、『SEE YOU AGAIN.』って、言ってほしかったな。でも彼らがラストライブで歌ってくれた曲は How many people did you say "GoodBye" 、もう本当に、『GoodBye』なんだ。


みんなのMCもすごく良かったから残しておこうと思う。

森:彼らとじゃなかったらやってなかったな、と思うくらい好きなバンドで、一緒にやれたことを嬉しく思うし、誇りに思うし、宝物です。バンドは終わるけどこれからもずっと聴いてください。

P:10代の頃からライバルのような存在の佑太郎君にバンドやろうよって誘われて、最初は断ってたけど、あの時OKして本当に良かったなって今は思います。悔しい気持ちもあるけど、良い決断だなと思ってます。

古:20代中盤、もう一生バンドなんてやんねえ、って喚いていたはずなのに、気づいたらもう1回バンドをやりたくなってしまって。自分たちがいいと思うものを作れればいいと思ってやってたのに、気づいたらガチになっちゃってて、あっという間に7年も経っちゃってて。バンドやらねえって言ってた人間がパンパンのO-eastに立っているのって普通じゃない、すごい特別なことだなって今日改めて実感した。めちゃくちゃ悩んだし、めちゃくちゃ迷子になったし、めちゃくちゃみんなを振り回したし、ときに傷つけた事もあった。だけどやっぱり、めちゃくちゃ楽しかった。悔しいけど、しんどいことも、なりたかった自分に追いつけないことも、その分を超えるほどの楽しいことがあって、めちゃくちゃ青春でした。20代の頃は、またこんな景色でやれると思ってなかった。あの時、気分が変わってまたバンドやろうと思えた自分のことが、今はめちゃくちゃ誇らしい。


バンドの結成から解散までを見届けたのは人生で初めてだと思う。そもそもバンドを結成時から知ってるって、セカンドストーリーじゃないとなかなか無いことだもんね。だからひときわ思い入れがあって寂しいのかもしれない。ライブから帰ってきて、過去に買ったCDたちを見返していたら、サインを入れてもらってるのが何枚があることに気づいて、また感傷に浸ってしまった…。


私がサラバーズをよく聞くようになった頃には、彼はもう「前みたいに曲が書けない」と言っていた気がする。きっと青春の終わりが見えていたんだと思う。だからこそ 青春の象徴 という作品を残して、『青春の向こう側でいつか待ち合わせをしよう』とはっきり歌い残していなくなった。そんなサラバーズの亡霊を追いかけていた私をまた夢中にさせてくれたこのバンドの存在はやっぱりでかいなと、つくづく思う。そしてその彼は、このセカンドストーリーもまた「青春だった」と断言した。そして最後に『青春は賞味期限が過ぎて腐った』と歌って散った。ものすごく彼らしいけど皮肉だなとも思った。そんなところも好きだ。


「バンドを終わらせるんじゃなくて残そうと思う。今日が終わってもみんなの元でこの曲がずっと鳴ってればいいな。」と、この日彼は言っていた。私はこの、不格好で荒削りで、ダサくてしつこくてせっかちで、時に余計なことまでストレートに歌ってしまう THE 2 というバンドが、この先も忘れられないし聴き続けていくと思う。

ただ1つ、心残りがあるとすれば、このアレンジのルシファーが生で聴けなかったことかな。なんかもう大人になっちゃったのか、最近は謎の漫談なんか入れちゃうし(笑)。照れないで歌ってくれよ!そこがお前の真髄だろうが!って気持ちでいつも見てた(誰目線?)。音源も動画も残ってるのが救い、かなり嬉しい。


ラストライブ、最後だからとかではなく、本当に今まででいちばんいいライブだったと思う。偉そうなこと言って悪いけど、演奏うまくなったなって思うし、グルーヴ感が良かった。何回もライブみてるからわかるよ。
たくさん楽しませてくれてありがとう、ずっとずっと大好きです。そしてまた新しい歌を聴かせてくれる日を楽しみにしています。


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